とんこつスープをとってみる

豚骨煮込み中

 先週末のことですが、急に思い立ってとんこつスープを使ったラーメンが食べたくなり上野・御徒町方面に自転車を走らせました。というのも、少し前に出掛けた旅行先で買って来た乾麺のラーメンが有ったので、これをどのようにして食べようかと考えていると、もう九州のとんこつラーメンしか思い浮かばなかったのです。
 以前、鶏がらスープは取ったことがあったものの、豚骨を使うのは今回が初めてです。錦糸町界隈で探してみたものの、頼みの綱であるハナマサには置いてなかったのが痛かった!です。ヤオショーにはあるのでしょうけど、冷凍物の巨大なブロックなので使いきれない怖れがあったので、今回は上野・御徒町方面で買いたいもの(味噌造り用の追加分の大豆)が有ったお陰でアメ横センタービルの地下へ行く事と相成りました。
 懸案の大豆を買ってからアメ横センタービルの地下へと降りて行くと、もうそこは日本ではないようなアメイジングワールド。臭いに敏感な方にはおススメできませんが実に面白い場所です。豚骨を売っているお店は幾つか有りますが全て見比べてから一番上野駅に近いお店で2本選んで買いました。重量は判りませんが¥310でした。割るんでしょ?とオバチャンに聞かれて同意すると奥にいた男の人が事もなげにアッサリ割って袋詰めしてくれました。割り口が尖っているので直ぐに袋が破れてしまうので二重になっていました。他のお店で鶏がらも買おうと思っていたのですけれど、良さそうなのが見当たらなかったのでモミジ(鶏の足)を購入、一袋¥210でした。
 数日前から読み始めて予習を進めていた自作ラーメンのHP等を参考に下拵えを始めました。まずはモミジから。鶏の足ですから当然、爪も付いていますが、一度ボイルしてくれているのか皮は付いていないものでした。他のお店では皮が所々残っていたりするものがあって、これなら楽チンですね。沸かしたタップリのお湯で5分ほどボイルしてからジャーレンに上げて水で冷まします。その後、爪を切っておくと、参考情報に書かれている通りにキッチンバサミで切り落としておきます。どうもこれは他のHP等でも同様に処理されていますが、地面を歩き回る足であるし爪には泥土が付着・食い込んでいてそれに付随する菌を排除したいという狙いがあるようです。
 キッチンバサミは力があるので、強引に切ってしまえば骨まで切ることも出来ますが、実際には爪の付け根の方を上手く切ると難なく切れるポイントがあってそこを見極めると苦労せずに切ることが出来ました。切り落としたモミジはショウガとニンニクというニオイ消しのゴールデンコンビと共に鍋に投入して、火に掛けました。沸騰させるのが目的ではなく、じっくり煮出してやるのが目的なので中火で煮込み始めます。

