昼酒・『きよし』にて

tominxanadu2010-06-21

 昨日の日曜日は、丁稚飲酒帳の丁稚さんと打ち合わせして、堀切菖蒲園の名店『きよし』さんの移転後営業再開とのことで、昼酒を楽しんできました。とはいうものの、ワタクシが『きよし』さんで飲むのは初めてのこと。記事を読んで行ってみようと思ったのは、あいにく元々の場所での営業を終了した後のこと。移転のための後片付けをしている最中にお邪魔して、その独特のお店の様子は拝見できましたが、何せ酒場というのはお客さんが入ってこそ生気が宿るといいますか、営業中のお店の雰囲気を楽しみたかったのですが、それも叶わぬ夢・・・。

 13時の営業開始に合わせてお店の前で待ち合わせ。丁度ぐらいに到着するように見計らって家を出ましたが、果たして時計を見るとギリギリ間に合うかというところで、お店の前に丁稚さんがいらっしゃいました。2月にお会いした以来ですからほぼ4ヶ月振りのことです。開店時刻ということで、丁稚さんがお店の扉を開けてお店の方に確認するとOKでしたので、早速中に入ります。既に一人のお客さんが飲んでいました。
 独特の大理石模様のカウンターは以前のお店から持って来たようです。テーブル席があるのは、前のお店にはなかった仕様のようです。とりあえずボールから、ということで下町のハイボール、やや黄色味がかったシロップ入りの酎ハイを頂くことにします。

 今回は完全にワタクシはアウェイ、丁稚さんにお任せの状態で注文を決めてもらいます。ふんだんに並んだお品書きの札や黒板を注意深く眺めて選び出した自家製鯵酢。ワタクシは先週自分でも作りましたが、どのような味なのか興味があります。果たして運ばれて来たものは、しっかり締まってはいますが酸味はそれほどでもなく、こういう締め方もあるのかと参考になります。お酒を頂きながら丁稚さんとは酒場談義、表では言えない様な裏の話など織り交ぜ話題に尽きることはありません。

 以前のお店から引き継いできたメニューの数々。まだまだ再開して、以前のお店とはまた勝手が違う厨房で作るには苦労があることでしょう。それにしてもこの良心的なお値段。大体が¥300程度のつまみが充実しているようです。これこそが下町の居酒屋たる所以でしょう。
 しらすおろし、エシャーレット、かきフライ、枝豆、あじフライ、ウインナー焼各¥300、自家製メンチかつ・コロッケ¥280、黒もずく酢¥300、すなきも塩炒め、はんぺん焼、納豆揚げ、冷しトマト、アボカド、山芋千切り各¥280などなど、これでもごく一部です。

 一歩遅れて出て来たメンチかつは自家製、これで¥280なら良心的でしょう。箸で分けると中から肉汁がジュワーっと溢れ出して来ます。その時はメニューを見ていなかったので知りませんでしたが、一口口に入れれば、これが既製品の冷凍物でないことはすぐに判ります。どこかこう風味が違うんですよね、手作りのものは。インパクトとしては南千住の丸千葉のヂャンボメンチや赤羽のまるます家さんのメンチカツに軍配が上がりますが、まぁそこら辺は値段との兼ね合いもありますし、一人で飲むにはこれぐらいのボリュームでないとキツいでしょう。





 合鴨煮¥150。つまみは¥150から揃っているこちらのお店のなかでも最安価格帯ながら大健闘の内容です。スライスされた合鴨の切り身を甘辛く煮付けたもの。これで燗酒なんざぁ、堪りませんですゼ、の逸品でしょう。また、煮物続きで鯖味噌煮をチョイスする辺りは丁稚さんと好みが合いそうですなぁ。何せご一緒するのは初めて、丸千葉さんで隣り合ったのが初めてのご縁ですから。

 酒場談義も盛り上がりつつ、先約があり一旦帰宅してそちらの方に向かわれるということなので、駆け足気味に飲みましたが小一時間と言いつつもおおよそ2時間ほどの滞在でございました。氷を入れないこちらのお店のスタイルの"ボール"、いつしか炭酸は7本を数えるようになり、そろそろお会計。それでも二人で¥3,000に満たない金額は立派、庶民に優しい偉大なるお店の復活なのでした。