旅の出発は白河へ

第二かどや

 さて今回の旅は、2006年2007年と過去二回ほど回って来た東北に一年振りに出掛けることにしました。昨年は石川能登を中心に福井方面を回っていましたからね。
 さて東北の旅行も三回目ともなると、今までのように広く回ることよりも、今まで行っていない場所をピックアップして行くということも可能ですし、端から端までカバーする必要もないので気分的に楽です。そこで今まで比較的手薄というかあまり巡っていない山形県を軸に、ついでにと言ったら失礼ですが、本来東北には入らない新潟県北部、そして東北六県の中でもお気に入りの(どの県ももちろん魅力的なのですけれど)秋田県秋田市の居酒屋さんを訪れることを念頭に置いて今回の旅のプランを立てました。ということで今回は東北六県全ては回らないことにしました(そうする事によって日程的にも余裕が生まれます)。
 一日目。朝から準備万端にヤル気満々で出掛けるのでもなくのんびりと朝ご飯を食べて、ブログの記事をアップします。東北への旅行に出掛けるときは最初の宿営地に福島の白河という町に大体決めているので、余り急いで出掛けても早く着き過ぎてしまうので、少し遅いぐらいで丁度良いのです。高速道路で移動すれば自宅から2時間もあれば着いてしまう、東北の玄関口です。
 11時50分頃にようやく出発。全くもって悠長です、我ながら。東京はお昼近くで太陽も出て天気も良く暑さが心配でしたが、向島のICから高速に乗り常磐道方面へ向かいます。走ってさえいれば、意外に暑くないのがバイクというものです。少々混んでいる小菅JCT辺りを過ぎてしまえば、比較的快適に走ることが出来ます。三郷料金所を過ぎ、流山、柏と過ぎて谷和原ICでいつものように高速を降りまして、国道294号線を北上。水海道は現在常総市に名前が変わりいつまでも馴染めずについつい水海道と思ってしまいます。
 いつの間にやら町を抜けて走っていると、筑波山方面にただならぬ色合いの雲が湧き上がるように出て来ました。今にも雨が降り出しそうです。
 お城のある町石下を過ぎると下妻市。重量級の女子柔道の『塚田真希』選手のふる里として印象深いですが、『下妻物語』という映画でもお馴染みの町だそうで。ワタクシ個人はアテネで金メダルを取った時の決勝戦の試合での押さえ込みの表情が何とも印象深くて。
 時間も13時前で、これ以上遅くなってもと、とりあえず昼食を摂ることにしました。街道沿いにあるラーメンショップ下妻店です。隣りにはコンビ二のセーブオンもあり(東京の人は知らないだろうなぁ、北関東ではかなりメジャーなコンビニです)、なかなか便利な場所にあるんです。バイクを止めてお店に入るとひんやりした冷たい風が出迎えてくれますが、空いていたのはその吹き出し口である大型のエアコンのすぐそば。他の人とくっつきたくなければ、そこしかないので我慢します。

 待つこと数分、出て来ました、ラーメン中盛¥650。遅めの昼食ですしそれほどお腹も空いている訳でもなかったのですけれど、ついつい癖で中盛¥100増しを頼んでしまいました。いつも使い慣れているカメラではなく昔使っていたコンデジを持って来ていたのですが、変なところを押してしまっていたらしく、フラッシュを焚いてしまいました。お店の方には失礼しました、ゴメンナサイ。お味は普通のラーメンショップと同じお馴染みの味。ニンニクと豆板醤が入れ放題なのはこのお店・チェーンの特徴。こちらではカットされているタクアンもサービスでカウンターに置かれています。食べ終えてしばしエアコンの冷たい風に当たりたかったけど、結局外に出ると汗がまた噴出してしまうので、すぐに外に出ました。
 外に出ると、入る前にポツリポツリと来ていた雨がほんの少しだけ勢いを増しているようでした。雨具を着るかどうしようか迷いましたが、もう少し様子見で行くことにしてそのまま出発。走り出せば向かう先の空は、雲ってはいても黒さはそれほどでもないのです。筑西市(旧下館)から栃木・真岡市に入り、最初の給油。前回福島にキャンプに行った時も同じルートでしたので、全く同じでは詰まらないので、そこから国道408号線経由で国道4号線を目指して行くのが王道とも言えるルートですが、前回は途中で気が変わり方向転換して山越えをしてルートを外れましたし、国道294号線だけで白河入りをしたことがないので今回こそはと、このままとことん行ってみることにしました。
 そうは言っても過去に何度も通っている道ですし、二十日程前に通っているので途中までは『やっつけ』感があるのは否めません。益子、烏山と走る内に、前回同様小川町(現在那珂川町)で、それまでパラついていたり止んでいた雨がとうとう降り出しました。バイクを止めて雨具を着込んで走り出すと、すぐに雨足が強まって来ます。黒羽の町では本降りで町の様子を眺めるなどということもなくひたすら路面をチェックしながら滑らないように気をつけて走行します。ちょっとした峠道を越えるとようやく福島に突入。一昨年は峠を越えると雨足も峠を越えていたのですが、今年は全く衰える気配もなし。旅館に着くと女将さんに良く来られましたね、と驚かれました。天気予報では大雨洪水警報だったそうです(汗)。濡れた服を着替えて風呂に入ると町へ繰り出します。 今後の行程も考えて、郵便局に積んであった預金を少々下ろしてから、いつもの『梅宮』さんへ向かいます。白河という町は旧市街から新興の新白河駅(新幹線が停まる)方面のほうに勢力が移っていますが、そんな旧市街の中で気を吐く居酒屋さんです。おっと、居酒屋さんというとマスターに『ウチは酒菜屋であって居酒屋ではないから』とたしなめられますね。福島のそれも白河というと周りには海もない内陸の町なのですが、これがどうしてこちらのお店のマスター、魚にはとりわけこだわりがあるんです。同じ内陸の都市である栃木県の宇都宮に住んでいたことが過去にありますが、魚は・・・。札幌も内陸の都市ですがそれでも海産物はそこそこ良かったですからね。北海道だから当然といえば当然ですが、それでも海岸地域には負けてしまうのですけれども。
 こんにちは〜♪と入っていくと、まるで二年の月日を感じさせないしっくり馴染んだ居心地の良さ、これが馴染みのお店というものですね。かれこれ7年ほど通っていますが(10回ほど)、すっかりマスターも憶えて居てくれます。瓶ビール(サッポロ)をもらって、お通しのうにイカをつまんでいると、もうこれだけでも良いかなと思わせるほどでついつい近況を話し込んでしまいました。やはり不況のあおりを受けて、常連客の足も遠のき週一で来ていたお客さんも、ひと月に一回来られるかどうか、と暗い話になりそうだったので矛先を変えるべく鰹の刺身を注文します。ワタクシ愚痴の類は苦手なもので、飲んでいる時にはこうした話は『No サンキュー』なのです。

