生碼麺(サンマーメン)から始まった野毛めぐり

野毛にある酒屋さん

 ここのところグズついていた天気も、日曜日には回復するということで、天気予報を信じて久し振りに横浜方面に出掛けることにしました。中華街から関内・馬車道方面にかけては古い造りの建築物もあってなかなかイイのだなぁとカメラを担いで電車に乗ったのですけれどもいつも仕事で通り掛かる桜木町駅前にある『ぴおシティ』なる建物の中に味わい深い横丁チックな地下街があるとコチラの本まぼろし闇市へ、ふたたび 続東京裏路地「懐」食紀行まぼろし闇市へ、ふたたび 続東京裏路地「懐」食紀行』を読んでいて知ったのです。いつもはトラックで疾走し通過するだけのこの街、札幌からこちらに来て最初に住んだ街が横浜市で(端っこだけど)、馴染みがあるのです。しかし桜木町は思い返してもたったの数回しか訪れたことのない街。海側のランドマークタワーが出来た頃に何度か来たかなぁとおぼろげな遠い記憶。しかし、かすかに地下街のお店で生碼麺(サンマーメン)を食べたことがあるのは思い出しました。
 電車に揺られることしばし。久し振りに降り立った桜木町の駅は意外に混雑していてみなとみらい線や市営地下鉄との乗り換えのターミナル駅としての役割を果たしていることを否応なしに思い知らされます。ワタクシが学生の頃はまだ東急東横線の終着の地でしたが、今では『みなとみらい線』なのですね(驚)。さて駅の北側に走る国道16号線を越えると目指す『ぴおシティ』があります。 どういうわけだか、駅の辺りにはカメラを首からぶら下げた方が何人かいらして、何を撮るのか興味を惹かれました。信号を渡りいざ地下街へ。
 久し振りなのでどう入って行けば良いのか良く判りませんでしたが、駅から地下道で繋がっているようでした、雨の日には便利ですね。ワタクシは外観の撮影があったのでどうでも良かったのですけれども(←負け惜しみ)。
 エスカレーターで降りますと地下一階は少し寂れた感じは否めませんが、地下二階は煤け具合が絶妙な飲食街になっております。ワタクシの予定では昔食べたお店を探し出して生碼麺(サンマーメン)を食べて懐かしもうという目論見でしたが、こりゃのっけからやられてしまいそうな見事な立ち飲み屋さんを発見。お客さんも、そこそこ入っていて非常にそそられます。食事にするか、飲みにするか天秤に掛けますが、昼時を過ぎてやって来て(到着時13:00を少し過ぎた頃)久し振りにサンマーメンを食べられるという完全に胃袋はサンマーメン状態ですから、ここは大人しく地下街をグルリと一周。降りて直ぐの小さな中華屋さんがそのお店かと思ったのですが、他にもあるようなので一回りしました。決して大きいとはいえない(小さくもない)地下街ですが中華料理を出すお店がいくつかあります。しかし記憶に合致した先程のエスカレーターそばのお店に入ります。
 カウンターだけの、10人も入れないぐらいの小さなお店ですがマスターが手際良く調理しています。注文はもちろんサンマーメン¥600。
 ここで断っておきますが、『生碼麺(サンマーメン)』というのは東京でも出しているお店がありますけれど、非常に少数派。神奈川近辺でしか見かけないメニューで、タンメンの具を餡かけにして、普通の醤油ラーメンの麺とスープの上に乗せたもの。タンメンよりひと手間掛けていますけれど、ほぼ同じぐらいの値段設定が多いようです。餡かけの餡は塩味と醤油味の二通りがあるようです。まずはスープを啜って思わず笑みがこぼれます。キリッと辛口(醤油)のスープでショウガが効いています。好みでコショウやラー油を掛けてもOK、酢を垂らすとサッパリするようです。食べ終えてかなり満足しました。やはり食べたい時に食べたいものを食べるというのは良いものです。
  食べ終えて店を出てすぐにある別の立ち飲みのお店。これも渋いです。しかしながら食べたばかりでお酒は入りそうにありませんから今回はパス(涙)、また別の機会にしましょう。そのお隣にも生ホッピーの文字が染め抜きにされた暖簾を出しているお店があるのですが、昼時は定食をやっているようでした。

