雨中のキャンプから秋田へ

森の中でキャンプ@山形

 昼食後、腹ごなしを兼ねてバイパスに連なる郊外型のお店が立ち並ぶ地域の中で、ホームセンターを見つけました。北関東から長野、福島といった馴染みの地域ではカインズホームがワタクシのお気に入りなんですが、この辺りでは新潟が発祥のコメリが強いようです。コメリさんはホームセンターとしてもそうなんですが、農家の方のための資材も充実していますね。しかしながら、ホームセンター好きなワタクシとしてはもっと他に、と考えていましたら、ありましたチャンピオンというお店です。早速入ってみることにします。基本的にもうそれほど移動する必要がないので、暇潰しにブラブラと広い店内(細長いので端の方からは向こうは見通せないぐらい)を見て周り、傍から見れば不審者のようだったでしょうね(苦)。買い物を終えて外に出てみると一雨あった模様で路面がすっかり濡れています。
 昼食前に地元のスーパーを見て回っていたのでこれ以上することもないし、ということで雨が本格的に降り出す前にと、キャンプ地に向かうことにしました。この日は鶴岡市内からそう遠くはない好立地の割りに、低料金で利用可能な『眺海の森』という県民の森にあるキャンプ場で大人一人¥250で利用できるのです(嬉)。そう遠くもないと思って走っていたら、よく分からない分岐にぶち当たりまして、自分の走っているはずの道の表示がなくなってしまいました。少し走ってどうもおかしい事に気がつきましたが、どうにか元に戻れるだろうと、別の道から戻ろうとしたらこれがまた大回りになり、キャンプ地の近くまで何とか辿り着いたは良いのですけれど、今度はこのまま行けば、買い物をするスーパーがなさそうな地域に来ていることに気がついて、再び途中のマックスバリューまで引き返すことにしました。ところがこのマックスバリュー、先ほどの鶴岡市内で見たスーパー(ヤマザワ)の品揃えからすると、較べるまでもないほどの・・・。先ほど買ってくれば良かったと、後悔してもアフター・フェスティバル(後の祭り)です。いい加減、雨も強くなって来ているので、これから20km以上戻って鶴岡市内で買い物をするのもためらわれるので、ここで妥協することにします。
 それでも優に先ほど来ていた地点まで10kmほど再び走り、一人で何をやっているのだろうと虚しくなりつつもキャンプ地に到着。山をグイグイ登ると、とても綺麗に整地されているキャンプ地で『人気絶大』とのキャプションも頷けます。が先にテントが二張りとタープがあるだけで、人影はありません。立ち木を利用したいので少し離れた場所に早速テントを張り、更に先ほどの鶴岡市内のチャンピオンで購入してきたブルーシートを立ち木を利用してタープ代わりに張ると汗ビッショリ。乾いたTシャツに着替えて、まずはブシッと缶ビールで喉を潤します。買って来た地酒は『竹の露』という鶴岡の酒。これも本醸造ながら精米歩合も65%と明記されていて好感が持てます。
 前日は出番のなかったスキレット。今回持って来るのを忘れてしまい、新発田ダイソーで急遽ゲットしたいわゆる100スキ(100円ショップで売っているスキレット)ですね。最近のキャンプでは欠かせないものになっていますが、こうして地方なら気軽にすぐに入手できる点も有り難いですね。東京でならネットを中心に人気に火がついて売り切れが続いていましてワタクシの住んでいる地域の比較的大きなダイソーでも常に品切れ状態です。強めに熾した炭火で暫らく炙って表面の防錆の機械油を焼いてしまいます。暫らく放置したら一旦、火から外して洗剤で洗い流し、を繰り返し食材の端切れ、この火はオクラのヘタの部分やホウレン草の根元の部分などの屑野菜といわれるものを多めのサラダオイルで炒め油を馴染ませます。こうしてシーズニングといわれる鋳物の調理器具の『馴らし』は完了。
 一品目はそのままホウレン草をショウガや豆板醤、胡麻油と醤油で味付けした炒め物。二品目は写真のとおり刺身用のイカ(青森産¥98)を捌いてワタと身を焼いてイカのワタ焼き。刺身用のイカなら、アルミフォイルがない場合、ワタ焼きをするならこうしてイカの身と焼いてしまったほうが楽チンですね。醤油をたらして日本酒がグイグイ進みます。『竹の露』は昨日の『〆張鶴』に較べると、対極にある濃醇旨口に近いタイプです。かといって男っぽいゴツッとして飲みにくい訳ではないので、こうした濃厚な旨みをもったワタ焼きのようなつまみをガシッと受け止めてくれます。これも4合瓶で¥650と大変お買い得です。外は明るいですが、雨はひっきりなしに降り続け、タープを張っておいて正解です。今までは安い小さなブルーシート(1.8x1.8m)を持っていましたが如何せん、小さ過ぎて今回買ったのは1.8mx2.7mの3畳タイプ、これぐらいは一人でもこうして雨の中宴会を繰り広げるには必要ですね。
 結局この日は雨は止むことなく雨粒の落ち続ける音を子守唄代わりに聞いて眠りに落ちたのでした。
 翌朝、目が覚めてもまだ降り続く雨の音にウンザリしながらも、紅茶を淹れ普段通りに朝の用意を済ませます。心の中では雨が止むことを願いながらもそうは思い通りにもならず、雨の幾分弱くなったところを見計らって一気にテントを撤収。大雑把にパッキングして荷物を纏めるとバイクの後ろに括りつけて出発です。
