信越を巡る旅〜長野の夜〜

長野・権堂の夜景

 『シルバー・ウィーク』ということで、予告通りバイクに乗って旅に出掛けて来た訳ですが今までバイクで行ったことのない所は、沖縄県奈良県和歌山県、そして北海道ということになっています(奈良県は今もう一度検証してみたところ、ほんの少しではありますが蒲郡から大阪まで雨の中走り続けた際に通過していたことが判明。但し余り記憶がないのと、どこかに立ち寄ったわけではないので殆んど未知の地ではあります)。この内、沖縄と北海道はその手前で必ずフェリーに乗らないとバイクだけでは行くことはできないのですけれども、沖縄にはあまりバイクで行くつもりもないし、北海道は生まれ故郷であるけれども上陸するまでに二日は掛かりそうなので少々日数的に無理。和歌山も思い切って目指していかないと回り切れそうにないです。
 ということで煮え切らないまま、日にちが経ち休み直前になってようやくどういうところを回ろうかということの腹積もりが決まりました。とりあえずベースキャンプとして一日目は長野に住んでいる知り合いのTommyさん(本人はインターネットを覚えたての方なので仮にHNを命名)に電話をするともちろんOKと快諾してくれました。去年久し振りに会った石川に住む、中学の同級生にメールを送ると今回は都合が悪いということなので、とりあえずは長野へ行ってから行き先を決めようと、ツーリングマップルの中部版を携行することにしました。
 通常の人よりも仕事の都合で一足早めの金曜日から連休が始まったワタクシはいつもより遅めに起きて普通にご飯を食べると旅の支度を始めます。ついこの間新潟・山形・秋田を巡る旅をこなして帰ってきたばかりだな、と久し振りのバイク旅行という実感も湧かないまま荷物をパッキングします。といいつつもひと月ぶりなのですが。
 どういうわけだかやや遅めの出発で11:00の出発。グズグズしていたら錦糸町の料金所から高速は、連休前の金曜日の真昼間ということでとんでもない渋滞になっておりました。なんとかスリヌケを繰り返し新宿の手前までに40分ほどを要したもののその後は遅すぎず飛ばし過ぎない速度で順調に進み、中央道に乗ると初狩PAで小休止の後、勝沼ICで降り、甲州街道である国道20号線をひた走ります。国道20号線は高速道路よりもやや大回りではありますが韮崎辺りまではどちらを利用しようとさほど変わりはないほどの所要時間ですし、下の国道の方が遥かに変化に富んでいて走るのは面白みがあるというものです。
 普段よりは遅めの昼食タイム。というのもこの日の朝は、数日間家を空けることになるので冷蔵庫の中のもたなさそうな物の一掃をして、数日前に作ったアジの干物、豆アジの南蛮漬けといったものをオカズに目一杯食べていたからなのです。
 甲州街道沿いには幾つか手打ちの蕎麦を売りにしたお店が何軒かありますが、その中でも郊外型のというか街道沿いの大型店舗が少し切れた辺りに何軒か固まっている地域があります。

