夏におでん!?〜金沢の夜〜

どて焼き

 まだ高い日のうちに到着できて一安心、シャワーを浴びて汗を流すと街へと繰り出します。片町という交差点が繁華街のようです。聞き覚えのある香林坊というのもどんな所か気になるところですが、ブラブラと歩いてみます。先程金沢に到着して、ホテルを探す合間に109が出現してきたりなかなか賑わっているようです。表通りを歩き、横の通りが歩行者天国のように開けた感じで、洋服屋や若い人が集まるようなお店が集まっているようで、とりあえず流してみます。一通り端まで行くと出てきたホテルの直ぐそばだということに気が付いて、折り返し、気になったCDショップや洋服屋を冷やかします。CDは買って帰る訳には行かないのですが、『Hed Kandi』レーベルのCDの在庫が8タイトル近くあり、これはなかなか東京でもお目にかかれない光景。他のCDの棚も探りグッと我慢します。まだまだ旅が始まったばかりでCD10枚以上(Hed KandiのCDは1タイトル2枚組みが多い)を持って行動するのはあまり望ましくないのですから。
 捨てても良いようなどうでも良いTシャツばかり持って来ていたので、洋服屋を覗いてみますと、なかなか風合いの良いTTシャツに出会い、接客の感じも良く予算オーバーながらお買い上げ♪早速着替えて少し暮れてきた街を再び歩きます。先程通って来た道を全て戻るのはちょっと馬鹿らしいので横へ横へと流れて、小さな川(水路)の流れるほとりに(←完全にオーバーな表現です)、良さそうな寿司屋さんがあり金沢の料理も頂けるようです。しかしオープニングで行くにはチョッとなぁと、諦めて更に進むと残念ながら閉まっている居酒屋さんというかおでん屋さん。開いていたらさぞかし渋いだろうなぁと思わせるお店でしたが、開いてなければ話になりません。表通りに出ると、ちょうど109の前に出ました。
信号の所には香林坊と書かれています。信号を渡ると、これまたそそられるおでん屋さんに出食わしました。『菊一』さんというお店です。真夏におでん?とも思いましたが、興味が勝りは入ってみることにしました。
 鍵の手のカウンターメインのつくりで、先客から離れて腰掛けます。おでんの煮える舟の前です。このおでんというのは地域性に富み、その地方地方で全く思いもかけないような食材・具材を使うことがあります。メニューを写してみましたが、知っているような具もあれば『ふかし』、『ひろず』と関東では馴染みのない名前もあります。またあちらこちらの日本酒もかなり飲んできたワタクシですが、地方を訪ね歩くたびに全く知らないお酒に出会うのも楽しみの一つ。石川の地酒というと、天狗の舞、手取川、獅子の里、菊姫、加賀鳶、黒帯、福正宗と飲んで参りましたが、コチラのお店では日栄というお酒。いやはやまだまだ知らないお酒があるものです。お燗する?と聞かれますが流石に常温で、と注文します。
『ひろず』は関西で言う『ひろうす』の訛ったものだなぁと、見当が付きました。関東で言うがんもどきに近いです。元々は『飛竜頭』と当て字になっているのですが、ポルトガル語の"filhos"という料理がオリジナルなのだそうです(by Wikipedia)。チョッと絵面的に汚いですが中身は何かと見ましたら、少し黒っぽいのはナスかと思ったら、蓮根で他に人参が入っていました。見たままのあまり濃くはない味で、昆布巻きはとても柔らかく、関東ではようやく噛める程度という硬さが多い中、ココのものは箸で千切れるほどの柔らかさ。中には魚の身が入っていました(種類は判らず)。どて焼きは味噌ダレの中でグツグツと煮えているのではなく、特製の浅い鍋に湯を張りそこに生のスジ肉(串刺し)を並べ煮えたところで傍らにある味噌の山に擦り付けて供するというもの。タレで煮るのではないのですがキチンと合わせ味噌になっていてこれまた絶品(一番上の写真)。

 お店の女将さんに許可を貰っておでんの舟を撮らせてもらいます。季節替りのネタとして、トマト、もろこし(とうもろこし)、太きゅうりが別になっていて、牛スジも別になっています。聞くと『ふかし』は『はんぺん』のようなもので、もうすこし魚の身が多く練りこまれているのでモッチリしているそう。もう一つ特徴的なのは紅白二色あるということです。『梅貝』は『バイガイ』でした。先は長いのとおでんは意外にお腹に溜まるのでこれにて終了。
 再び夜の街をそぞろ歩き。どうにもピンと来るお店がなく、来ても混んでいるという悪循環にはまり、結局入ったのは地元料理も出している居酒屋さん。でもこれと言って記述すべきこともなく、ビールでお腹が膨れただけ。
 やはり、こんな日は最初に見つけた寿司屋さんで日本海の幸を頂きましょう。
お酒をお供に白身を頂きます。鯒(コチ)と何だったか忘れましたが。コリッとしていて甘みもありお酒にピッタリですね。カウンターも広く、4人イタリア人が短辺に掛けていましたが、全く余裕のあるつくり。
 続いて握りを頼みます。並、上、特上とか松竹梅と三段階あるうち、日本人的には『見栄と予算のせめぎ合い』で中間のモノを注文することが多いようなのですが、今回は下のランクでどんなものが出てくるのか、と興味深く注文してみました。

 がんど(ハマチ)。流石に日本海、身が締まっております。醤油に浸けるとパァーっと脂が回ります。甘エビ(生)やまぐろが続いて淡い酢飯が程好くサッパリしております。

 タコと貝も丁寧な仕事がなされていてツメがサッと塗られています。甘過ぎるものも多いのですが(これはむしろ苦手)、ココのは好ましいタイプで最後まで美味しく頂けました。これだけの内容なら一番リーズナブルな値段設定のものでも充分に楽しめます。以上で\4,000弱。回転寿司とは違った満足のいく接客と空間で金沢最初の夜は更けていくのでした。
■店名 蛇之目寿司本店 (じゃのめずしほんてん)
■TEL  076-231-0093
■住所 石川県金沢市片町1-1-12
■営業時間 [月〜土] 11:00〜14:00 17:00〜22:30 [日・祝] 11:00〜22:30
■定休日 水曜日