 このキャンプ場に向かう途中にある昔の宿場町がそのまま残っているような、松山という地区。通り(片側一車線の一方通行)の間にこうして美人画が何枚も張られている不思議な光景。よく見るとそれぞれに電線が繋がっていて、夜になると電飾でバックライトが点くようになっているようです。
 まだ不穏な曇り空ですが、向こうの空は明るくなって来ているようです(喜)。少し先に行き、昨日迷いながらも何度もウロウロした道を今度は酒田方面に向かうことになります。余目の町で再び雨足が強まってきました。それでもこちらの町の方が、買い物はし易そうだということが判り、昨日色々迷って戻らないで思い切ってこちらまで来れば良かったかなぁと、余計な事が脳裏をかすめます。
 酒田市街を抜けると、数年前に来た時に寄ったセブンイレブンが見えてきます。隣にカー用品店があるので印象に残っているのです。その割りに酒田の町をグルリと囲むようにして巡る国道7号線のバイパスは印象に残っていないのです。これは今の地方のどこもが同じような『旧市街を迂回してバイパス沿いに大型店舗がズラリと並ぶ』というドーナツ化現象が引き起こした弊害ともいえることなのかもしれません(ワタクシの脳軟化?)。
 そこを過ぎると、今度は海沿いをひた走るルートです。実際には左側(北に向かっているので西側)にはずっと防風林のように林があるので海は見える訳ではありませんけれども。また同時にそこかしこに温泉の表示が出て参ります。道の駅の『鳥海』で少し休憩、朝食は昨日買って使い残していた鳥の胸肉を100スキで焼いたもの、アスパラ添えでしたが、何か物足りなさを感じていたのも事実で、軽く蕎麦でもうどんでも、という気分でしたがそこそこ良い値段がするので取り止め。先に進みます。それでもしぶとく、『象潟(きさかた)』、『にしめ』と沿線沿いにある道の駅で一応はチェックしつつも我慢我慢(『にしめ』に着いたらもう良い時間だったのです)。
(←記事に関係ないけど文字ばかりで読みにくいと思われるので) 
 『にしめ』では思いがけず、インターネットの利用が無料で出来るコーナーがありました。実は秋田に行って、泊まるホテル・旅館に心当たりがあったのですが(前回泊まって非常に良かったので)、肝心の電話番号を携帯に登録していないことに気がついて、前夜のキャンプ場で愕然としたのです。記憶にあるのは関西にちなんだ名前の旅館で、秋田駅前にあるということ。早速『旅館 秋田』で検索し四苦八苦して無事に発見。電話すると予約OK、ホッとして急に元気が出てきましたヾ(´ー` )ノ。
 まだしぶとく降り続く雨も気にならないのは、泊まる宿が確保できたから、現金なものですね。でもこうした行き当たりばったりの旅でも、キチンと仮寝の宿が決まるだけでも随分と違うものなのです。そこからすぐの由利本荘では前回は田沢湖方面に向かって東進してしまったので、この先今回が初めての地域になります。真っ直ぐな道の割りにアップダウンを繰り返し次第に秋田市に近付いてきました。しばらく走り気がつくと雨はいつしか上がり『またどうぞ由利本荘市』の看板に見送られながらとうとう秋田市に入りました。
 時刻は11時。先ほど予約した旅館はチェックインが15時半。もっと早くどうですか?と頼んだのですが、丁重に断られましたのでどこかで時間を潰さねばなりません。そこで市内から更に北へ行ってバイパス沿いに少し栄えた場所があったのを思い出しそちらへバイクを向けました。どうにも途中で良さそうな蕎麦屋さんが見当たらなかったので、この日の昼は久し振りにラーメンにすることにしました。途中で見かけましたがこの辺りではラーメンショップはアジキュー(AJI-Q)と併記されていました(福島あたりでは○に椿が多いようです)。市内から近いところでは『味求』というお店もありましたが何か関連がありそうです。
 バイクを停めやすそうなお店はないかなぁと、しばらく走り続けますが走っている左側よりも反対側の右側に多く見受けられるようなので、ホームセンター、ドラッグストア、洋服屋などが立ち並ぶ土崎という地域の、とあるラーメン屋に入ることにしました。ようやく雨具を脱いでバイクに広げて乾かし、店内に入ります。焙煎味噌ラーメン¥650。少しもたつくオペレーションに作る側も少々手間取っていまして、帰り掛けにレジを見ると『研修中につき、少々お待たせして申し訳ありません』的な断り書きがしてあり、店全体が研修中なんかい?とツッコミを入れたくなりましたが、我慢強さには定評のある雪国の秋田の方々は少々の注文の前後間違いや、入店してもなかなか店員が気がつかなくて待ちぼうけにされても一言も文句を言わずに、何事もなかったかのように注文している様子を見て、あぁ、我々は都会で暮らすとか言って何とイライラしっぱなしなんだろうと、気付かされました。肝心の味?味なんて気にしてはイケナイのです(苦)。
 昼食後、しばらく持っていた曇天でしたが次第に崩れ始め、ホームセンターで再び油の切れたチェーンにチェーン・ルブを吹き付けていたら無くなってしまったので、急遽買って来て外に出ると、再び雨が落ちて来て・・・Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
 しばし雨宿りしつつ、地元のスーパーで食材のチェック、醤油・味噌の調査をしながら時間を潰しいよいよどうにもならなくなって、スーパーのひさしのあるところで持って来ていた小説を読み何とか時刻は14:45。そろそろ移動のときです。