 鰹刺し¥750。こちらのお店では皮付き、皮なしを選ぶことが出来ます。皮ぎしの脂を頂きたいのでもちろん皮付きでお願いします。それをお客に選択させるのも美味しい魚を食べてもらいたいというマスターの気持ちの表れです。ピンと立ったエッジは鮮度の良さを物語りここが内陸の町のお店であることを忘れさせてくれます。東京でもこれだけのクオリティの鰹を出すお店はそうありませんよ。写真では判りにくいのですけれど、大きさもかなりのボリュームがあるんです。噛み締めると甘味と旨みが口の中一杯に広がります。こうなるとビールではなくてお酒を頂かないとイケマセンね。

 登龍という地元白河のお酒を頂きながら、お次はメニューにも書いてあって気になっていた『ひむか』の生鯖を締めた〆鯖を頂きました。ひむかというのは、知りませんでしたが、どこ?と聞くと遠く宮崎の方から取り寄せたそうです。昔でしたらこういう山の中で鯖なんて、それも生で食べることもあり得なかった筈でしたが、流通の発達の恩恵ですね。実際地元のお客さんも〆鯖というとスーパーなどで売っている真空パック詰めされているカチカチの〆鯖を想像してしまいがちなのですが、それを何とか崩したいというマスターの熱意に心打たれました。いつもはもう少し粘って酔ってしまうので今回は軽く打ち止め、次なるお店へ。

 次なるお店も、ここ白河に来たらついつい入ってしまう『第二かどや』さん。焼き鳥を中心にした居酒屋さんで近くに『かどや』さんもあるのですけれど、こちらの方が大きいような気がします。他にも居酒屋さんはあるのについついここに来てしまうのは謎です。
 瓶ビールを注文してから、傍らの冷蔵ケースにホッピーのボトルを発見。こんなことならもっとよくメニューを見れば良かったです。もっともこのホッピーはリターナブルではなくワンウェイのものですから、それほどこちらでは流通しているものではないのかもしれません。ホッピーのボトルを眺めながら一番搾りを頂いて、コブクロを焼いてもらいます。プリプリとした食感、結構好きなんですよね。そういえばこれのタレってのは頂いたことがないけど、合うんでしょうかネ?やはりこれは塩でサッパリと行きたいものですよね。焼き方も丁度良く満足、満足。メニューを眺めていると煮込みもあるので、腹具合を確認しながら追加しましょう。

 どうも上の写真でもそうなのですけれども、光量が足りないようで暗く写ってしまっていて恐縮なのですが、画像編集をすると変な色になるのでそのままで、リサイズしたものを。もつ煮込み¥450、にこけんの一員としては気になります。ドーンと大き目の絹ごし豆腐が入ったもつ煮込みは、味噌味のオーソドックスなものでそれほど味が濃過ぎず、かと言って薄過ぎない良い塩梅。他の具はもつだけと極シンプル。いや、これを頂けば丁度良い具合にお腹も膨れて以前のように深夜営業のアビラ(中華料理屋さん)さんに行かなくて済みます。翌日からのことを考えてこれで帰るようなワタクシでもありませんが、更に軽く飲んでこの日は終了。