信越を巡る旅〜富山から長野に戻り、野沢温泉村へ〜

園家山キャンプ場

 風の強い夜でしたがいつしか酒の酔いに任せて眠ってしまい、朝までぐっすり眠ることができました。翌朝起きても殆んど二日酔いもせずに気持ちの良い朝です。サンマは無事に食べ終えていたことを確認して安心し(カラスがいつもいる)、シュラフから抜け出ると早速歯磨き道具を携えて水場へと参ります。
 このキャンプ場に来た最大の理由は、何と言ってもこの水場です。立山連峰からの伏流水ということで、水道の栓を捻ることなく四六時中、このように水がジャンジャン流れ出ているのです。水質も折り紙つきで、しかも冷たいのです。贅沢な施設が無料で使わせてもらえるこのキャンプ場は大事にしていきたいものです。サッパリしてテントに戻るとガソリンストーブのドラゴンフライでお湯を沸かして朝の紅茶でゆっくりと。最近はコーヒーよりも紅茶ですっかり定着しました。紅茶を飲みながら地図を見て今日の行程を考えます。本当はこのまま富山方面から、石川・福井と進むのも一案でしたが、金沢在住の友人と会うこともなくなったのでモチベーションも下がったというのと、行ったは良いけど、福井まで行くと帰りの行程が長くなって大変だという(休みを目一杯使って旅をすると高速の渋滞に巻き込まれるという危惧)点を考えて、方針転換しまして糸魚川まで少し戻りつつ、通ったことのない糸魚川〜白馬までのルートを通ってみようという考えに至りました。
 前日の走行でかなりガソリンを消費しこの先そう簡単にGSが見付かるとも限らないので、キャンプ地を後にして直ぐに給油をしておいて、糸魚川方面に向かいます。糸魚川はいわゆるフォッサマグナという『大地溝帯』に位置するそうなのですが、それにちなんだフォッサマグナパーク、というものも街道沿いにはあります。しかし、もし喫茶『フォッサマグナ』とかスナック『フォッサマグナ』なんてお店があったとしても行きたいとは思わないな、と注意深く観察していましたがそのような名前のお店はありませんでした(当たり前か)。
  長いクネクネしたトンネルやスノーシェッドに覆われた道が続く国道148号線も暫らく走ると再び長野県に入りました。小谷(おたり)村を過ぎると高く険しい山の風景に目を奪われます。この写真は白馬の中心部に入る手前のセブンイレブンの駐車場で停まって撮ったものですが、他にも沢山の人達が同じように撮影していました。白馬の町へは以前も来たことはあったのですが、これほど晴れてもいなかったし、ずっと大町寄りでしたのでこのような絶景には巡り会ってはいなかったのです。
 駅前に進むに従い渋滞し始めました。さすがに観光シーズンだからなのかと思ったのですが、結局はそうではなく中心部で道路工事しているせいでした。
 駅前のポイントを工事のせいで迂回しつつも線路を西から東へと越えると再び絶景ポイントに出会いました。こんなポイントがあると知っていればさっきわざわざセブンイレブンの駐車場で停まって撮ったりしなかったものを、とも思いましたが、また別の角度から見るのもおつなものです。これはなかなかいい場所ですね、白馬は、見直しちゃいました。
 そこからは鬼無里(きなさ)街道と呼ばれる国道406号線で山道をひた走ります。街場は比較的まだ夏の名残で暖かいのですが一旦山道に入り高原に進むにつれて気温がグンと下がりますので途中でダイソーで買い求めた膝用のサポーターで寒さ対策をして走り続けます。気温は17度ぐらいでしょうか、走っていれば体感温度は12度から10度くらいに下がってしまうものなのです。
 これで見納めとばかりに峠の開けたところでパチリ。また改めて白馬に来たいと思いました。
 『鬼無里(きなさ)』というのは今まで地図上で見掛けたことはありましたがてっきり『きむり』と読むのかと誤解していました。『鬼の居ない(無い)里』だなんて素晴しい名前の土地は確かにやや鄙びた山奥にある風光明媚な地でした。そこから更に進むと左へ行けば戸隠高原という分岐に来ました。地図で確認すると高原も結構な広さを持ち、行程も後のことを考えると厳しいものがあるので今回はパス、宿題が増えました。
 長野市内に辿り着くと、丁度善光寺の西側に出ました。善光寺目当ての観光客の車列が左側のレーンを埋め尽くし暫らく手前から渋滞が続いていて右側の車線を走行して善光寺の大門前を通過します。既に100kmほど走行しているので前日も給油したGS(キャンペーン中なのか本当に安かった)でもう一度給油して、今度は須坂方面に抜けます。千曲川を越えて川沿いの道を北上し信州中野方面を目指します。
 時間もそろそろお昼時でどこかお蕎麦屋さんでもと思ったら信号待ちで停車中、丁度良いところに蕎麦屋さんを発見。右ウィンカーを左に替えてバイクを停めます。『善八』さんというお店です、どんなものでしょうか?駐車場はお店にあるとはいえ、台数が停められないのが残念。でも後から来たお客さんが、お店の方に問い合わせていたのを聞くと、向かい側の倉庫の扉の前以外ならその辺りにも停められるようです。またお店は幹線道路から少し入るところにあるのですが、入り口にも駐車場があったようです。
 扉を開けるとあまり広くはないフロアに一枚物の無垢の分厚い板をテーブルにした8人掛け程の席が右手にあり左手にはもう少し小さいテーブル、奥には座敷もあるようです。
 せいろが十割蕎麦で¥950と予算外ですので、普通の蕎麦(確認すると二八ぐらいだそうです)の二枚分ほどの量の『花盛り』¥1,300を注文。花のように盛り付けられている一風変わった蕎麦です。上部真ん中に見えるのはモンゴルの岩塩を使って食す、という趣向でしたが試みとしては面白いものの味的には、ワタクシ個人としてはやはり普通に醤油のツユで頂く方が良かったです。蕎麦として美味しいか、否かと言われればもちろん美味しいです。しかし普通のせいろ¥800ほどなのですから美味しくて当然と、評価も辛くなるのは致し方ないでしょう。花盛りですと非常に満足行く量ですが通常の一枚ですとやや物足りないことでしょう。
 蕎麦湯はわざわざ撮りませんでしたがもちろん白濁系のとろみ掛かったもの。ツユも上等なだしで取られています。やや辛口の評論家然として帰るワタクシの後姿にお店の厨房からもありがとうございました、の声が掛けられるのは非常に好印象。また来て別のメニューを頂いてみたいものです。
食後は再びバイクに跨り信州中野の商業地を巡り、大きい本屋さんを探します。今回は中部版のツーリングマップルを持って来ていたので、これから進む地域はもうその地図の範囲から外れてきているのです。今夜泊まる当てを探しつつ立ち読みをして、結局目ぼしいキャンプ場は見付からず行き当たりばったりで宿営地を探す事にして、野沢温泉村へ向かいます。

