4LL 04ウーファーユニット〜準備編〜

ラバーエッジなんです

 ということで思いがけずに購入してしまったSPユニットを背中のデイパックに仕舞い込むと、再びタラタラと自宅に向けて自転車を駆ります。どうにも例の秋葉原の無差別殺傷事件が起きてから、こうした土日のような人が多く集まる時には警察官の動員が多く行われていて、街のいたるところにパトカーも含めて姿を見かけます。

 自宅に到着すると一息入れて早速ユニットを取り出してみました。フレームは薄いプレスの鋼板ですが、きちんとつや消しの黒に塗装されているので正面から見る限り安っぽくは見えません。コーンは推測するしかないのですけれども、恐らくPP(ポリプロピレン)だと思います。
 梱包用のダンボールの箱は素っ気ないものの必要にして充分な機能を持ったもの。中から取り出すときは上蓋を外して手のひらで支えるようにしてひっくり返すとすんなり出て来ます。でそのままひっくり返すとユニットに被さっている、緩衝材も兼ねたダンボールの底がテープなどで固定されていないのでゴロンと落っこちてしまいます。実際一個目は落としてしまいました(泣)。 これが通常価格¥1,800のところ、セール価格¥1,480ということですから、取り付けビスが入っていないのは想定の範囲内。しかし取扱説明書やデータシートなんて気の利いたものが一切入っていなくて仕様が判らないというのはやや不便。ウェブで調べて見ると『Art Audio』のHPというのが見当たらないので、買ったコイズミ無線のHPから
【10cm防磁型】

  • インピーダンス…………4Ω
  • 再生周波数………………65Hz〜10kHz
  • 出力音圧…………………85db
  • 入力………………………20W
  • 開口径……………………φ93mm

ということが判りました。以前似たような大きさのMaxのフルレンジ(PR-0411M8)のSPユニットを手に入れたのですけれど、フルレンジとウーファーということで全く性格の違う特性になっているようです。PR-0411M8の方フルレンジの割には再生レンジは狭い感じですけれど、200Wという途方もないパワーが入り能率は高め。恐らく90dBは下回らないでしょう。今回の『4LL 04』は85dBからかなり低めですけれど、最近ではこのぐらいの能率のユニットも珍しくはありません。
 フレームとコーンを繋ぐエッジはラバーです。今までかなりウレタンエッジで痛い目にあっているので特殊な塗料を染み込ませた布製のエッジに信頼を置いておりましたがラバーエッジは初めて、どんなものでしょうか?接着面の辺りには写真のように『YC 91A』と浮き出しになっています。180°反対側には4という数字と、もう一ヶの方には3という数字が浮き彫りになっています。意味不明ですがロットの違いかな?なんて思ってみたり。

 マグネットは防磁型ということで、メタルのカバーが被さっているので中身は判りませんが、推測するにメインのマグネットの上にキャンセルマグネットが反作用方向で取り付けられていると思われます。なので重量的には手に取ると結構ズッシリと重い感じがします。ということで、トータルで見るととても¥1,480のウーファーとしては上出来です(嬉)。
 手持ちの余ったエンクロージュアー(箱)に入れて聴いてみましょう。これは以前(もうかれこれ10年以上前に適当に作ったもの)。開口寸法はφ93mmですからFE103を入れるために作ったようですが、何のために作ったんだろうと、本人も記憶がないので確認のしようがありません。
 15mm厚のラワン合板で、H270xW160xD215mmという寸法からすると5.772L、FE103の標準容量よりは小さめの気がします。事実、作った当時FE103を入れて鳴らしてみても、元々低音の出ない(出にくい)ユニットですからその欠点がモロに出てしまい、あぁやっぱりダメだと思った記憶があります。このユニットにはもう少し大き目の箱を用意した方が良い結果が得られるようです。

 ユニットの抜けたエンクロージュアーにはSP端子と内部配線用のケーブルとして東日京三電線EEF/F 2.0mm2芯のエコケーブルが取り付けられておりました。しかしこのケーブルは非常に硬く思ったようには柔軟に動いてくれず、ハンダ付けにも非常に苦労します。今回も実際余りにも言うことを聞いてくれないため、配線も普通の撚り線に交換してしまいました。オーディオ用でもなんでもないただの配線材です。カラフルに色分けされた配線材で赤・白・青・黄・緑・黒と1.5mずつ入っていて若松通商で¥200程のものでした。このうち好みの色ではない黄色と緑を選び出してハンダ付け。これはえらく柔らかくて取り回しが楽です。SP端子はネジ式のものでそこそこ太いケーブルは入ります。金メッキでそこそこ見栄えがします。

 ハンダ付けの終わったユニットをφ93の孔に落とし込もうとしましたが、試しに*1入れたところホンの僅かながらキツクて入らなかったので、やすりで削っておきました。フレームの裏側にはパッキンが接着されていてその分だけバッフル面から浮いてしまうので、無理をさせない程度にネジを優しく締めます。そうしないと薄い鉄板ですから簡単にたわみ、折れ曲がってバッフルにくっついてしまうのです。何にしても『ほど良い』ということが求められます。一関のジャズ喫茶『ベイシー』の店主曰く『風呂には温度、物には限度』というものがあるのです。

 さて、今回入手したのはウーファーユニットですから、高音は〜10KHzまでしか伸びていません。ということで人間の可聴範囲としては20Hz〜20KHzとされているので全然足りません。幸い手持ちのTW(Tweeter)のユニットも使っていないものがあるので押入れから引っ張り出してきました。フォステクスのF38Dというものでドーム型のものを専用にエンクロージュアーに入れたもの。マグネットの裏には鉛の塊を接着剤でくっつけ、箱の内部にも鉛をくっつけて質量を増やしております。確かこれだけで7Kgほどもあり、TWとしては異常に重いのです。また中には直付けでハイパス用のコンデンサーがプラス極にハンダ付けしてあります。

 改めて見てみると、コンデンサー自体は4.7μFと3.3μFの並列で、容量的には8μFとなります。TW:8Ω、W:4Ωで計算してみると6dB/oct・-3dBクロス2500Hzのカットオフになります。*2これはこれで充分な値ですのでそのまま採用して底蓋を閉じます。もう何度もネジ止めしたのでネジ穴がバカになってしまったのも一ヶありましたが、ネジを交換してOKです。今は使っていない余ったケーブルを引っ張り出していよいよ接続です。

*1:実際にはハンダ付けする前にですが

*2:TW:8Ω、W:8Ωで計算してみても同じ