味噌漬け三昧

鮭の味噌漬け焼き

 先日公表した今年春に仕込んだ自家製味噌ですけれども、手作りの味噌には仕込む際の手間だけがやや大変な反面、一度仕込んでしまえば他にすることもない(天地替えをする方ももちろん居るけれども、ワタクシはしない主義です)のですけれども、約半年の間熟成させる間、時として味噌の表面に発生してしまう白い膜(産膜酵母)やカビといったものが発生しないように、表面にアルコール(焼酎やウォッカを使う方も)を吹き付けたり、鷹の爪といった殺菌作用のあるものを配置する、また昔ながらの知恵としては酒粕を表面に敷き詰める(要するに酸素と触れなければ産膜酵母は発生しない)とか、ラップをピッタリと貼り付ける等など様々な工夫が凝らされています。
 そんな中でワタクシも色々と試して見ているのですけれど、基本的には鷹の爪を表面に配置した後に大目の塩を振り(東京でいうところの降雪状況:1cmほどの積雪で地面が見えない程度:実際には表面が塩で見えなくなるイメージで)、ラップをピッタリ貼り付けるという手法を現在は採用しております。塩で表面を埋め尽くすとラップはくっつかないんですけれども。暫らくすると、表面近くの味噌の水分で塩は馴染んでラップは貼り付き、代わりに表面付近の味噌の塩分濃度はグッと上がります。そのお陰でカビの発生は抑えられているようです(嬉)。完成した暁にはその表面の部分をヘラで薄く剥ぐようにして取り除けば、下の味噌は通常通りの塩分濃度になっている筈です。
 その濃い部分の味噌も、捨てるのは忍びないのでどうしたものか?と思案した結果、味噌漬けを作ることに思い当たりました。まず思いついた材料は、ニンニク、ショウガといった香味野菜。ニンニクはタマリ醤油で漬けた『たまり漬け』が有名ですね。他にはゴボウも味噌漬けのイメージにフッと浮かんだので採用しました。
 ショウガは生のままで、ニンニクは皮を剥いてからゴボウは表面の皮を包丁のみね(背)でこそげ落としてから、8〜10cm程度に切り、縦半分に切って軽くボイルしました。ニンニクもゴボウも2分ほどボイルしましたが、ここら辺は好みで、ニンニクはボイルしなくても良さそうですけれど辛味が残るかと思いボイルしました。ゴボウは生で食べることは通常しないので香りが抜けない程度に短目ということで二分。食感も残りこれは成功、但し太さによっては長めの方が良い場合もあります。今回は両端を除いて中央部分の1〜1.5cm程の部分を使いました。
 仕込み始めたのが10月の13日頃で、味噌に煮切った日本酒、甘みを加えるみりんを加えて少しゆるめに溶いた味噌ダレの中に3種類の具材を漬け込みました。味噌・酒・みりんの割合は5:1:1程度でした。
 密閉容器に入れて冷蔵庫で保存。頭の中のシミュレーションでは一ヶ月ほど掛かると思いつつも、二週間経った頃から味見をして、もう充分に漬かっていることが判りました。イメージ的には、ニンニクがタマリ漬けのような飴色になるまでと思いつつも、色は殆んど付いていなくても味は染みていました。
 ゴボウも食感的にシャクシャクして実に美味しく仕上がりました。ショウガは、ゴロンとしたものを後で食べやすいように大まかにパーツごとに切り分けて、漬け込んだのですけれど、中まで染みていなくてこれは失敗。半分もしくは3分の一ほどの厚みにスライスして漬け込んだほうが正解のようでした。というのも辛味がかなり残っていて、水で晒してみても辛味はかなり残りました。ここは次回での課題になりますね。
 とりあえず、軽く薄い塩水に5分ほど漬けて塩抜きしたものをいつものバーで試食してもらいましたが、ニンニクとゴボウは好評でした(ショウガは自己否定)。
 味噌ダレは生のショウガを漬けてあるので水分が多く染み出してきているので、随時キッチンペーパーで水分を取り除いてありました。しかしその残った味噌はまだ使えそうなので、野菜類を除いた後に、鶏肉(むね肉ともも肉の両方を試してみました)と鮭(冷凍物のチリ産生鮭¥79)を漬け込んでみました。鮭は生に解凍して軽く塩を振って、というのが本式ですけれども、カチカチに凍ったままのもので試してみました。漬けている内に解凍されて水分が染み出てきますので、これも随時キッチンペーパー作戦で除去しました。ついでに、たまたまスーパーで処分品のパプリカも隅っこに入れておきました。本当は肉類と一緒だと生臭くなりそうなので本意ではないのですけれども。
 約一日半ほど漬けた鮭を取り出してみました。ガーゼで包んで味噌漬けにすると味噌ダレを落とす手間が省けるようなのですけれども、そのまま漬けてあるので、軽く水で流して串に刺して炭火で焼いてみました。網焼きにすると却って焦げ付きそうなので遠火でジックリ焼きます。パプリカも同様に一日半で漬かり具合は浅いですけれども漬かりました。
 鮭は、以前に鱈の粕漬けも作りましたが、また違った味わいでこれも予想通り美味しい仕上がりになりました。二切れ漬けて時間差(1日半、2日)を付けてみましたがその差はあまりなく、どちらでも良さそうです。ただ下準備で塩振りをしていないので塩分は低めですから、好みでは軽く塩を振った方が良い方もいるかもしれません。
 鶏の方はまだ焼いてみていないので判りませんが、これも食べるのが楽しみです。