北千住を極めてみようとする会〜その2〜

萠蔵 ランプ

 千住の『永見』さんを出た我々7人はその魅惑のストリートをそぞろ歩き。『大升』さんも見えますが7人で入るのはチョっと無理があります。前回とは違って(お客さんが)入っているお店は一杯で、入っていないお店は閑古鳥が鳴いている状態。前回と同じく、立ち飲みのワインバーに入ることにしました。カウンターは埋まっていますが、壁際の長いカウンターの方は、7人がすんなり納まります。常連さんが付いているのでなかなか良いお店なんでしょうが、前回同様あまり愛想のない接客に苛立ちを覚えますが、前回も体験しているのでショックは少ないです。それぞれワインやビールを一杯飲んで店を後にしました。
 さてお次は、と練り歩きますが人数がネックで、これはというお店がなかなか決まりません。それさえなければ、良さそうなお店は一杯あるのです。その通りの終わりの方に、ちらりと覗くともう出来上がった女の子二人が、盛んに『おいでよー』と誘ってくるのですがカウンターだけで10人も入れば一杯になりそうなお店で、空席は3席。どうやっても無理です。お客のおっちゃんが『女の子たちだけ中にはいって、男は外だー』と勝手なことをのたまうのですが、外にビールケースでも積んでいれば楽しく飲めそうな、そんな雰囲気のお店でした。
 雨降る直前でそうも行かず、諦めた我々は、その一本裏通りに紛れ込みます。暫く住宅が続きますが駅に戻る方向に進むにつれて、お店が見えてきました。チョッと洒落た二階建てのお店です。『萠蔵』さんというようです。一階はカウンターとオープンキッチンですが二階には7人入れるということで、交渉成立。先に居た4人組の中高年グループが入れ替わりに出てくれたので、我々は貸切に出来ました。15人ぐらいは収容出来そうです。先客の片付けをしている間、Snowさんと窓際の席でしばし。これが窓を開け放って夜風がとても気持ちいいのです。テーブルも長火鉢のようなシッカリした感じで、窓から下を眺めたりと、カップルにはもってこいの席でした。ともあれ、セッティングが済み3人、4人で席に着きますとまずは飲み物。片付けてくれたオバちゃんに言うとその場で置いてある梅酒・焼酎の一升瓶から作ってくれます。
 ホッピーがあるのか尋ねると、あるということなので、Snowさんと二人ホッピーを作ってもらいます。飲み物が揃って改めて乾杯!ようやくホッピーが飲めます。…と口をつけると、ウィスキーのハイボールのような濃厚な味がします。ああ、オバちゃんだから、ホッピーは一つでもう一つは間違ってウィスキーのハイボールを作ってしまったんだなぁと思ったのですが、それはSnowさんも同じ印象だったそうです。聞くと、なんと『閻魔』というロックでも一杯売りで飲んだりする麦焼酎を惜しみなく使ってのホッピーだったのです。過去に『いいちこ』はありますが、『閻魔』とは初めての体験です。道理で濃い味がするのです。
 料理も、煮込みは残念ながらこの日は品切れで注文出来ませんでしたが、一口お通しを頂くとビックリ、実に美味しいのです。季節の鱧の梅肉掛け、若筍煮、ソラマメと季節感バッチリ。関西(尼崎)出身のHさんも鱧に大喜び。みんなも予想外の美味しさに驚きの声を上げております。次々に運ばれてくる(下から上までは運搬用のエレベーター、リフトというのか?)料理は皆とても美味しいのです。

左から鰹の土佐造り、豚の角煮、ゴーヤと豚肉の炒め物あんかけ。土佐造りは酸味が利いているのですが、きつくなくサッパリ。豚の角煮も箸で切れますが、噛むとシッカリ噛み応えがあります。ゴーヤの炒め物はあんかけと言うのは初めてでしたが実に滋味深い優しい味付けです。
 ずうっと付きっ切りで世話を焼いてくれる、長崎弁で話すこのオバちゃんの話が実に味わい深く、興味深いのです。階段の上からキッチンにオーダーを通す、最初はただの仲居さんかと思っていたら、ココのお店のオーナーさんだったのです。しかも話が進むにつれ、このお店以外にも6軒(=このお店を含めて7軒)のオーナーさんだったのです。

  • cosmic soul(cocktail bar)
  • 萠蔵(居酒屋)
  • あさり食堂
  • でんでら亭
  • わかば堂(カフェ&バー)
  • 南蛮渡来(立ち飲み)
  • 1503(パーティールーム)

というラインナップで、話をしているとちらりちらりとそれぞれのお店の話が散りばめられます。思わず引き込まれるその話術も巧みながら、まったり気持ちの良い雰囲気で意外にお安いお会計。次からはこのお店でスタートも良いねとの結論に至りました。
 そのオーナーのお話にすっかり魅せられた我々は4件ほど隣の『わかば堂』さんへ流れます。暖かい明かりの和むカフェです。真空管アンプの柔らかい音、古いスピーカーはオーディオの好きなワタクシには柔らか過ぎるぐらいですが、この雰囲気にはピッタリの音なのです。分析的に聴くのは似合わないです。ここでは一息お茶で一服派とそれでもお酒派が仲良くお茶をします。和みの空間でいつまでも居たくなりますが、そろそろ終電ということで今回の北千住をすっかり楽しんだ我々は駅に向ったのでした。