流れ着いた立石の熱気に包まれて

江戸っ子・煮込み大鍋

 ここのところ、我らが『にこけん』(日本煮込み研究会)の発展に伴い、各地で自主的にミニこけんが開かれていて、その活動にも参加するうちに、行動範囲が広がりつつあります。って言うか、最近はバイク旅に出掛けていないので、その鬱憤を晴らすかのように電車に乗ってアチコチに出没しているだけなんですが。
 ネットで色々検索していて、やはり下町といわれる地域にはワタクシの好きなタイプの大衆居酒屋・酒場が多くあるのですが、家から歩いていくことができる地域を越えて、少し京成電車に乗ると、その世界では名を馳せる立石という町があります。以前新小岩に短期間住んでいた頃に、その界隈から、青戸(青砥駅付近)を買い物がてらうろつき回っていたのですが、車で移動中、何ともそそるお店があったのです。
 しかし、後で行こうと思いつついつしか月日は過ぎ。どちらの町だったのか判らなくなってしまいました┐(´д`)┌フッ。
 一応地図で確認しましたが、結局行って見ないとわからないので、とりあえず錦糸町から半蔵門線〜押上乗り換え京成線で青砥駅まで。快速なので押上からはノンストップ、青砥の駅に降り立ちます。以前に来た時の記憶を辿りつつ駅付近をウロつくも今ひとつピンと来るお店がありません。どうしても以前車で回っていた記憶と違うという事が、引っ掛かっているのでしょう。こりゃ、思い違いかもしれないと、サッサと見切りをつけて、立石方面に向かいます。
 立石駅に近くなっても、やはり再開発という名の下に、区画整理で見覚えのあるお店が消えていたり。それでも踏み切りに程近いところに、記憶にはありませんでしたが、魅力的なお店がありました。『立石の関所』と看板に掲げられている『江戸っ子』さんです。道路に面する間口は狭いものの、奥に長いお店は一面ガラス戸でその向こうにはお客さんがギッシリ。たじろいでしまいますが、一人なら何とかねじ込めるでしょう。
 席を確保し、特製のハイボールとレバ刺し¥280を注文。レバ刺しはコリコリした食感がたまりません。かなり鮮度がいい証拠です。醤油ダレは最初から掛けられていて、オリジナルのようです。目の前に煮込みの大鍋が湯気を立てているという絶好のポジショニングに気分がほぐれていくのが判ります。レバ刺しの後に煮込みを注文しようと思っていたのですが、結構量があります。しかも、焼き物を運んでいくオジサンの手には何とも美味しそうな、焼き物が。帰って来たオジサンに尋ねると、『テッポウの辛タレ』ということ。それをお願いしますというと、心得たとばかりにニヤリとイイ笑顔。
 焼き上がって来たのがこれ。一皿3本¥270。柔らかなテッポウにニンニクダレ&一味のスパイシーな味に酒がグイグイ進み、これは絶品です。上は同時に頼んだカクテキ¥170。コチラのお店、コストパフォーマンスが高い!無くなり掛けてきた、煮込みに辿り着く前に腹が膨れてきそうです。
 それにしても、店員さんの接客もサッパリしていながらきめ細やかで、本当に気持ちよく酔えます。天童よしみ似のママさんも笑顔が素敵で、初めての一見客なのに隣りの常連さんと同じく接してくれます。
 さてこれが煮込み¥280。お玉一杯かと思ったらとんでもありません、タップリ二杯。これで¥280なんて信じられませんね。柔らかく煮込まれたモツはトロンと溶けていき、コクはあるのにサッパリした味付けの、久々に美味しいと感じた煮込みでした。ハイボール3杯と以上のつまみで\2,000チョっと。これはいいお店を見つけてしまいました。