 さて地下から上がって地上に戻りますと野毛の街です。その名前は知っていてもどんな所か全く知りません。ワタクシは初めて訪れる土地のことを事前にあまり下調べをしたりはしない主義なのです。何があるか判らないからこそ面白いお店を見つけるということに醍醐味を感じるという考えですから。ただしこれは、という以前から行きたいと思っていたお店の場所の見当ぐらいは付けられるように地図は頭に入れて置きました。野毛というのは動物園があるそうで『動物園通り』というのが交差点から見えます。串揚げの文字も掲げる立ち飲み屋さんも見えるので行って見ましょう。
 大穴という名前のお店で平日にはお得なセット(飲み物一杯と焼き物二本、キャベツ、小鉢がついて¥850!)を出しているようです。他にも焼き物や串揚げで一杯やりながら競馬中継を楽しめるようです。ネーミングがまた良いものですね(´▽`*)アハハ。


 少し先に進むとどうして競馬中継を看板に掲げているお店が多いのか、警備員の服装をした人が多いのか、その理由がやっと判りました。ワタクシが住む錦糸町もそうなんですが、JRAの場外馬券場があるのです。全然知りませんでしたね、ワタクシギャンブルを一切やらないもので。熱心に新聞を熟読している諸先輩方が思い思いにたむろしたり、馬券場に向かったりしております。街には飲み屋さんが昼間っから営業しているのもごく普通の風景。デンスケって初めて知りました。
 歴史を感じさせる良い具合の中華料理屋さん。『あとをひく味』のタンメンとは気になりますねぇ♪それにしてもタンメンと餃子の組み合わせというのは一つの最強パターンですね。ジャイアント馬場アントニオ猪木のタッグというか(古っ!)。家の近所にあったら間違いなく通ってしまいそうです、仕事帰りにビールでも頂きながら。
 道路を渡ってみます。最初はよく分からなかったのですが縦横無尽に路地が入り組んだ巨大な飲み屋街なのです。これは丹念に見て行かなくてはなるまいと、一本ずつ歩いて見ました。すると先程『ぴおシティ』の地下街で見掛けた『石松』というお店を発見、コチラは普通に座って飲める居酒屋さんのようです。

 その代わりと言っては何ですがお値段もお高め。これは当然ですね、立ち飲みではないのですから。それにしても『だんまや水産』というのがこの隣にありますが、大手資本の居酒屋チェーンは数えるほど。無数の中小の個人のお店が軒を連ねています。チェーン系の居酒屋の苦手なワタクシにとってはまさに理想郷のようです。

 太田和彦氏の本『ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇』ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇 (新潮文庫)にも出て来る三陽というお店も発見。ネーミングの妙で色々な麺があるようです。今度余り食べていないときにでも機会があったら入ってみましょう。それにしても路地は無数にありたて横と歩き回り、グルリと一周してみたり。どこまで回ったか、無駄なく回りながら写真に収めていきます。一昔前ならいざ知らず、今はデジカメで失敗しても直ぐに消せるしそれ以上にメモリーが莫大なので今使っているカメラなら2,700枚以上撮れますのでバシバシ撮ることが出来ます。それ以前に電池切れの方が心配ですが。
 関西風の串揚げのお店もありました。立ち飲みとなっていましたが、折り畳みの椅子が並んでいてこれなら疲れなさそうです。少しつまんで見たい気もしますが、満腹時に揚げ物のニオイはちとキツいですので…。
 ほぼ全ての路地を網羅して再び『ぴおシティ』の程近くで見掛けた看板。一つの企業のグループらしいですが10軒以上あるのではないでしょうか、凄いですね。壮観です。
 そこから暫らく北に上ったところにある都橋商店街という無数の飲食店が二階建ての建物に集合しているところ。そこから大岡川という川を越えると伊勢佐木町になりますが、引き返して京急日ノ出町駅の方に向かいました。(続く)