戸越銀座を散策

戸越銀座

 昨日は天気も良かったのに出掛けもせずに家に居たので、今日も天気が良いもので出掛けることにしました。本当は土曜日に出掛けて日曜日にゆっくりするのが理想なんですけれどもね。今回は最近出掛けていない所で、と考えていると戸越銀座がふと思い浮かびました。

 学生時代住んでいた辺りからは、やや遠目の散歩の地域でしたが、今ワタクシが住む錦糸町からですとそうは歩けないので、自宅からのルート策定により、都営浅草線本所吾妻橋駅から電車に乗り込み、都内を縦断し泉岳寺乗換え戸越駅に降り立ったのは、自宅を出てから約一時間後のこと。自宅から本所吾妻橋駅までが20分ほどでしたので、意外に近いものですね。両国から都営大江戸線で大門乗換えでももちろん行けます。また両国からJRで総武線秋葉原乗換えの五反田から池上線で戸越銀座駅というのも有力なルートですが、こんなことを言っていたらキリがありませんね。

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 都営浅草線の駅を出ると目の前に国道一号線が延びています。戸越銀座という信号があり前後に商店街が延々と延びています。戸越銀座は本家本元の銀座から一番近い銀座という名前のつく商店街だということです。また全国的にその存在意義が揺らぎ始めているとも言われることの多い商店街ですけれども、その苦境の中にあって一際元気な商店街としても有名です。
 その入口ともいう場所の角には今や全国展開しているBook Off、もう一方の角には輸入食品とコーヒー豆で有名なカルディがありました。カルディさんの入っているビルはまだ出来て間もなく、調べると先月2月の25日にオープンしたばかりとのことです。かつて錦糸町にもあったのですけれど、無くなって不便です。

 国道一号線を渡り、久々の戸越銀座めぐりを始めます。元気な商店街としてTVでも取り上げられることがあるこちらの戸越銀座商店街、さすがに人通りが非常に多いです。以前来たのはもうかれこれ8年ほど前のこと。記憶の中の商店・飲食店とは違う新しいお店や、以前と変わらぬ昔ながらのお店もあります。でも少しずつ新陳代謝がおきているようです。こちらの『せい家』さん、ふと思い出すと、おお、そういえばこの間蒲田で入ったお店だなぁ、と気が付きました。しかしこちらの戸越公園店はかなりその造りがモダン。屋号が入っていなければ全く違うお店かと思ってしまいます。

 とある焼肉屋さんの前にて。夕方のオープン前の準備でしょう、七輪というか木炭コンロが整然と店頭に並べられていました。七輪好きとしては心躍る光景です。ここで目を引いたのは、この四角い形。通常の安い七輪・木炭コンロでは珍しい角型の物ですけれども、更に卓上で使いやすいような小型で低いものなのです。これならテーブルに載せても、背伸びをせずに楽に物を焼いたりすることが出来ますね。これもコレクションの一つに加えたくなりました。


 少し進むとこんなレトロ感溢れる(失礼)、否昔ながらの正統派の町の中華屋さんとも言うべき佇まいの百番さんを発見(嬉)。昼間にきっちり自家製アンチョビのトマトソースパスタを食べていたのでまだお腹が空いていませんでしたが、昼時なら間違いなく入ってしまっていたでしょう。店頭のショーケースにはシュウマイ¥60など気になるメニューがありました。
 今回のワタクシの目的は前回偶然見付けて入った同じような中華料理屋さんを探すこと、と店頭からモクモクと煙を上げて美味しそうな匂いを振り撒いていた焼き鳥のお店を探すこと。この焼き鳥屋さんは、文字通り焼き鳥屋さんであって、お客さんが持ち込みでお酒を片手に楽しそうに串を口に運んでいるのが印象的でした。

 すると、すぐ目の前にこんな焼き鳥屋さんを発見。しかしながらワタクシの記憶の中のお店とは異なるのです。ワタクシの記憶の中のお店は間口がせいぜいで一間半から二間、親父さんがひとりで焼き台の前に立ち、串と格闘していたのです。それも場所が横道に入ったところで、こんなメインストリートに面してなどいなかったのですから。
 それにしても、路上に広げられたテーブルにもお客さんがぎっしり、和気藹々と楽しそうに飲んでいるのを見るのは、こちらも引き込まれそうになります。でも記憶のお店を探すことを優先しましょう。

 明太子の『かねふく』さん直営のお店もありました。今日はホワイトデイということで、やや強引ながらも、ホワイトデーには明太子が一番!と力強く宣言されているのには笑ってしまいました。明太子も久しく食べていませんねぇ。時期が来たら、今年こそはと自家製明太子作りを画策していたのですけれども、どうにも素材となる生食向きのタラコが店頭で見掛けることが出来ずに、いつしか春を迎えてしまいました。来年、というか今度の秋には築地で生食向きのタラコを探してみないといけませんね。




 またしても焼肉屋さん。『go-wa』さんというお店です。小川畜産直送と謳っていますが、小川畜産がどういうものか分からないワタクシにとっては、ハァそうですかとしか言いようがありません。もしかするとその業界では非常に有名なお店なのかも知れませんね。そんなお店に特別引かれた訳でもないのですけれど、興味を惹く看板が店先にあったのです。

〜国産牛とは〜
産まれが日本でなくても
海外からたった3ヶ月以上
日本で育てば国産牛と表示できる。
go-waのお肉は国産牛の黒毛和種使用
産まれも育ちも純日本!!
全頭検査しているので
安全・安心

とのことです。『産まれ』の文字が『生まれ』の間違いではないかと気になるところですけれども、そうなんですよね、このことは。仔牛の段階で取引され(肉牛では栃木県が有名)全国各地に散らばりいかにもその土地の名産の牛肉として出荷されたりしますけれど、元を辿るとその土地で生まれていない牛だったり。
 また他の食材でも、例えば鰻なんかも台湾や中国から稚魚を運んで来て日本で育てれば国産にもなったり、北海道の厚岸は牡蠣の養殖で有名ですが、そこから出荷された牡蠣を広島県の方に持って行って、数日間から数週間そこで海水の中につけておくだけで、広島産の牡蠣として出荷されるという話を聞いたことがあります。その伝からすると、頷ける話ではあります。いわゆる一連の産地偽装としてではなく、正当なものとして認められているというのが何ともはや…。

 一つ一つ、横道があれば丹念に探るようにして見ながら、進んでいますとまた別の商店街らしきものが見える坂道が出て参りました。平和坂というらしいのですが、少し行ってみることにしましょう。

 これまた昭和レトロ感のある記念湯さん。うーん、こういうネーミングは何とも時代掛かっていますね。またその外観も当時はモダンだったと思われますが今となってはこういう外装も珍しく、そしてその当時を知る方にとっては懐かしいものなのでしょう。ワタクシにとっては味わい深い感じといったところ。その昔風呂無しの部屋に住んでいたことがありますが、問題なのはその営業時間。大体昼3時から夜23時というのが相場ではないでしょうか?遅くまで飲んでいたりすると入れないこともありました。でもこちらは安心、昼の2時から深夜1時とは何とも嬉しいじゃありませんか。

 その先にも、まだまだお店が続いているようです。銭湯の向こうには蕎麦屋さん、中華屋さん、クリーニング屋さんにカラオケルームもあります。酒屋、米屋さんに居酒屋さんもあり近所に住んでいる方々にはなかなか住み易そうな町のようです。少しお店の途切れた辺りで引き返し坂を下りました《続く》。