浅草☆昼歩き5〜今年、丸千葉さん4回目〜

土手の伊勢屋

 地方橋まで来ていて今更ながら思ったのですけれど、目指す丸千葉さんに行くのには吉原大門の交差点から繋がる道が一本道です。何回も来ているんですけれどね。裏路地愛好家としては、やはりブラブラと裏路地から参りましょう。
 さて毎度お馴染みの丸千葉さん。時刻は日が傾き始める15時45分過ぎ。扉を開けると果たして、いつものようにほぼ満席です。カウンターに一人分空いていそうですけれど、予約席の札が置いてあります。実はこの時に、ワタクシに続いてほぼ同時に、もう一方いらしていたのですけれどワタクシは取り合えずと言うことで、レジ前の狭小な場所にあてがってもらい入ることが出来ましたが、その方は残念ながら入ることが出来ませんでした。

 運良く座ることが出来たワタクシは、前夜と同様にホッピーで始めます。それにしても、いつ来ても、このお店のお客さんは楽しそうに飲んでいますねぇ、素晴しいの一言です。しばらくして隣客がお会計して帰ったので横にスライド。ようやく広くなり、めかぶとろろ¥250を頼みます。以前食べたものより断然美味しいのは何故なのでしょうか?雰囲気も一つのフレイバーということなのでしょうか。ポン酢をかけてタップリのかつお節が旨味をアップしております。他のお客さんが楽しそうに飲んでいる様子を見るともなく見て(どっちやねん?)、時折若主人のやっちゃんから話題が振られます。

 この時には相撲の番組がTVから流れていて、朝青龍の居なくなった大相撲はこれから人気がガタ落ちだよ、と将来に悲観的なやっちゃんの主張が印象的でした。ワタクシも以前相撲は好きでしたが、当時は北海道出身の力士が全盛で面白かったものの、今では日本人の力士自体が…。気を取り直して〆さば¥500をつまみます。やっちゃんの止まらない相撲談義に相槌を打ち、うん、こりゃうまいと秘かに独りごち、〆さばを楽しむワタクシ。

 目の前の外国人のお客さんも、巧みな日本語を駆使してお酒を楽しんでいます。話を聞いていると、かなり日本は長いようで、古い話もよく覚えているようです。

 普段頼んだことのないナス入りマーボードーフ¥650を。艶々していて非常に美味しそう。強めのアンですが、自分で作るものや余所で食べる麻婆豆腐とも違ったオリジナリティ溢れる一品です。オリジナリティといえば、ナス入りですから麻婆豆腐と麻婆茄子を混ぜたようなものですからね。意外と結構辛口で美味しいので、白いご飯が欲しくなってしまいます。一人で食べると結構な量がありますので二人以上でシェアすると丁度良い位でしょうね。豆腐も崩れていなくて料理人の腕も窺えます。

 さてのんびりと過ごさせてもらえました。お会計を済ませて外に出ると夜の帳が落ち始めて看板の照明が輝きを増しています。

 いろは会商店街の入口の野田屋酒店の前でも楽しんでいる方々がおります。

 山谷の宿屋も少しずつ変化し、木賃宿ももちろん残っていますが、こんな新しいホテルも増えて来ております。もちろん値段はチョイとお高めになりますが、最近では海外からの観光客達も都内では断然安い滞在費の魅力でこの地を訪れる数が増加していると聞きます。

 泪橋までは行かずに、ひと通り撮り終えると改めて、いろは会のアーケードを歩いてみます。シャッターが閉じられているお店が多いのですけれども、一種独特の雰囲気を持ったこの空間にどういう訳だか惹かれてしまうのです。普通の商店街で見掛けないようなブルーシートや布団、ダンボール製のハウスなど、初めての方はカルチャーショックを受けること間違いナシですけれども、こうした方々が日本の高度経済成長期に果たした役割というのはもっと評価されるべきだと思います。
詳しくはこちらを参照のこと

山谷ブルース (新潮OH!文庫)

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 再び土手通りに出たワタクシは、ケトバシと呼ばれる馬肉を使った桜鍋を提供する老舗の中江さん、天麩羅の伊勢屋さん、あつみやさんといったお店が立ち並ぶこの界隈は、時代を感じさせてくれるワタクシ好みの地域。いつかは入りたいと思いつつも、まだお店にそぐわないだろうと、ついつい慎重になってしまいます。
 と、歩いていった先でカメラをバッグにしまい、ずり下がったズボンを引き上げベルトを締め直そうとした時のことです。腰に付けて歩いていたのを忘れて、万歩計を落っことしてしまったのです。この日生まれて始めて付けて歩いたのですけれども、慣れないので付けていることを忘れがち。落っことしたのはこの日三回目で、ついに電池カバーが外れ、電池が飛び出してしまい、今までの歩いた歩数の記録も消滅。途中吉原の近くにいて見た時に4,800歩程度でしたから、1万歩近くになっていたのでしょうけれど、それも確認のしようがありません。

 更に飛び出してしまった電池も電池カバーもどこかへ消えてしまい、これには非常にショックを受けました。正味5時間ほどの使用で使えなくなるというのは悔しいので、辺りを念入りに、雑草も引き抜いてパラパラとして紛れていないか、自動販売機の下も携帯のライトを灯して探しましたが見つかることはありませんでした(泣)。
 結局諦めて歩き始めると、少し先に前日訪れた浅草製麺所がある場所の近くであることに気が付いて、前日に撮った外観の写真がブレブレでしたので改めて取り直すことにしました。
 暗がりで食べ終えて支払ったラーメンの金額が¥390でしたので、不思議に思って、あ、そうか照明が落ちたことを詫びてサービスしたのかと思ったらこんなキャンペーンをしていたというオチなのでした。