サンマーメンを探しに鶴見へ

鶴見三業地会にて

 〜浅草から千束までの散策記が終わったばかりなのに、またしてもぶらり歩きの記事が続くこととなります。とは言っても、これは打ち込みに時間が掛かっているというだけの理由であって、実際には一週間に一回程度の散策なのです。しかしながら前述の通り、記事にするのに時間が掛かるために、前回分の一連の記事が完了する前に更にネタが溜まるという悩みも生まれつつあります〜
 とある日、朝から晴れていて予報でも雨の心配がなければやはりぶらりとどこかへ出掛けたくなるものです。特にワタクシは最近バイクに乗って旅に出ていないので、もっぱら知らない街などを散策するのが目下のテーマになって来ています。

 どこが良いかなと考えましたが、仕事柄いつも羽田から矢口渡、国道一号線経由で横浜の南太田辺りまでトラックで走っていることが多いので、いつも道すがら訪れてみたいお店、地域があるのです。その中でも、ちょっとした縁で因縁深い鶴見に今回は行ってみることにしました。事前にザッとリサーチした結果*1、他にも思いがけずにかねてから行ってみたいと思っていた場所が近くにあることが判り、正にピッタンコのターゲットです。また何やら鶴見には沖縄出身の方々が集まる地域があるとかでそれも気にはなっていますが、どうなりますことやら・・・。

 錦糸町まで歩いて行き総武快速線で品川まで行くと京浜東北線に乗り換えて5つ目。鶴見駅に降り立ちました。
 大体において鶴見という駅は普段何か目指していくという訳でもなく、ワタクシはその昔バイト先の飲み会の折に、終電を逃して店長さんの自宅に泊めてもらったのですけれど、そこから近いのが鶴見駅で、翌朝駅まで送ってもらったけれど、慣れない他人の家でのごろ寝でよく寝られなかった事もあるし、あまり記憶に残っていません、それも約20年前のことですから。
 駅前のターミナルはそこそこ広いもののチェーン系の居酒屋・飲食店が雑居ビルに集まり、さほどワタクシの興味を惹くようなものはありません。その向こうに見える高架の線路が京急鶴見の駅でしょうか。地図で調べたよりも思いのほか近いようです。その向こうには『いさりび』と大きく書かれた看板が一際目立ちます。
 駅前ターミナルの左(北)側の裏通りも一応念のために(何の?)、軽く見てみましたが特に目を引くようなものもなく、やはり飲食店には灯が入っていないと様子も判らないというもの。良さそうな大衆居酒屋さんらしきものもありましたが、詳細は不明です。
 すぐに京急線の線路にぶつかるので曲がって線路沿いを右に行きます。既に頭の中はサンマーメンのことで一杯なので、チョッとした居酒屋さんぐらいでは興味をそそられないのです。
 ところでサンマーメン(生碼麺)を探しに、何故鶴見に来たのかといいますと、最初に一人暮らしをした地が横浜で(かなり外れの方だけど)、サンマーメンに初めて出会ったときの衝撃、それ以来のファンになってしまったのですけれど、もっと驚いたのは横浜の地を離れて東京に進出した際にサンマーメンが横浜の地域限定メニューである(それには異論もあるでしょうが、一応ザックリというとそんな感じです)ということでした。それ以来街のラーメン屋さんでサンマーメンをメニューの中に見つけるとついつい嬉しくなって注文してしまいます。
 さて、そのサンマーメンですけれど以前から読んでいる日経新聞のサイトの「食べ物新日本奇行」で、 野瀬泰申さんという社員の方が自ら東海道を徒歩で日本橋から京都まで踏破するという企画で、様々な地域ネタを実地に検証するというものがありました。いくつかご紹介すると

  • サンマーメンの分布はどこから始まり、どこで終わるか
  • ネギの白い部分と青い部分、どちらを主に食すか
  • イルカを食用とする地域
  • 灯油のポリタンクの色は赤か白か青か、どこで変わるか


 などというワタクシにとって非常に興味深い記事の内容でした。もう大分前に読んだので、『鶴見ぐらいから本格的にサンマーメンがメニューに現れる』とか、そういう記憶でしたので鶴見を選んだのですけれど、実際今読み返してみると、川崎に入る前に発見しているのですな(焦)。人間の記憶というのは3日で半減するそうですから、実にあやふやなものです(自己弁護)。
 さて京急鶴見の駅の向こう側、東側にはベルロードと呼ばれる細長い商店街のような感じの道が広がっています。その端に、先程JRの駅からも見えた『いさりび』の看板のある建物に到着しました。『スーパーの半値に挑戦中』、との惹句(我ながら古い言い回しだねぇ、キャッチフレーズ、もしくはキャッチコピーだろうに)に惹かれながら、見てみると、ワタクシが期待した鮮魚市場やその類ではなく、ビルの4階5階に入居する居酒屋さんのようでした。それでも、確かに刺身一品98円というのは魅力的でもあり、大丈夫かなという気もしますけれど。改めて写真を見直してみると『日替わり刺身毎日98円〜』という文句があるので、サービス品のことなのでしょう。事実この日は〆鯖が98円でした。
 『いさりび』さんの看板に誘われるようにベルロードのところまで来てしまいましたが、そこから左側を見ると、『鶴見三業地会』と街角に書かれたいわゆる飲食街が広がるのでした。こういうところならサンマーメンを食べさせるお店が見つかりそうなものです。細かい道を行ったり来たりして街の様子を掴みながら、中華料理店は何となく除外して*2ぶらつくと、『いろは』さんという何とも味わい深い風情のお店が目に留まりました。こういうお店なら間違いなくあるだろうと、外に書かれたメニューを検分すると何ということでしょう、サンマーメン、生碼麺、サンマー麺の文字がどこにも書かれていないのです(泣)。これは残念、良さそうなお店だったのですけれどもね。
 縦横無尽に広がる飲食街を再びぶらつくと先程の『いろは』さんからグルリと回った裏側の方にまたしても見つけちゃいました、『食いしん坊』さんというお店。暖簾が裏表に掛けられています。たまにお店の看板の文字が逆様に書かれているお店があるのを長らく疑問に思っていたのですけれど、ある時、ひと目を引く為だよと親切な方が教えてくれたのですけれど、そのようなものなのでしょうか?実はもう一つ、写真に写っていない入口が左側にあるのですけれど*3、そちらの方の暖簾も裏返しでしたので確信的なものだろうと予想しながらガラス越しにメニューを見ると、ありましたサンマーメンちゃん♪到着したのが14時をとうに過ぎていたのでお店の賑わいもひと段落ついたところ。金田一少年の事件簿を読みながら待つこと数分、やって参りました。

 念願のサンマーメン¥650だったか?熱熱トロトロの餡に包まれたもやしなどの野菜が醤油ラーメンに乗っかったサンマーメン、久しぶりに美味しく頂きました。昼過ぎに家を出て電車を乗り継いでやって来たので、営業時間が心配でしたが、こちらのお店は14時過ぎに休憩に入る様子もなく、のんびりと楽しむことが出来ました。腹ごしらえが済むと、さてこれから本格的に散策の開始ですね。もう少しこの『鶴見三業地会』を楽しむことにしましょう。

*1:完全に下調べをすると、調査結果をただ検証するだけのことになり、それはワタクシの流儀ではないのです。行き当たりばったりで、面白いお店、地域を発見したいのです

*2:置いてなさそうな気が漠然としていた

*3:お店は角地に建っているのです