新小岩で飲む〜『ひろ八』〜

お造り三点盛り@ひろ八

 昨日の帰りは新小岩に用が有り、仕事帰りに立ち寄ることにしました。用といっても、ルミエール商店街の中にあるお茶屋さんで、毎朝飲むお茶を買うというだけなのですけれど。買えばもう帰るだけ、とは虚し過ぎますので少し歩いて『おばこ』さんでもつ焼きを。いつも混雑するお店なので身構えて行きましたが、開け放たれた入り口のノレンをくぐり抜けると、先客の高齢の男性がひとりだけ。拍子抜けしながらもカウンターの端の方に掛けます。ホッピー(氷なしがデフォ)を頼み、お通しのお新香盛りをつまんで焼き物が焼きあがるのを待ちます。店内クーラーはあるのか判りませんが、開け放たれた入り口から抜ける風が実に気持ち良いものです。
 アブラとコブクロ、塩で焼いてもらいまして、それをつまみに二杯目のホッピーも空けるとお会計。この日は軽く抑えておきます。
 というのも二軒目で、新小岩の北口にある『ひろ八』さんという居酒屋さんの評判が良かったので行ってみようと思っていたのです。
 ガードをくぐり抜け、すかいらーくの裏と言えば新小岩をご存知の方はピンと来る場所にお店はあります。何かと新小岩には縁のあるワタクシですが、この通りに来たのは初めてです。扉を開けると思いの外、先客はなし。カウンターの端に席を構えます。魚が美味しいとの評判ですし、ホッピーを二杯ほど飲んで来ているので、最初からお酒にします。『天領盃』というお酒で新潟は佐渡のお酒です。というかこちらのお店では日本酒は新潟のお酒だけのようでした。
 驚いたのは、このお通し。何とお通しなのに旬の鰹の握りです。初鰹は脂が乗らずにサッパリというのが定説ですが、結構濃厚な味わいでした。それにしても長年飲み歩いて来ましたが、最初に握りを出されたのは記憶にありません。大晦日にお通しで一口の蕎麦を出されてというのは憶えていますが、珍しいですね。

 メニューを舐め回すように眺めてどれにしようかとしばし考えます。一般的な居酒屋メニューとは一線を画す、どれも惹かれる品ばかりです。個人的に蟹や海老といった甲殻類は蕁麻疹が出やすいので少々敬遠してしまいますが、魚系をお好きな方には堪らないでしょう。

 結局ネットの情報でも評価の高かった刺身の盛り合わせ¥1,000を頼みました。『お造り三点盛り』とメニューボードに書かれているのですが、なぜか四種類乗っていました。左からイワシイカ、関イサキ、〆鯖の四種。関イサキはメニューに載っていてかなり迷っていたので、これは嬉しいもの。『関』というブランドでは関サバ、関アジが富に有名ですが、あそこの海域(豊後水道)の急流でもまれた魚は身が締まっているとの評判です。ワタクシも過去に何度か関アジを食べるのが目的でバイクで出掛けているのですが、イサキは初めて。
 でもこの日白眉だったのは、イワシ。とろけるような味わいで、これの握りも良さそうです。イカも旬なのか甘くて美味しいです。〆鯖はしっかりと締めてありました。
 日本酒は初めて飲んだ天領盃というお酒でしたが、新潟のお酒の特徴である端麗辛口でありますが、旨味も充分。魚の旨味をガシッと受け止めてくれます。
 刺身が終わったのに追加したお酒がまだ残っていたので、お新香を頼むことにしました。常連さんがポツリポツリとやって来てお店も賑わって来ました。お新香も一人で食べるには充分な、否充分過ぎるぐらいの量です。お店で漬けているのではなさそうですが、注文が入ってから少しずつ切り分けこれだけ盛り合わせるのは手間の掛かる仕事です。二杯お酒を飲むとすっかり出来上がってしまいました。それだけリラックスして楽しめたということでしょう。お会計もとても良心的。これまた新小岩で立ち寄らなくてはならないお店が出来ました。