四国・九州ぶらり旅その10

 3/7、17日目。11408.0Kmスタート。前日の雨は夜のうちに上がったのか、薄日が差しています。国道三号線に乗り、朝の通勤渋滞の流れを縫うようにして市街地を抜けます。八代から直ぐに日奈久と言う温泉地へ。こちらの方が風情があります。何だ近くに良い所あるジャン、と軽く舌打ち。霧の濃い山を抜け、田浦(たのうら)の道の駅に。しかしまだ店も営業前で、取り立てて何もすることなく田浦から水俣へ。水俣を過ぎると鹿児島に突入、出水(いずみ)市に入りバイパス入り口というところから328号線に入り山道になります。段々日が高くなってきて、暖かくなってきています。途中川沿いの道を走っていて余りにも川が綺麗なので。公園があり川の近くまでバイクを乗り入れていたら、又コケました。何も無いところでしたが、バイクを起こそうと思っても中々起きません。荷物が重いからか、持ち方が悪いのか。ガソリンがこぼれて、もったいなぁと思い焦っていると、オジサンがやって来て手伝ってくれました。ここはこの間もバイクが倒れていたんだよ、この木の実がつるつる滑るんだ、って。確かにそう言われて見ると小さい木の実が一杯。それにもましてレンガの敷石にはコケのようなものが。写真を撮って引き返すと、オジサンはトレーラーに乗って出水方面に。手を振り挨拶します。大変助かりました。
 それにしても、故障箇所はないかと見ても何とも無さそうで、それでもハンドル握ってミラーを合わせると何だか変です。目一杯曲げて合わせるのですが走り出して、判りました。タイヤが曲がっているんです。否、タイヤが曲がっていると思ったら、走れるんですけどハンドルが曲がってしまっていたんですね。まっすぐに持つと右にどんどん行ってしまうので右手を突き出すように左にハンドルを切りながら走ります。不自然な体勢で疲れますが街に行かなければなりません。我慢しつつ何とか大きい街に辿り着き、バイク屋サンに見てもらうとハンドルが曲がっているだけでアッサリ直してくれました。色々な事を体験して人間は学んでいくのです、ハイ。
 328号線で進むのですが、途中幾つもの温泉の文字が誘います。樋脇という道の駅では無料の足湯が有るということで、時間的にも余裕があるので少し外れていく事に。それはそれは良いお湯でした。熱いのからヌルいものまで三種類。出てバイクに戻ると、自転車の青年が整備しています。話すと大阪から来たそうで昨日の雨でもずうっと走っていたそうです。それも野宿でずっとやって来ているそうで、タフです。ここで、熊本城の青年の話を持ち出すと、自転車旅行の人はままあることで、走る事自体が楽しいと言う事でした。観光もしないでねぇと、思いましたが。でもこの青年はワタクシと同じ日に天草にも足を伸ばしていて、一日の航続距離は120kmほどと言う事で、平地や坂道は早いですが、登りの坂道が大変だそうで、押して進むので平均すると時速15Kmとか。
 彼と出会ったことで、玄界灘のキャンプから暫らく、実のところテント生活を避けてしまっていましたが、今日は天気も良いのでテントを貼ろうと思いました。
 昼時に鹿児島市内に入るとラーメンを。ラーメンと言うと無条件でトンコツラーメンです。さすが。
 225号線を走り平川というところから山道で枕崎へ。途中知覧と言う街があり、ここは昔特攻隊の基地があったそうでそれぐらいしか知らなかったんですが、お茶どころでもあったんですね。見渡す限りの茶畑です。
 枕崎は鰹の水揚げが有名で、ワタクシは鰹節関連のTV番組(例えばどっちの料理ショーの特選素材とか)で鰹節の街と言うイメージがインプットされていましたが、まさしく鰹の街で街自体に鰹を燻す香りが漂います。これだけでもうこの街は良い街だと短絡的に思いながら、おさかなセンターに立ち寄ります。活きの良い魚はもちろん有りますが、買って帰れないのがバイク旅の辛い所。もっとも砲弾のような鰹を買ったところで一人じゃ食べ切れません。
 完全に塩と鰹のワタだけで作ったという塩辛を購入。大抵は他に調味料(アミノ酸等)や増粘多糖類など添加物が使用されている商品が多いのです。
 ただこの先まだ旅が続くと言う事で、保存性が気になり買う前に電話までしてもらって工場に確認。しょっぱいけれども、素直な美味さで後味が大変よろしかったです。
 今回の旅の目的でもある指宿(いぶすき)の砂蒸し風呂へ。TVなどで見て一度やってみたかったんです^^)V。何故か駐車場に行くとパトカーがあり警察官が二人。大きい方の方に聞くと、非番のときはあちこち行っているがここが一番!と太鼓判を押されていました。
 係りのオバちゃんに砂を掛けてもらいます。割りとドサドサと。重みに指圧の効果があるそうで、熱さと重みが気持ち良いです。15分程度で上がるようにと言う事で時計で見計らって、併設されているお湯で砂を洗い流します。
 サッパリして今夜の野営地を探します。スーパーで買い物をしていると、やはりキャリングバッグをつけた自転車が。熊本から同じようなルートで来ているようで。
 3/8、12022.6Kmでスタートの18日目。霧島高原目指して鹿児島市内を走り抜けると、右手に桜島が。あいにく曇っていて綺麗には見えません。後で教えてもらいましたが、噴煙のせいでいつも曇りがちであるとのことでした。本当でしょうか?
