東京・北の辺境、赤羽にて

鯉のうま煮

 昨日の日曜日、朝から何となく出掛けたくなるような気持ちのよい晴れた日でした。先週末は両国の居酒屋さんをハシゴしたのですが、その時に赤羽のおでん屋さんの立ち飲みがあると教えると、行ってみたいということで、Hさん(北極会)と話が盛り上がりその時は、電話を掛けてみるとあいにくもう閉店時間ということで断念しました。そこで昨日はいつが定休日なんだろうかと思ってネットで調べて見るとなんと日曜日でも営業しているということが判り、俄かに出動する気満々。何人かに電話をしてみるとやはりつかまったのはHさんでした。昼ご飯を食べていなかったので集合時間を遅めに言ってきたHさんを急かして駅に集合しました。
 秋葉原京浜東北線(快速)に乗り換え、およそ20分程で到着、午後の二時過ぎでした。久し振りの赤羽で、しかも昼間に訪れたのは初めてです。日曜日で昼間だというのに飲み屋さんはやっているのでしょうか?
 目的のお店はアーケード街(赤羽一番街シルクロード)の中にあります、丸健水産というお店。おでん種屋さんなのですがその場で食べることも出来て、缶ビールやチューハイ類、果ては地元赤羽のお酒(東京都内にある数少ない地酒の酒蔵は殆んどが多摩西部から八王子・青梅方面ですが二十三区の中で北区に唯一小山酒造があるのです。)の『丸眞正宗』が飲める立ち飲み屋さんでもあるのです。

 早速お得なおでんセット¥700を二人とも注文。お酒(ワンカップ)を燗してもらいます(Hさんは缶ビール)。前回は好きなものを選んで食べたのですが、セットはどんな内容なのか興味があったのです。ネタとしてはショウガ天、ちくわぶ、昆布、イワシのつみれ、カレーボールとさすがはおでん種屋さん、練り物ばかりです(涙)。
ワタクシ練り物は非常に不得手なんですがここはこだわって自家製で作っているということに敬意を表して四の五の言わずに黙って頂きます。寒風吹きすさぶ外よりは幾分風の弱まるアーケード内とはいえ、燗酒の温かさが沁み渡ります(嬉)。Hさんは関西・神戸の出身。関西のおでんとの違いなど教わります。それによると関西の方がもっと煮込んで味を染み込ませるのに対し、関東はあっさり煮ているとのことでした。薄味の出汁ではあるのですけれども、ワタクシの考えている関西風とはコチラのお店のものとはちょっと違うようでした。大根やがんもと一通り頂いて次のお店へ。
 お次に選んだのは赤羽といえば、と『まるます家』さんに決めていたのですが、残念ながら満席で待っている人も居ます。埒が明かなさそうなので、他をあたることにします。結構おでんというのは腹に溜まるものなのでむしろ散歩がてら腹ごなしが出来て好都合というものです。

 ブラブラと歩いて、そういえばと立ち飲みの名店『いこい(アサヌマ酒店)』へと足を運びましたがあいにくお休み。裏手に当たる(駅側からすると表側)の『まるよし』さんもお休みで再び元に戻ることにします。『福しん』では毎週日曜日餃子が¥100というのも心惹かれますし、中華屋さんではおつまみが¥210均一だったりとどれもこれもそそられますが、やはり初志貫徹、『まるます家』さんに入りたくてしばし待つことにしました。それでも予想よりも早く入ることが出来てラッキー♪
 外の寒さとはうって変わって店内の熱気は大変なもので、二つのコの字型のカウンターにはビッシリお客さんがへばり付いています。カウンター席にしたかったですが丁度テーブル席が空いたので二人ではもったいないものの悠々と使わせてもらえました。早速生ビール大と瓶ビール大瓶を頼んで、うなぎが売り物のコチラのお店なので当然のごとく、うなぎの特上¥1,500(一尾分)を奮発。焼き上がりを待ちながら鯉のうま煮、メンチカツも注文します。
 下焼きをしているのか意外に早く運ばれて来た蒲焼。キリッとしたタレはサッパリとしていて脂の乗りも丁度良くてつまみに丁度良い感じ。チョッとした贅沢ですがたまには良いでしょう。二人で分ければ量的にも○。
 鯉というのはあまり食べた記憶はありませんでした(実家では母親が川魚を一切食べない主義だったので当然食べたことがなかった)けれども、甘辛く煮てある鯉の身はワタクシは全く臭みを感じることもなく美味しく頂けました(Hさんはやはり苦手なようでした)。骨や鱗までも食べられるとラズウェル細木さんの『酒のほそ道』に載っていたので食べてみると、太い中骨も柔らかく煮こめれていて小骨も刺さることなく完食。これは気に入りました。
 メンチカツ¥550は運ばれて来たときに思わず声を上げてしまいました。写真では判りにくいですがかなりのボリュームです。普段はメンチカツは絶対に食べないのですが(過去に泊り込みのアルバイトで三日連続晩御飯のおかずがメンチカツでそれ以来食べられなくなった)、これは非常にそそられて一口だけ分けてもらいました。ジューシーで美味しかったです。添えてあるトマトのサルサソースがまた味のアクセントを付けてくれます。
 最後にHさんは肝串を、ワタクシは肝吸を頂いてすっかり満足。約一時間半の滞在でした。他にも煮込みも人気のようで幾つも運ばれて行きましたが、そろそろお腹もきつくなったので次回持ち越し。っていうかまた是非来たいお店のリストに載っかりました。値段的にはそれほど安いという印象ではありませんが、内容的なもの、量的なもの、お店の雰囲気、という総合的なことから判断して満足度は高かったです。赤羽というと、他にも名店揃いですから今後北千住のように頻繁に訪れる可能性が出てきました。

 外に出ると風が本格的に冷たく変わり駅に急ぎます。京浜東北線に乗り、上野で乗り換え常磐線で北千住、もしくは北千住から更に南千住というルートも考えていましたが、結局寝過ごしてしまって、秋葉原まで来てしまいました。総武線で帰ろうと一旦錦糸町で降りたのですが、Hさんがマッサージに行きたいということで(腰が痛いとのこと)、ワタクシの手持ちの駒の中から小岩のタイ・マッサージのお店をチョイス。そのまま小岩に行くことにしました。一通り丁寧にマッサージをしてもらいすっかり腑抜けになったまま適当に入った沖縄料理のお店で一杯引っ掛けて錦糸町に帰ったのでした。