 もう一つの寸胴で、同様にボイルした豚骨を煮始めます。こちらは5分ほどのボイルで水に晒し、アクとか血の塊が出て来た物を流水を掛けながら指でこそげ落としてから、もう一度鍋に戻して水から煮始めました。ニオイ消しの薬味も当然入れて置きました。お湯が沸いてからはアクが出てくるというので、鍋にピッタリと張り付いてアクを掬っては捨てを繰り返します。ちなみに全くの余談ではありますが、『あくをすくって』と打ち込んで変換したら最初は『悪を救って』と誤変換されてしまいました。これでは大魔王になってしまいますね(笑)。
 過去のラーメン特集番組を見た記憶では豚骨はボコボコ強火で炊くパターンと、それほど沸き立たせないで炊く、大きく分けると2パターンがありますが今回は後者のパターンを採用しました。また圧力鍋も持っているので短時間勝負もチラリと脳裏をよぎりましたが、何となく邪道のような気がしたし、高圧を掛けると豚骨が爆発するとの記述もあったので、初心者は大人しく寸胴で煮込むことにしました。
 煮込み始めて一時間ほど経過したところ。これがもう笑っちゃうぐらい期待を大幅に裏切る全くのお湯状態。一番アクが出てくるのは『沸騰してから17分ほど』との記述の通りでこれはガスの火加減にもよるものと思われますが、アクを掬ってから暫らく放置して一時間ではまだまだスープが出ていません。ここら辺から少し方針転換をして、蓋をしてみることにしました(それまでは蓋をしていなかった)。ピッタリ蓋をするのではなく、少しズラしておきましたが(気分)。作業開始は午後二時半ぐらいでしたが、四時半ぐらいにはふと思い立って、そういえば出汁を取った昆布の残りがあるなぁと、冷凍庫から取り出し鍋に投入。和食でいうところの出汁を取った後でも、まだ旨みはあるので『質より量』とばかりに予定量以上に投入しました。この間買って来た根昆布はやはり濃い目のダシが出るようで鍋の中の色が透明から緑色にうっすらと変化しました。あまりにも昆布臭くなるといけないので、二時間ほどで引き揚げることにしました。火加減はあくまでも、沸々という感じです。自作ラーメンのサイトを拝見していると、昆布もグツグツと煮込んでいたり、沸騰させたりしている方が多いように感じましたが、和食の観点からするとこれは問題外(昆布の苦味・渋みが出てしまうので沸騰直前に引き揚げる)なので違和感を感じましたが、ここら辺が和食とラーメンの出汁の違いなのでしょうか?そういえばワタクシとは相性の合わないアジの煮干しも全投入。
 煮込むこと7時間。ようやくとんこつスープらしい白濁した雰囲気が出て参りました。もちろん煮込んでいるうちにどんどん蒸発していくので、水は随時追加しています。味を見てもまだまだ薄いですが何となく味が出て来ているのが判ります。この日は23時で煮込みを終了。モミジの方は、申し上げるのは忘れていましたが、とっくに終わっていて3時間ほどで終了でした。
 翌朝7時に起きると、再び加熱開始。朝食を普段より遅く、またタップリ取ったため昼ご飯は遅め。その間に煮込みを進めて行き、もうそろそろ良かろうと13時に終了。これで前日9時間+6時間の15時間煮込んだことになります。ラーメンを作るのは全くの初めてなので、ヤマカンで作った醤油ダレ(醤油、みりん、酒、砂糖少々、ショウガ、ニンニク、イワシの煮干しを加熱して一晩置いたもの)を丼に注いで出来上がったスープとモミジのスープを足して別鍋で温めたスープを注ぎます。麺は心持ち硬めに茹で上げて、具は一切なし。潔くネギだけです。具材で誤魔化しなど出来ませんね。

 うーん、初めて作ったラーメンですが、スープは良いけど味の加減が上手く行っていません。醤油のバランスが強すぎで尖った味です。とんこつスープは狙い通りサッパリと仕上がっておりこれはなかなか良かったです。もっと強火で煮出してやると濃厚なスープが取れそうですけど、これはこれで良しとしましょう。モミジはあまり出汁が利いていなくてやはり鶏ガラの方が良かったようです。昆布はあまり自己主張を感じませんがこれはこれで良かったのかも。

 とんこつスープを漉してみるために、ジャーレンを置いて鍋の中身を取り出してみました。もう長時間に混んだために各パーツが分離しグダグダになっています。もっとゴツかったのがこんなバラバラになるものなんですね。






 キッチンペーパーで漉したスープはこの後、冷ましてから密閉容器に入れて冷凍庫へ。今度モツ鍋をやる時に使う予定でそれまでオネンネです。
 今回初めて豚骨を使ってスープを取りましたが、豚骨自体高いものではありませんが、長時間煮込まなくてはならないので、それに伴うガス代、換気扇の電気代を考えると結構コストが掛かるようです。ラーメン屋さんも大変ですね。今後また挑戦するかと問われれば微妙な気分です。