TFK:トルコ料理研究会

ヤプラック ドルマス

 とかく日本では『世界三大〜』『日本三大〜』という何か傑出した物事を3つ決めたがる傾向にあるようですが、Wikipediaによると世界三大料理というのは中華料理、フランス料理と共にトルコ料理が選出されるそうです。これはワタクシにとって意外なことで和洋中という言い方もある通り、日本料理・仏蘭西料理・中華料理辺りが定番かと思っておりました。かの『料理の鉄人』ではフランス料理の部門が、時にはイタリア料理になっていたりもしていたので、そこら辺も有り得るかと思っていたのですが、トルコ料理とは全くノーマークでした。
 ということで、我らがにこけん(日本煮込み研究会)の分科会であるKFK(Korean Food Kenkyukai:韓国料理研究会)のメンバーであるM代さん、そして前回初参加のマエキョンさんにお二人の繋がりを尋ねると、トルコ語を習っていてということでのご関係だということが判明。そこでトルコについてあまりにも知らないことが多いと思い、チョッと検索すると先に述べたような世界三大料理の一つだということを知り、マエキョンさんにコーディネートしてもらうことにしたのです。
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 雨のそぼ降る高田馬場に到着したのは集合時間の約一時間前。いささか早過ぎました。しかし仕事上がりに普通に電車を乗り継いでやって来るとこんなものなので仕方がありません。
 ということで、江戸川橋の『みつぼ』さんの支店が高田馬場にも昨年オープンしたということを以前からネット情報で知り行きたいと思っていたので訪れることにしました。
 早稲田通りにある高田馬場の乗降口を出ると西に少し歩きますと、すぐに線路沿いの小道に出ます。そこを南に、つまり新宿方面に歩きますと2・3分で赤提灯が見えて来ました。本店よりも間口の広いお店で引き戸を開けると、良い居酒屋さん特有のモワーンとしたお客さんから発せられる熱気が押し寄せて来ます。テーブル席がメインでカウンターは厨房を取り囲むように10席あるか無いか。店員さんが気が付いてくれなかったので、とりあえず焼き場の前の空いた場所に席に構えました。





 何といっても新鮮なモツの楽しめるお店ですからホッピーと共にレバ刺し¥350を注文。ニラもやしポン酢¥180もサッパリして良さそう。この後トルコ料理を食べるのが目的ですから軽めにしておかないと。
 レバ刺しの薬味はショウガで、と店員さんに言いました。と言うのもこの後女性陣二人とお会いするのですからニンニクは避けた方が良さそうだとの判断です。しかしショウガを止めて、と聞き違えたようでニンニクタップリで来てしまいました。すぐに作り直すと言ってくれたのですが、忙しそうな厨房を見ているとそんな手間を掛けさせられません。いいよいいよと頂きました。
 相変わらずのプリプリしたレバーには特製のやや酸っぱいタレが掛かり、二切れ程つまんでいると、ぽぱいさんが到着。席を移動して早速ホッピーで乾杯。何せ時間があまりないのでサクサク飲みます。煮込みはゴボウ・大根とモツ、フワが入っていて味噌仕立てのオーソドックスなタイプ。それが思いのほか薄味の上品な味付けでこれはなかなかの一品ですネェ。急いで飲んでいるので忙しないね、と残念がる二人ですが、今度改めてミニこけんでもやろうと心に固く誓うのでした。


 『みつぼ』さんを出て歩くこと五分ほど。さかえ通りの中ほどに今回の会場である『DENIZ(デニズ)』があります。文字で起こすから良いですけど、電話で話していたらデニーズに間違えて行ってしまう方も居るとか居ないとか・・・。予想よりも小じんまりしたアットホームなお店の奥には、M代さん、マエキョンさんが鎮座しておりました。
っていうか、通りに面したところには壁がないので店内丸見えです。
 久し振りの再会に挨拶を交わし、注文は慣れているマエキョンさんに解説してもらいながら決めてもらいました。ぽぱいさんが注文するときにはトルコ語で、とのシバりを冗談で言うと真面目にその通りしようとするので、可笑しくなってしまいました。
 『カルシュック メゼ』というペースト状の野菜料理の前菜。『アジル エズメ』(トマト・玉ねぎ、ピーマンの辛旨ペースト)『フムス』(ひよこ豆のペースト『ウスパナック タラマ』(ほうれん草のペースト)『アメリカン サラタス』(ピクルス入り、ポテトサラダ風)『パトゥルジャン ソスル』(トマト味揚げナス+ヨーグルトペースト)『パトゥルジャン サラタス』(なすのペースト、ヨーグルトとニンニク風味)の六種類が盛合せで¥1,450。辛いのもありますが、旨味を活かした辛さでタイ料理のような突き抜けた、一種趣味的な辛さではありません。それに味付けも濃くなく優しい味わい。それにしてもヨーグルトにニンニクを合わせるという日本人には凡そ思いつかないような味付けに意表を突かれました。っていうか先程レバ刺しでニンニクを避けていても何の意味も無かったことに苦笑ですね。エキメッキというインドのナンのようなパンに付けて頂きます。ナンは平面的な棍棒のような形が多いですが、このエキメッキはまん丸で、もう少ししっかりした食感。
 マントゥという、水餃子のようなものをトマトとヨーグルトのソースを掛けたもの。これはトルコの地勢的なものからして水餃子というのは当たらずとも遠からずと言ったところでしょう。『マントゥ』は中国からの『饅頭』と言う言葉の影響が窺えるような気がしますが、携帯としては水餃子と肉タップリのワンタンのような感じです。見た目とのギャップが結構あります。
 ケバブ盛り合わせ。ここからはメニューの写真がないので良く判りませんが、昨日マエキョンさんから教わったのは、『ケバブ』は焼き肉(焼いた肉)と言う意味だそうです。
 かの有名な『シシ・ケバブ』はシシが串の意味なので串に刺して焼いた肉との和訳になりそうです。また秋葉原や、原宿辺りでよく見掛ける長い棒に刺した肉を外側から熱を加えて焼いたドネル・ケバブというのは『ドネル:回る、回転する』ということで『回しながら焼いた肉』の意味だそうです。これまでのイメージ的には牛肉なのですが、羊や鶏もありだそうです(宗教的に豚は食べない)。これは割としっかりした味付けで、スパイスも効いているものもあり、右下方に見えるライスは文字通りのライスではなく付け合せの野菜の感覚です。
 他に葡萄の葉っぱにライスを包んだ『ヤプラック ドルマス』も追加して少しずつ食べて来たにも拘らず結構お腹が一杯になってしまいました。
 チャイと共にデザートを。ストラッチ(ライスプリン:手前)とバクラワ(ピスタチオ入り甘いパイ:奥)。チャイはインドのようなミルクで煮出したスパイシーなものではなく、ストレートティー。程好い濃さで食後にピッタリ。普段甘いものは食べなくなりましたがこうしてたまに食べると良いものですね。
 ということで事前に殆んど知識が無かったものの、それが奏を効したのかすんなり素直にトルコ料理というものが楽しめました。思ったよりも日本人好みの味なのではないのでしょうか?先にも述べましたがヨーグルトとニンニク(そして塩)と言う組み合わせが黄金の組み合わせのようで、中華のニンニク、ショウガ、胡麻油のような組み合わせで巧く料理の調味に使われているのが印象に残りました。