花月園に初めて行ってみた

花月園前駅近くの公園にて

 国道駅を後にすると、ワタクシは第一京浜(国道15号線)に沿って南の方に歩き始めました。こればかりは下調べした通りの地図が頭の記憶に残っていて間違えようがありません。手近な案内地図板を見ても間違いないです。

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 少し歩くと、『千代の湯』というお風呂屋さんが見えてきました。ブロック塀には天然温泉の文字が書かれております。最近温泉に入っていませんねぇ、ひと風呂浴びたい気もします。夏なら風呂に入って火照った身体を扉を開け放した居酒屋でキューっと一杯、なんて想像しただけで堪りませんね。

 生麦交番前の信号を折れると花月園前駅までの道が、『花商会』と銘打たれた商店街が広がります。とは言っても少々寂しさは否めないのですが、営業しているお店の皆様は元気に営業していらっしゃるようです。

 左に折れる道があるのでヒョイと視線を投げてみると、こちらも商店街になっているようです。『中華 みのり』、『美乃利』と看板に書かれており、更には壁に『みのり』と書かれているので、なんとも不思議な感じがします。写真を見ていて思いだしたのですけれど、中華のお店と、二階になにがしかのお店だったような気がします。その先にもまだお店がポツリポツリとあるようですけれど、基本的には住宅地のような感じです。横浜にも川崎にも近いし、東京も通勤圏ですから住みやすい街なのかもしれません。



 花月園前駅の入口、東側。長い階段です。花月園という競輪場の近くにある駅としては随分地味な駅入口ですけれど、これはあくまでも裏側といいますか、花月園のある側でもないのでこんなものでしょう。競輪愛好者の利用する駅としてはこれは幾らなんでも、表玄関とは言えないでしょうから、それを求めて反対口を線路沿いに探してみましたが、やはり花商会の続きにある踏み切りを越えないと辿り着けないようでした。しかし、ここ花月園前駅の踏み切りは少々厄介で、京急線の線路だけではなく、JRの東海道線京浜東北線の線路も平行して通っているので遮断機が幾重にも存在するのです。

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 そのために、この地図では出入口となっている南側の部分は間違っていて、その先に何故か掲載されていない部分に横断歩道橋が掛けられていて、遮断機のところにもお急ぎの方はそちらを使って下さいとの旨が書き記されているのです。実際渡るのにかなりの時間待つことになりました。JRも京急もそれぞれのタイムテーブルで列車を運行しているのでひっきりなしに電車が通過して行くのです。

 ようやくのことで踏み切りを渡り切ると、何人かの警備員が路上に立っていてこの日は競輪開催日でした。あまりそこら辺はリサーチしていなかったので偶然とは言え運が良かったようです。ファミリーマートの脇の道を曲がると坂道になっていてそこをエッチラオッチラ登っていくことになります。それにしてもワタクシはギャンブルに全く興味がなく、何で今回花月園に来たのかと言いますと、かつて横浜に住んでいた時にその名前が何とも風流に感じられとても興味があったこと、そしてそれが今年の三月で廃止されるとのことをニュース記事で読んで一体どんなところなのだろうかと思ったからなのでした。
 それにしても坂道を登りながら、すぐ近くの学校(鶴見大学付属の学校や幼稚園)があるというのは教育上いかがなものかな?とも思いましたが、それがこの花月園の存続問題の一因のようです。

 ワタクシも、もういい大人ですしワルいことをしているわけでもないのですが、全くギャンブルをやらないワタクシにとってこうした場に来るというのは居心地の良いものではありません。ワタクシの住む錦糸町は、それこそJRAの場外馬券場が、それも二つあったりする筋金入りのギャンブル・タウンの様相を呈していますが、縁のないものにとっては、千葉方面から電車に乗って改札口から吐き出される人々の群れは毎週お馴染みとは言え、やはり一種独特の雰囲気があります。

 階段を昇り切ると、建物が見え『もつ煮』の幟もはためく売店・露店が見えます。ワタクシの場違いな場所に来てしまったという居心地の悪さがあっという間に霧散し、『もつ煮』の文字に反応してしまいます。もつ煮に燗酒なんて考えただけで身震いしてしまいそうです。
 ワタクシ、関係ないようですけれど小さい頃お祭りというものが好きだと思っていたのですけれど、実際に東京に来てからお祭り好きの人=神輿好きということを知って愕然としました、ワタクシが好きなのはあくまでもそれに付随する屋台や露店であり、神輿が好きなのではなかったのでした。それに気が付いて以来、祭りというものが好きではないという現実に直面したのです。あの賑やかな華やかさが好きなので横丁に連なる居酒屋の数々に心奪われるのですね。

 生まれて初めて辿り着いた競輪場。花月園とはどういったいわれなのかは良くは存じ上げませんけれど、うーんただの競輪場ですね(無念、でも当たり前)。この日はもうここでのレースが終わっていたのか、実際のレースは行われていませんでした。その代わりに、巨大なビジョンで中継がなされていてこれから最終のレースが行われるところでした。実に良いタイミングです。

 ワタクシはレース自体には頓着しないので、ひたすら自分の感性に基づいて写真のアングルを考えパチリ。変な人決定、ですね。観覧席は幾つかのクラスに分かれているようで、ガラス張りの暖かく見られる特等席から吹きっ晒しのベンチ席まで。一体普段、そして混雑時にはどの位の混み方をするのかは知りませんですけれど、平日の午後として、やや寂しい人の入りです。
 丁度始まったレースを見てみましたが(これも生まれて初めて)、初回早かった選手が二周目には脱落し、二周目早かった選手も入れ替わり、結局最後には最初ビリに近い選手が勝ってしまいました。ワタクシは門外漢ですから、理解不能でしたが他の客も口々に『こんなレースはないよな』と口々にこぼしていました。そのレースが終わると最終レースだったらしく、人々は帰り道の方向に向かい始めたようなので、ワタクシも用は済んで同じ方向に向かいます。違う点はレースに負けたか、やらなかったと言うことです。

 坂を下り、駅に行く途中にも屋台や居酒屋があり何人か居ますが、もうレースも終わったことですし後はもうしばらくして閉店となるでしょう。帰る人の群れに飲まれるように駅に辿り着いたワタクシはその姿をカメラに収め、ひとりそこから離脱して歩道橋を降り線路沿いの道を南西に向かったのでした。