大森・蔦八を再び訪れる

大森・蔦八の豆腐煮込みとお酒

 土曜日は再び大森へ出掛けて参りました。昼頃からの雨でなかなか降り止まないので、どうしようか夕方から鬱々と行こうかどうか迷っていたのですけれども、前日も禁酒したということもあるしウェブの天気予報を見ると雨雲が次第に切れてきて夜には雨が上がるということが判りいそいそと出掛ける支度をしたのでした(モノズキネェ)。
 まだ降りしきる雨の中錦糸町駅まで歩いて、総武快速線横須賀線で品川に出るとあとは京浜東北線で二駅。いざ行こうと踏ん切りがつくと意外に近いものです。18:44の電車で錦糸町を出ると19:15過ぎには大森の街に降り立っておりました。
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 電車を降りて、まず一軒目は以前来た時に気になっていたお店。立ち飲み屋さんのようですが、入って直ぐのカウンターこそ立ち飲みになっていますが、入口脇にはテーブルもあり先客の二人連れが座っていました。二階もあって表の傘立てには10本ほど刺さっていました。意外に混んでおりますね。二階は見られませんでしたが、たまの注文に降りてきてはトイレに行ったりと結構長っ尻で1時間ほどの滞在の間に帰らなかったところを見るとテーブル席になっているようです。
 少々年配の御主人タイプの男性と拍子抜けするぐらいの若いお兄さん、その後外に出て行ったまま帰って来なかった妊娠中の女性がお店の方なのか判りませんでしたが、お飲み物は?と聞いてくるのでホッピー¥350を頼みました。メニューにレバ刺しの文字があったので、注文しようかと尋ねると土曜・日曜はやっていないとのこと。残念ですが、そうした日に提供していないというのは、むしろ新鮮なものを提供しているという証なのでまた別の日に伺うことにして、煮込みを注文。壁に掛かった液晶TVでキズナ食堂の新潟編を見ながら、お通しのお新香をつまみにホッピーを飲みます。
 煮込みは煮えている鍋からよそってくれる訳ではなく、作り置きのものをレンジで温めるタイプ。こういうのは得てして、と思った通り表面は熱いものの中はまだぬるいもの。レンジだと手で持てないぐらいに熱くするとようやく中まで熱が通るのですけれども、そうでなければ一度温めてから取り出し、かき混ぜて再加熱するぐらいでなければ熱々のものは無理なようです。こうなるとやはり静かに煮えている大鍋があるお店は無条件に評価したくなるというもの。
 雨降りの来店サービスということで表の通りの看板に書いてあったことを告げると、焼き物一本サービスか、串揚げだったかなにかそういったもののサービスだそうで焼き物を一本サービスしてもらいました(嬉)。しかしこれも入店してから大分経ってこちら側が聞いたから、の話で遠慮して言わない人はサービスを受けられないのでしょうか?少し疑問に思いました。それと動きを見ていて判りましたが、最初ここの御主人と見えた人は、まだぎこちない動きと伝票書きに手間取っていてただの店員さんだと判りました。まだ入店して日が浅いようで、落ち着いて見えるのは得をしますね。決して値段も高くないし、メニューもなかなか良さそうなのでまた今後日を改めて行ってみたいと思いますが、今回はその若いお兄さんも途中で出てしまってどこかへ行ってしまったので、慣れないオジサンでしたけれどもう少し慣れた時にはまた雰囲気が違って見えるでしょう。
 もう一軒なにがしか寄りましたが、そこは大して述べることもないので割愛。流れ流れてやはり目的の『蔦八』さんへ行くことにしました。相変わらず赤い提灯が頼もしく光っております。食べログでは定休日の記述が土・日になっていましたがこれで二回土曜日訪れているのに営業しているということは、土曜日は営業なんではないでしょうか?
 引き戸を開けるとホッと落ち着ける空間がそこに広がります。うーむ、やはりここのお店は好みですねぇ。思わず相好を崩しそうになるのを堪えて今回はカウンター正面のやや左側に掛けました。また別の角度から見るのもいいものです。常連になればいつも定位置というのがあるのでしょうけれど、決まるまでの新参者はあちこち替えてみるのも悪くありません。
         
 前回来て基本の煮込み¥650は頂いて内容は判っているので、今回は豆腐だけ¥320を頂くことにします。煮込みの甘辛いタレで煮込んだ豆腐というのは非常に好きなワタクシなのです。注文しようとすると煮込んだ豆腐がないのを申し訳なさそうにしている奥さんにどの位掛かるのか尋ねると、3分ほどと言うのでそれぐらいいくらでも待ちますよと頼むことにしました。醤油系の煮込みでは豆腐を煮込んであるのはよく見かけますが、余り煮込み過ぎると豆腐が真っ黒に変色するようで、沢山煮込まないようにするお店もあるようです。果たして煮上がった豆腐はピタリの煮込み加減。少々口数の少ない御主人ですけれども、煮込んでいる豆腐の煮加減には妥協を許さない姿勢が垣間見えました。中まで熱々の豆腐は前回同様やや辛目の味付け。 
 前回の記事を書いてから『大森 蔦八』で検索したら色々なレポがありましたが、甘いという方も居てその時間帯にもよるのかとも思いましたけど、今回もやはり甘目というよりは辛目に感じました。合せるお酒はこれが『高砂』なのでしょうか、普段飲み慣れない熱燗でしたのでよく分かりませんでしたが、割と飲み易い感じがしました。それよりも元々は新品の枡だったと思われる受け皿代わりの枡の使い込まれ具合がなんとも渋い!洗い込まれて角が全て、浜辺に漂着した貝殻のように滑らかになっているのです。

 思いのほか他のところで時間を取られてしまい、また結構酔ってしまっていましたし、そろそろ閉店のお時間(22:30)ということでお会計してもらいました。こちらのお店ではお通しがないので上記のもので¥700。あまり良いお客とは言えませんね、また今度は早めに行ってもう少しゆっくり飲みましょう。扉を開けて外の夜風も燗酒で火照った頬に丁度良いぐらい。

 この日は軽いものしか食べていなかったので、結局池上通りに出て上り坂を上がって大森駅に向かう途中にあった壱六家というラーメン屋さんに入ってしまいました。皆飲んだら考えることは一緒のようで、少し遅めの時間にも拘らずほぼ満席。もっと軽めのラーメンというか支那そばの方が良いのでしょうけれど、結構コッテリ目のラーメンを食べながら、こんな夜も悪くないかなと詩的に考えることもなくただただ麺をすすり込み大森駅へと急ぐのでした。その後地元で更なる飲み行脚が待ち構えていることも知らずに・・・。

*1:正確に言うと19:16着