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 そんな中で目に留まった一軒、手打ちそば『蔵』さんです。バイクを止めて改めて造りを見てみると結構高級そうなお店で大丈夫なのだろうかと思いますが、もう止まってバイクを降りてしまったのでもう一度他のお店を探すのも面倒ということもあり、中に入ってみました。とても綺麗な建物で、中は意外というと失礼ながら、予想よりも遥かに広くまた趣向の凝らされたものでした。大きく取られた窓の外にはデッキもありその向こうには少しの庭と眼下に広がる川の風景。地図を見てもらえば判りますが、お店のすぐそばには釜無川という川が流れているのです。これはなかなかの眺めです。店内にはあまり似つかわしくないようなJazzが小気味良くといえば若干の誇張があるものの、元気よく流れています。
 なんだか場違いなお店に入ってしまったなぁと思いつつも、待つこと数分。予想よりも早くお蕎麦が運ばれて来ました。せいろ(¥750)の大盛り(プラス¥200)。ランチタイムも遅くなので広めのテーブル(7・8人掛け)を贅沢にも一人で使わせてもらいつつ、午後のひと時。いかにも洒落ています的なお店なので、やや期待薄でしたが思いのほかしっかりした蕎麦で、これならばと思い最後の蕎麦湯もしっかり濃厚白濁のものでした。出汁もしっかりしていて良いですが、ワタクシの好みからすると若干味が辛いように感じました。いわゆる江戸前の辛口のツユとはこんな感じかと思ってしまうほど。それでもなかなか美味しいお蕎麦に満足しつつ今度はすぐ近くのGSでバイクに給油。今回は東京のワタクシが通勤の時に目にしている『いつもの基準のガソリンスタンド二軒の価格』は¥124/Lですが、こちらのお店では¥121/Lでした(嬉)。
 そこからはもう少し甲州街道を進み、韮崎の街中を抜け清里の高原で寒さに震えながらアップダウンを繰り返し、小諸〜東御〜上田〜菅平〜須坂〜長野というルートで予想よりもやや遅れながら暗くなる前に到着。バイクをTommyさん宅に停めて荷物を降ろすと少しばかり話をして、ワタクシは風呂で冷えてしまった足と膝を温めてから、Tommyさんは麻雀仲間からのお誘いで出掛けて行くということで、車に乗っけてもらい権堂(長野市の繁華街)へ向かいました。Tommyさんは一人でお住まいの気ままな生活をしているのでこちらとしても気兼ねなくお邪魔できるというものです(感謝)。 まずは一軒目、気軽な焼き鳥屋をと探してみます。以前もお伝えしましたが、この地域(地下鉄権堂駅の東側)にはいくつもの焼き鳥屋さんが軒を連ねているのです。その中でも気になっていた『ぎおん』さんへ入ることにしました。年配のご主人と奥さんが二人で切り盛りしているお店。まずはと瓶ビールを注文し一息つきます。注文してから気が付きましたが、ホッピーも置いているようですが、¥500とややお高い様子。瓶ビールは大瓶で¥600ですからこちらの方がお得なようです(誇)。薮から棒にカメラで写すのもためらわれるので、ここでは遠慮しておきました。焼き鳥は五本が一人前の基本のようでカシラ¥500を焼いてもらいました。来てみるとそれほど大きくはないカシラが串に刺さっていて、これなら一人でも充分に食べ切れるサイズだと思いつつもやはりこのシステムだと、一人で何種類も頼めないのが辛いところ。食べ切ったところで次のお店へ。お通し含めて¥1,200ほどでした。
 お次のお店は魚料理がメインのようでしたが、どうもこうした山に囲まれた県ではあまり刺身をつまむ気にならないので、お新香でレモンハイを頂きました。お店の方も感じ良いし、リーズナブルな値段で良かったのですが肝心のお店の写真を取り忘れて全く思い出せず残念。 さて大通りを越えて向こう側(イトーヨーカドー側)へ。アーケード街を中心にいくつもの飲食店が立ち並んでいます。その中でも気に入っているラウンジ・スタイルの『Salon de Pomme』さんへ。いわゆる女性がお酌して傍にいるお店とはチョッと違うのですけれどとても雰囲気の良いお店です。こうしたお店がもっと増えたら良いと思うのですが、全国的にも。手作りの真空管アンプで鳴らしているSPからは色々な時代のJazzが流れていて居心地の良い空間を演出しています。シーバスリーガルのソーダ割りを何杯か。お店の女主人さんも顔を覚えて居てくれて、暫らくぶりですねと声を掛けて下さったのですが、この日はいつもよりも混雑して居て結構慌ただしくされていて、話しかけるのを控えていました。アルバイトの女の子はお酒を作るのはもちろんのこと、時としてピアノも演奏してくれます。何度か来たことがありますが、伝統的に信大(信州大学)学生さんらしいです。この日の女の子は今までで一番良かったように感じます。過去にも上手い人は居たのですが、上手いだけで恐らくクラシック畑なのでしょう、譜面通りに弾くだけで面白みのないプレイなのですが今回の女の子は歌を感じさせる弾き方が出来ていました。 と、気が付くと小腹が空いていたのでこんなものを食べていました。旅の疲れのせいでやや早目に飲みを切り上げて『Salon de Pomme』さんの近くにあった手延べラーメンのお店を探したのですが、何時しか無くなっていて別のお店になっていてとても残念。その斜め向かいにあった国産の素材にこだわっている『ミョン』というお店にて。それほど沢山つまみを食べていた訳ではなかったせいで、こんなぐらい食べても丁度良いぐらいで初日の夜は更けていったのでした。帰りしなに今まで通ったことが無かったような繁華街の外れに足を延ばし、タクシーでも拾おうと思ったのですが、流して走っている車など無くまた戻るのも一苦労なので酔いに任せて歩いて御帰還。上り坂の帰り道は夜風が涼しいぐらいに感じました。