乾めんのそばを比較してみた

 旅に出るとそのご当地の蕎麦を食べ歩くことと温泉に入ることが、ワタクシの旅の最大のテーマともいえるもので、蕎麦はとても好きなのですが(関西以西ならうどんにうつつを抜かしますけれども)、乾めんを茹でて美味しい蕎麦にはなかなか出会えないものです。この間の記事でも取り上げた、新潟県で買って来た乾めんのそばの数々。同じ写真ですけれども再掲します。
 今回は新潟県で購入して参りましたが、実は各地でスーパーを訪れて地元食材と同時に、醤油や珍しい食材を探す時に、乾めんももちろんターゲットに入っております。山形でも秋田でも探しました。それらの地域では、『ナンバーワン』というブランドのうどん、冷麦をよく目にしましたが、今調べたところによると日清フーズということでかの日清製粉の系列のメーカーだそうです。栃木や茨城辺りだとスナオシヤマダイ(ラーメンならニュータッチでお馴染み)辺りをよく見かけますね。
 さてそんな乾めんのそばを買う際に、一応いつもの習慣でラベル(包装)の裏面を見ますと、これがまた予想を覆すことを発見しました。『そば』というからそば粉が最初に表記されるかと思いきや、その殆んどが小麦粉から始まるのです。この原材料の表記は『内容物に含まれる割合の多い順』と決められているそうなので、蕎麦粉よりも小麦粉の方が多いということになります。 この越後松代のそばの場合『小麦粉、そば粉、山いも、食塩、海草』となっていますが、ここで新潟県産のそばとして特徴的な海草を練りこんである以外、乾めんのそばとしてはこれは珍しいものではなくごく普通のことなのです。ここのところ気になって、30種類ほど裏面を見ましたが、スーパーの品揃えでそばが10種類あって、1・2種そばが最初に書かれているものを見つけられるかどうかというレベルです。これには最初ビックリしてしまいました。
 そこで日本農林規格(JAS)を調べると、乾めん類の定義は『小麦粉又はそば粉に食塩、やまのいも、抹茶、玉子等を加えて練り合わせた後、製めんし、乾燥したもの』となっていて、『干しそば』は『乾めん類のうち、そば粉を使用したもの』とのことです。更に『干しそば』の規格は上級と標準とがあり、それぞれそば粉の配合割合が50%以上だと上級、40%以上で標準と区分けされているようです。ということは逆にそば粉の配合割合が40%未満の場合は『干しそば』とは言えないとも読み取れますが。十割蕎麦だ、二八蕎麦だと言っているレベルからするとかなりユルい基準のように思えます。
 これは『磯割りそば』という十日町産のそば。『そば粉、小麦粉、澱粉、海草、食塩』とこれはそば粉がトップに来ております。澱粉が含まれるのは、もちもちっとした食感を得られるように配合されていることと推測されます。うどんでも、タピオカ粉を使って食感を出しているものがありますね。
 和紙の風合いを出した包装の小嶋屋総本店の『布乃利そば』。『そば粉、小麦粉、海草、食塩』とて至極真っ当な内容のそばで、今回のそばの中でこれだけは品名に『干しそば』ではなく『そば』と明記されております。『布乃利』は『布海苔のことで、へぎそば(新潟県魚沼地方発祥の、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使った蕎麦)にはよく使われているものです。
 以前、蕎麦が好きだというと会社の上司が蕎麦好きの親類からもらった、ということで小千谷の蕎麦を下さったのですけれども、確かにその蕎麦が美味し買ったのが印象的で、今回思わず小千谷の蕎麦ということで買ってしまった『小千谷そば』。原材料の欄を見るといやはや一杯色々と入ってますなぁ。『小麦粉、そば粉、海草、植物性たん白(小麦由来)、食塩、醸造酢、増粘剤(グァーガム)』です。他の3種には含まれていない醸造酢、増粘剤が特徴的ですね。
 今回たまたま新潟県で買って来た乾めんのそばを取り上げましたが、それぞれ比較すると少しずつ(中には大幅に)違いが見えてきました。名誉のために申し上げませんが、幾つか食べてみましたけれども、それほど『新潟』らしい蕎麦というのは感じることは出来ませんでした。やはりそこら辺は生麺には適わないと言うことなのかもしれません。残る高級品に期待を掛けて次回の休みにでも食べてみましょうかネ。