福島南部キャンプから焼き物の町・益子へ

益子の炎まつり

 火を熾しながら買って来た缶ビールやホッピーを飲んでいると、つかの間の晴れ間も再び雨が落ちて来て、折角の夕暮れが台無し。タープ代わりの小さいブルーシート(1.8✕1.8m)をテントの入り口に差し掛けて置いたのですけど、正解でしたね。テントに身体を入れて足だけを投げ出すようにしてテント前での小宴会。
 もはやワタクシのキャンプの定番になりつつある、100スキ(100円ショップで売っているスキレット。実際には¥200で購入)で味つきのホルモンを焼きます。以前は網で直火で焼いていたのですけど、味つきの肉は焦げやすいのでスキレットのほうが美味く焼けて汚れも少なく一石二鳥。あらかた熱が回ったところでキムチを投入。ピリ辛のキムチ・ホルモンの完成です。



 順番が逆のようですが、くみ上げ豆腐。思いの外安かったので買ってしまいました。ショウガと醤油をかけてサッパリと頂きます。しょっぱくなった口にピッタリですね。





 ホルモンを焼いた後に水を入れて火に掛けておいたスキレットはお湯になった状態でザッと洗います。紙で拭き取り改めて油を引いて鳥の胸肉を焼きます。塩コショウのシンプルな味付けながら、スキレットで焼くとふっくら焼きあがるような気がします。これも網で焼くと外側がパリッと焼けて余分な脂も落ちるのですが、火が通るのに少々焦げてしまいがちなので、これは焼き上がりの好みによりますね。スキレットなら水分が抜けないのでジューシーに焼き上がります。こんな感じでゆっくり飲みながら食べていると次第に酔いが回り、お腹も膨れてきていつしか後ろにひっくり返って寝ていました。一時間ほどして目が覚めて、トイレに行って歯を磨き、今度はしっかりテントに入って眠ることにします。
 翌朝起きても、そぼ降る雨は相変わらず。弱かったり強くなったり。お湯を沸かして紅茶を飲んで、そのまま朝食をゆっくりとりながら雨の降りが弱まるのを待ちますが、期待したほどではありません。予報を見てもこれから雨が降る予報は出ているものの、上がる予報は北関東から南関東までなので、このまま北上するのはどうも無理っぽいようです。テント内を片付けながら時間を無為に過ごしますが、止みそうにありません。宇都宮に住む友人に電話を掛けるとそちらの方は曇ってはいるものの、雨は上がっているとの情報で、雨の中撤収を決行することにしました。
 荷物を纏めてバイクに乗り、山を降り始めると(一応高度700m程の高地だった)すぐに雨は止み、下界は曇りの天気だということが実証されました。レインウェアを着込んで汗をかきかきテントの撤収をしていたのがアホらしくなります。
 走っているうちに体が乾いてきましたが、同時に体が冷えて風邪を引くのを危惧しながら、ゆっくり矢祭の町方面に走ると、道の駅『はなわ』が見えてきます。産地直売所も兼ねているので、野菜を中心に地元で生産された乾麺や木工品、コンニャクなどを見て回ります。キュウリが10本入りで¥150だとか、40本ほど入って¥300だとかもうその安さに圧倒されながらも、バイクでは運べないので厳選して手作りコンニャクと完全無添加の梅干を買って後にしました。
 国道118号線を南下し茨城県に突入、大子町には温泉街もあるので心惹かれるのですが、まだ時間的に早いのでまだ温泉も営業していないだろうと、後回しにすることにして、ルート確認。町外れで県道に分岐し、山越えをすると美和町から馬頭(現那珂川町)へ出られます。この頃までにはすっかり天気も良くなり、近くの温泉を探します。しかし以前入った温泉と同じでは面白くないのでと『まほろばの湯』という近くの温泉に行って見ると大きな温泉施設であまり興味を惹かれないのです。

 まだ先にはいくつも温泉があるからいいや、とばかりに先に進むことにします。烏山、茂木と進みお昼頃には益子に入りました。久し振りに益子で焼き物を見たいと思っていたのです。温泉に入ってから食事をして焼き物を見るか、食事をしてから焼き物を見て温泉に入ろうかと、走りながら考えていると、道路沿いに蕎麦屋さんを発見。時計を見るともう良い時間です。急遽ここに決定、『菜とう庵』さんというらしいです。

 小奇麗なお店で、やや期待できないかと思いつつも中に入ると口開けの客のようです。メニューを眺め、もり蕎麦の大盛りを注文、なんだか前日も同じものを食べていたようですが、気にしない方向で。メニューを眺めているとかなりこだわりもあり、また言葉遊びというか当て字が多いのもこちらのお店の特徴。メニューの中扉にはこんな文字が。『だんどうみさいる』と読むらしいです。ユニークなんだか、何なのか?
 もり蕎麦大盛り¥785(ちなみに普通サイズは¥525でした)。前日の蕎麦とはかなりの違いがあります。比較的短く細切りで、蕎麦の香りは強く甘みもあります。いわゆる喉越しを楽しむのではなく、香りを楽しめるのがこの日の蕎麦でした(もちろん一度なので別の日は判りませんが)。最初は少なく感じた蕎麦の盛りも、食べ終える頃には充分に満足行く量でした。栃木は気前がいいというか、蕎麦は美味くてリーズナブルなのが嬉しいですね。

 蕎麦屋さんの店員さんに聞くと温泉は益子では知らないようでしたので、市貝芳賀町の温泉を勧められます。どうせなら益子で探したかったのでおおよその位置を聞いて共販センターに向かいます。昔、10年ほど前に来たことがあるのですが、そのときの温泉は泉質は良かったものの、寂れた場所でそこを探すのはどうかと思っていたら、温泉の看板が出てきました。探し当てて行って見ると、記憶とは違うものの既に潰れていて入り口が封鎖されていました。諦めて共販センターに向かいます。
 前回来た時は秋の陶器祭りでしたので、駐車場に入るまで渋滞していたのですが、それほど混雑はしていませんが、それでも結構な人出があります。バイクを止めて早速中に入ります。
 大きな建物の中には全国から集められた陶器が所狭しと並んでいます。手頃な値段のものから、作家物までザッと見るだけでも一時間はあっという間に経ってしまいそうです。バイクなので積んで帰るのは割れそうで怖いし、一つ選び出すのは難しいので今回は見てるだけですが、結構焼き物は好きなんです。
 すぐ近くで見掛けた、蕎麦屋さんでも教わった『ホテルサンシャイン益子舘』というところへ行きましたが、日帰り入浴はやっていないとのことでしたので、もうここでプッツリ行く意欲をなくしました。やはり日曜日というのはどこも混雑していてゆっくり風呂に入るなんてことは、夢のまた夢。
 真岡から国道4号線に出て給油した後、東京まで直行、14時半前には無事帰宅できました。