 霧島高原は温泉が一杯、とりあえず、一番高いところを目指しますが、どこに入ったら良いか判らず駐在所で聞くけれども結局ハズしちゃいました。
 小林と言う街で空腹の余りうどん屋に入るがここもハズレ。それでも満腹で北に。ふと、やまけんさんのブログを思い出し、西都市というところで、北海道の姉に電話。過去のエントリを調べてもらうと直ぐ近くに絶品の鰻があるとのこと。何てことだ、不味いうどんで全く腹は減っていない!
 それでも店に行ってみると、丁度昼の営業を終え夜の営業は4:00からと。時間は3時過ぎで今夜はまたキャンプする予定なので、泣く泣く諦める。
 なおも北へ。宮崎市内は行かずに日向・延岡方面に国道10号線を走ります。ちょっと端折り気味なのですが明日は宮崎県は全体的に雨の予想で大分は曇りだそうで、北に行きたかったんです。伊勢ケ浜と言う海岸でテントを貼ります。一人海を眺める青年と話したり、犬の散歩のおじさんに、ここでキャンプして怖くは無いか?と聞かれたり。
 翌朝(3/9)は、ここら辺の海岸は日の出の景色が有名らしいのですが、あいにくの曇り空で見えません。やはり雨が降るのでしょう。12282.3Kmでスタート。いよいよ、今回の最大の目的『関サバ』を食べに佐賀関に。幾分肌寒い中、山道を行きます。佐伯、臼杵と進み佐賀関へ。ツーリングマップルに載っていた漁協直営のお店は迷いながらも地元の方に教えてもらいながらようやく見つけたら、なんと定休日!ヤッテしまいました。よりによってここで。先ほど教えて貰った方にまた出会ったので他にと聞くとまだ十一時そこそこなので、一軒は(こちらの方が良いとのこと)まだ開いていず、もう一軒へ。漁協を探すときに何度か前を通り過ぎていたのです。
 小奇麗なお店で、一家族が居ます。業者らしき男が奥で話をしていましたが、店の人は気付きもしません。男が教えて、店の人が出て来ましたが、一人で座敷に上がります。メニューを見ると、中々良いお値段がします。迷いましたが折角来たんだからと、やはり関サバの定食を。さすがに関サバだけあって臭みは全く有りませんがクロメ汁という特産の海草を使ったこちらの方が良かったです。と言うか、折角ここまで来ているのだから、東京で食べるより安くもっと鮮度の良いものを期待していました。はっきり言ってこんなパンフレット作っているなら、と申し上げたくなります。いささかムッとしつつも、サッサと平らげお会計を、と言うとデザートのアイスクリームが…とオネーサンに引き止められます。しかしこんな肌寒い日にアイスとは、要らないと断ると、向こうも意地になったのか食べて行けと。三口で食べ終え店を出ました。期待しすぎていたせいでしょうか、ガッカリしました。
 近くの道の駅に立ち寄ると、こちらも関サバを出していました。そうは言ってももう入りませんから気を取り直し、別府へ。名だたる温泉場です。そんな中、駅前に¥100で入れるという駅前高等温泉へ。冷えた身体を温め、GSで給油。\135がザラに、と言う環境大分では満タンに出来ません。別府ICから高速に乗り、これまた有名な湯布院を横目に福岡方面へ。登り道、目一杯アクセル開けて70Km/hって…。
 朝倉というICで降りて、国道386号(日田街道)を行き博多方面に。降りて直ぐ、GSが。\121って大分とは全然違う安さに、先ほど満タンにしなくてよかったと、安いところで満タンに。\117でしたから。
 早めに博多に入り、安宿を探し投宿、旅館に荷物を置きます。一度来ている街なのでスンナリ事が運びます。先日休みだった『さきと』に電話をして確認、予約をと言う事で、19:30に。居酒屋で予約とは、中々の人気振りです。
 街をブラブラと、博多は大きい街なので歩き甲斐があります。面白そうな横道に入ったり、西鉄のデパートの中を覘いたりと。良い時間なので飲み屋さんも続々オープンしています。喉も渇いて来ましたし、ビールをと言う事で目に付いた『角屋』という立ち飲み屋に。若い人向けの流行の店ではなく、良い感じの古典的な正統派の立ち飲み屋です。予約をしているのでビール一本と鳥のタタキと言う軽いメニューで。立ち飲みは全国的に流行ってきているそうですが、ここは長くやっているお店らしいですネ。
 段々お腹も空いてきたので、移動して少し早めでしたが念願の『さきと』へ。カウンターだけの店内は満席近く、それでも予約していたのでもちろんOKです。
昼の関サバで失敗した分、こちらで取り返そうと思いましたが、残念ながら刺身のサバはなく〆鯖を。隣は左右とも一人客でほぼ同時に帰り、他に二人組みが来て、どちらかに移動しなくてはならなかったので右に。品の良い女性を連れたなかなかのオジサンでしたが、上司と部下だそうで男性は高知出身、女性は長崎出身で両方ワタクシの好きなところではないですか!ということで、西海橋の素晴らしさ等をしばらく話しました。すっかり良い気分でお店を出てフラリフラリと。