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 野沢温泉村はその名の通り野沢菜漬けのメッカでありまた温泉と名前に入っている通り温泉にも恵まれています。こうなったら入るしかありませんネ^^b。手持ちの地図ではその温泉街に散らばっている13の外湯(共同浴場)の場所が判らないので、観光案内所の地図を眺めて適当に走りますと天然記念物の麻釜(おがま)と言う場所に辿り着きました。 一般の観光客は適いませんが組合員のみ、こうして源泉というか95℃の温泉に玉子を浸けたり、とうもろこしやこの時は野沢菜も茹でたりしていました。生活に根ざした温泉との付き合い方です。
 もう少し低いところにある麻釜(おがま)湯という共同浴場に入ることに決めました。脱衣場の若者が熱い熱いと盛んに言うので少々用心しつつ入るとそれほどでもなくこじんまりとしつつも良いお風呂でした。脱衣場と浴槽の間に極僅かなスペースがあるだけのシンプルなお風呂です。3人入って丁度良い位、5人だと手狭です。軽い硫黄臭がして、ほんの少しヌルッとするお湯ですがそれほど癖の少ないお湯かと思われました。
泉質:含硫黄硫酸塩泉
 何といってもこの13の外湯(共同浴場)、全てが無料というのはありがたいです。このようなお風呂が何時までも続きますように・・・火照った身体をTシャツで包みしばし外で涼むと再び車上の人となりました。