大森・蔦八と富士川

蔦八さんの提灯

 ということで、前回前々回で西大井から大森まで向かったレポートをお伝えしたのですけれども、今回の目的地はこちらのお店『蔦八(つたはち)』さんを訪れることだったのです。その昔大森に住んでいた頃には、全く知らなかったし、当時とはお店の好みは変わっているのかもしれませんが、『煮込み』の美味しいお店として検索すると大森ではこちらのお店がヒットします。そこでかなり前から訪れたかったお店なのですけれども、今回ようやく訪れることが出来ました。
 お店を見つけてテンションが上がったせいか、逆上気味にカメラを構えてしまっているのであまり良い写真ではないです(_ _|||)。予想よりも間口の広いお店で、オレンジのテントが一際目を引き、赤い電灯看板に『天下一うまい 煮込 蔦八』と書かれています。光の反射で良く見えませんが、松坂牛の文字も見えますが。
 とりあえず外観をカメラに収めると年季の入った引き戸をガラリ。開けた途端に、好みのお店だと直感的に判りました。良い酒場の雰囲気というのは上手く説明が出来ませんが、確実にあるようです。
 先客が3人ほど幅広のコの字型のカウンターがデンと構え左手にはテーブル席もあります。間口が広い割には奥行きはそれほどでもなく、後で判りましたが奥は調理場になっているようです。
 ホッピーは残念ながら置いていないようなので、ウーロンハイ¥380を注文しお品書きを吟味します。腰掛けた席は煮込みの大鍋の前。相撲で言う『砂かぶり』、プロレスなら『リングサイド』、にこけんのメンバーなら最上級の特等席です。比較的手堅い、古典的なメニューが多くワタクシ好み。こはだ酢¥380をウーロンハイが運ばれて来た時に注文します。お勘定のための色つきのプラスチックの札をホルダーに刺していくのがこのお店の流儀のようで、値段によって色が変わります。
 こはだは頼むと奥の方に引っ込んで盛り付けて運ばれて来ました。とても感じの良い、気品のある奥さんに(食べ物の)写真を撮っても良いかとカメラを見せながら許可を求めると、快く応じて下さいました。大振りのこはだは酸っぱ過ぎずサッパリしていて一品目には丁度いいつまみ。
 初めてのお店なのになぜか心和む雰囲気に、日頃の疲れもいつしか溶け出していきます。年配の常連客の話を聞くともなく聞き流して、二品目に名物の煮込みを頼むことにしました。こちらの煮込みはデフォルトで豆腐(3分の1丁ほど)が入って¥650。玉子入りで¥700、豆腐と玉子で¥380、豆腐だけは¥320と様々なパターンがありました。醤油味の煮込みは北千住の『大はし』さんと同じタイプですが、『大はし』さん程甘辛の味ではなく、どちらかと言うとキリッと辛目の味。しょっぱくはないのですけれど。色々な部位を含むモツの煮込みなので、脂はやや多目です。豆腐も煮込まれていて、足りなくなるとお湯で静かに温められている隣の鍋から移されるようです。同時に併設されている鍋にはサラのお湯に器が温められていて、注文するとそこから皿を取り出し盛り付けられます。うーむ、煮込みに並々ならぬ配慮がなされているのは素晴らしいことです。二杯目に選んだ焼酎緑茶割りと共に食べ終えてすっかり満足になりました。折角久し振りに大森に来たので他にも回りたいですから、今回はこれにてお暇(いとま)します。お会計は¥1,830と充分リーズナブル。大満足でお店を後にしました。
 次なるお店を探してブラブラと探訪。ミルパ(アーケード街)を歩きながらあちらこちらを眺めます。『酒蔵一番 アーケード街店』さんというお店で、チェーン系かと思しき居酒屋さん。店内は結構賑わっていて、心惹かれます。でも何となく踏ん切りがつかないので実際に入るのは次回に繰り越しましょう。何人かで飲んでいれば、便利そうなお店ですね。
 横に道を見つけては入ってみて知っているところまで辿り着くと他に回り、を繰り返しブラブラ歩きを続けます。
 暫らく振りの大森探訪は意外に、良さそうなお店が幾つも見付かったのは予想外の収穫でした。
 かなり奥の方(海側)まで足を延ばすと行き止まりの小路の飲み屋さんが幾つかありました。ホッピーの幟に惹かれて行くと『漁師の源さん』というお店でした。我らが『にこけん』のメンバーにも元坊さんが居て、釣りの趣味はもはや漁師並みとの噂もあるほどなので、チョッと脳裏を過ぎりました。まだお客さんが入っていなかったのか、御主人が席に佇んでいたので入りにくくて、入りませんでしたが。
 結局巡り巡って、当初からの予定通り富士川さんに戻りました。富士川さんは食堂と大衆酒場の二軒ありまして若干異なったメニューのようで、こちらは食堂の方の外にあるメニューとサンプル。¥120のナメ竹おろし・しらすおろしからかつ丼¥480まで幅広く格安なラインナップは素晴らしいの一言に尽きます。 天麩羅盛り合わせも¥380ですから堪りませんね。こちらは昼間から営業されていますけれども、アルコールの提供は13:30からと昼のランチタイムは避けてお酒を頂くことが出来るようです。料理の安さからするとウーロンハイの値段は意外なのですけれど。
 こちらは大衆酒場の方の入り口。アーケード街側と、横丁側の両方に入り口があります。本マグロの大トロ¥680〜赤身¥480とサービス価格で提供されていて、他にもその日の仕入れによりますが八種類ほどの刺身が¥380から頂くことが出来るようです。こちらのお店は魚がメインのようです。早速入って見ましょう。実際には二月ほど前にランチで来ていたのですけれども、夜は初めてです。昔から知っているのに入ったことが無かったのは何故なんでしょう?


 感じの良い店員さんにホッピー¥420を注文し、マグロ¥380也をつまみに選びました。カウンターに一人の店員さんはドリンクも作り、ホールも担当するのでてんてこ舞いです。程なく運ばれて来たマグロをつまみにホッピーを飲みます。結構厚めに切りつけてあるので枚数はそれほどでもなくとも、食べ応えはありました。一人ぼんやりと喧騒の中佇むのも悪くありません。すぐ後ろでは日本シリーズが放映されていましたが、野球に興味がないワタクシには猫に小判状態で見る訳ではありません。

 すこし焼きものも食べたくなって頼んだカシラ。焼けるのには少々時間が掛かりました。店員さん曰く、昔は焼き台があったので専属の焼き手が居て早く焼けたのですけれど、今はロースターで焼き魚を焼いている隙間で焼いているので、時間が掛かるとのこと。早めに注文しておくと良さそうです。忙しそうな割にはそのようなお客にも目を配っているこの店員さんには感心しました。忙しさにかまけてお座なりになりがちなものですからね。
 こちらの富士川さんも予想通りやはり良いお店でした。二軒連続して良いお店を引き当てて上機嫌になり大森の楽しい夜はまだ続いたのですけれども、それは内緒。最終的にはとんこつラーメンまで食べてしまって反省、反省(←反省だけならサルでも出来る)。