消えゆく羽田の名店からミニこけん

串打ち三年

 広がる『にこけん』のつながりの中、城南地区でひとり気を吐くふんわり親方さんの地元、羽田にあるもつ屋さん。名前を伏せさせて頂いて以前ご紹介しましたけれども、とうとうというか遂にこの3月末でお店を閉められることが決まったようです。お店を切り盛りされているお二人が高齢のためなのですが、そろそろ行っておかないとなぁと思っていた矢先に、ふんわり親方さんから、その内のお一人が転んで骨折しお店に立てなくなってしまったとの報告メールが届きました。
 多太郎左衛門さんもまたこちらのお店に是非来たいと切に願っていらしたお一人。ということで急遽三人でこちらにお邪魔する運びとなったのです。ワタクシは初めてではないものの地元の方々に愛され続けてきたこちらのお店には4回目ということで新参者もいいところですが、末席を汚させてもらいました。もちろん『にこT(にこけんTシャツ)』を着ていきましたよ〜♪
 普段は二人で切り盛りされているところ、お一人なので料理は全部は提供できませんとのことで、焼酎を割る物を持ち込んで(持ち込みOKだそうです)軽く飲む、ということでしたが、お店に到着すると既にお二人が揃っていてふんわり親方さんは何やら串打ちに勤しんでおられました。とりあえずビールで乾杯。つまみは出来ないのかと思ったら、レバ刺し(好♪)が出て来ました。好物なので嬉しい誤算です。コロコロとぶつ切り状で、しっかりした歯応えのレバー、これが頂けなくなるとは…(涙)。
 先程親方さんが串打ちしていたのはコメ(コメカミ)でした。コメカミというのは意識して食べていませんでしたけど、カシラのような気がしました。関東ではカシラですけど関西ではツラミ、コメカミとより細分化されているようですね。程好い脂肪と歯応えが特徴。この他にもやはり煮込みをということで頼んだのがこちらの煮込み。
少々脂が強いですが、味は薄めの味噌味。臭みは全くありません。部位は様々な部分が含まれ野菜・根菜の類は無し。載せられたネギが鮮烈な香りを放っていました。話も盛り上がってきたところでそろそろ割り物もなくなりお客さんも入れ替え時。お会計を済ませて次なるお店へ向かいます。
 京急に乗って、というところでいつも気になっていたお店にお二人を引き止めてしまいました。この街に似つかわしくない様なチョッと洒落た蕎麦屋さんですが、外のメニューには魚の名前がズラリと並んでいて飲み屋さんのようでもあります。入ってみるともうあと一時間で閉店時間ということもありますが、お客さんが一人も居ないのに女将さんがひとりテーブルで佇んでいたらしく読み掛けの某かと湯呑みがあるのですけれど、他のテーブルには食べ終えた食器が置かれたまま。チョッと拍子抜けしてしまいました。とりあえずまた瓶ビールを頼んでもり蕎麦を二人前と穴守ステーキ(油揚げを焼いたもの¥530!)を頂きます。蕎麦自体は風味は良いんですけど何だかモッタリした印象。他のお客さんも入ってきたところで、食べ終えたワタクシ達はお会計して駅へ急ぎました。スタートは早いものの午後九時を過ぎているのです。
 京急に乗って京急蒲田まで出て、目指すお店は『片桐』さん。初めてふんわり親方さんとお会いして連れて行ってもらったお店です。元々お肉屋さんということで、肉に関してはピカイチのお店なのです。こちらではホッピーを頂くことにします。
 お通しのお新香には多太郎左衛門さんも驚かれたのではないでしょうか?充分過ぎるほどの量でこれが3人で二つ出て来ました。一人なら他につまみが要らないぐらいの量です。メニューを見て決めた生姜焼き。おもむろにスライスされた豚肉を焼き始めてからタレを絡めるのですけれど、漬け込んでもいないのに程好く味が染み込んで実に良い具合です。
 ライスが無いのでアタマだけですがカレーも挑戦しました。実は余りカレーは得意ではないのですけれど、前回来た時に入口を開けた時に先客が頼んでいたそのスパイシーな香りに魅了されていたのです。実際口に含むと牛テールで作ったカレーは甘味よりもスパイスが効き辛口の大変美味しいもの。ビーフカレーは得てして甘口が多いように感じますが、キリッとしていて好印象。
 そして必殺のミノ焼き¥950。一見、値段が高いように思えますが食べれば必ず納得の一品です。三人ですけれどもこちらのお店では一つ一つが大きいので少しずつ頼むのが宜しいようです。満足満腹で駅へと急ぎました、焦らないようにするならそろそろ帰る時刻です。しかし折角此処まで来たらと多太郎左衛門さんはふんわり親方さんを促して行きつけの『M's Bar』へ行こうというのでワタクシはここでお暇させてもらいました。