言問橋から吉野通り、山谷堀を歩く

ぶんすけ・醤油ラーメン

 桜を満喫したワタクシは言問橋を渡り切り、変形五差路となっている言問橋西交差点から少し戻ったところにお目当てのお店を見つけました。『ぶんすけ』というお店です。何かの折に偶然ウェブ上で見つけたお店なのですけれども、昼の営業と夜の営業で出すラーメンの味というかスタイルを変えるということで興味を持ちました。いわゆるこのスタイルを『二毛作』と言うそうです(知らなかった、ラーメンはしょっちゅう食べるけれど詳しくはないので)。黄色いテントが目にも鮮やかで、店頭のコカ・コーラ自動販売機と共に人目を引いています。しかし、『ぶんすけ』さんで検索をしたら、『例の名店の』だとか『インスパイア系』だとか言う文字が躍っていてそういう記事を読むまでは全く意識していませんでした、ワタクシ(冷や汗)。そういう目で見ていなかったので、どこそこのスタイルとか言われても全く判らないのですよね。

 食券を買ってカウンターの上に出して待つことしばし。好みとかは全く言わずにデフォルトの状態で醤油ラーメン¥650。この日は一眼レフなので人目も憚ってサッサと撮影を済ませて箸をつけました。ん?ヌルいんですが?スープはそこそこ熱いのですけれど、どうも上のもやしが茹で置きで冷たいのを載せているらしく一気に冷めているようなのです。下の方から麺を持ち上げるとそれなりに熱いのですけれど、混ぜて食べているうちに冷えてしまうという、そこが残念。北海道ラーメンで育ったワタクシはラーメンを食べて口の中を火傷するのが当たり前になっているのでラーメンは熱くないとどうも嫌なのです。辛口失礼。他の慣れたお客さんは野菜大盛りとかにしていたけれど、気にならないのか不思議。

 どうにか食べ終えて、お店を出ると目の前の信号を越えて東の方を見ると、このように相変わらずスカイツリーが聳え立っています。この国道6号線と吉野通りの交差点はひとつのベストポイントかと思われます。現に、記念撮影している親子とか、携帯を構える人が後を絶ちません。

 吉野通り沿いを北へ歩くと、間もなく山谷堀公園の入口、浅草高校前と書かれた信号機があります。ここも桜の名所と言って良いでしょう。またしても見事な桜の木が左右どちらを見ても咲き誇っております。

 とりあえずは、左に曲がってしばらく山谷堀を歩くことにします。ここの公園は昔の山谷堀を埋めて作られた公園で、ずっと行くと土手通りまで出られるのです。思ったほど宴会を繰り広げている方の姿は少なく、散歩をしながら思い思いに桜の花を楽しむ方のほうが圧倒的に多かったのが印象に残りました。

 お年寄りも、車椅子に乗り介護の方に押されてお花見を楽しんでいます。実に良い風景ですね。天気も良いし最高の花見日和です。

 時にはこうした光景が見られるのも、山谷と言われる地域柄が表れています。しかし、これも現実なのです。お花見に興じることなく健やかに眠る彼をそっとしておいてあげるのも、ひとつの優しさというものでしょう。


 思ったほどの距離を感じるまでもなく、地方橋にまで辿り着きました。地方橋の銘板を入れて日本堤のポンプ所をバックに入れようとしゃがんでカメラを構えていると、後ろを歩いていた女子中学生が駆けて行きました。いや、それほど怪しいことをしているのではないのですけれどもね。今のこのご時勢、どんなことがあってもおかしくありませんから、誤解を受けるような行動は慎みましょうね。でも、何でだろう?自意識過剰なんじゃないのかな、とやや疑問に思いつつ。





 そのまま地方橋を横切るように道路を越えると、これが山谷堀の端のほうになります。この先、土手通りにぶつかることなく、いきなりブツッという感じにこのコンクリートの壁は切れています。端のほうは黒い鉄の柵に遮られて中に入ることは出来ません。





 その鉄の柵から中を覗いたところ。別に何がどう、ということもなくただの原っぱ。開放して公園にでもしたら?というのは余計なお世話か。でも人間って、こうして囲われていると何があるのだろうと気になって入りたくなることを見越して柵をしてご丁寧に鉄条網まで這わせてあるのは…。




 ここがどん詰まりの中の光景。先ほどの鉄の柵の隣りにある緑色の塀の中。鉄板に覆われているけれど、道自体が傾斜しているので、端まで歩くとそこそこ身長のある人なら中が垣間見れます。でも中はゴミだらけですけれどもね、ガッカリ。

 でもって、これが本当の端っこ。緑の鉄の塀でおしまい。なんとも呆気ない、そして味気ない終わり方ですね。ここを進むと丁度東浅草小学校のところに出ますので、裏路地をブラブラと散策しながら再び吉野通りを目指します。東浅草2丁目の交差点からは毎度お馴染み丸千葉さんの紺色の暖簾が下がっていて、もう既に営業していることが判りますが、まだ全くお酒を飲みたくなくて膨満感に苛まれている状態。そのまま吉野通りを北上します。泪橋の交差点を今回は右に明治通りに沿って歩きます。

 いわゆる、山谷のドヤ街を迂回してきた形になりますが、このように新しい高層型のホテルも続々と増えています。そしてその横には従来型のホテルというよりは旅館と言う呼び方がしっくり来る様な宿が旧態然として残っていますけれども。

 今は丁度古い宿は取り壊して建て直すか、資本のあるところはサッサと建て替えて大きくなるという端境の時期にあるようで色々な建物が混在しています。

 さてここからは車では通ったことがありますが、歩くのは初めての未体験ゾーン。どんな出来事が待ち受けているのでしょうか?白髭橋に向かって歩きましょう。まだまだ気力も体力も充分です。