神田探訪その1

みますや@神田

 川崎探検隊として何度も川崎方面、また蒲田や横浜の桜木町・関内方面にまで足を伸ばして来たワタクシとMさんですが、今回は神田の街を探訪することにしました。今までのそれぞれの街に較べると遥かに近場で、もし万が一終電を乗り過ごすことがあってもタクシーで¥2,000もあれば帰って来ることができるという魅惑の街でもあります。
 『探訪』とは言っても実際には先に何度か神田の街を探索(彷徨?)しているワタクシが、Mさんにある程度吹聴しているお店のガイド役を勤める訳なので、当ブログを読んでいらっしゃる皆様にはもう既報のお店がいくつか出てくることとなりましょう、あしからず。

 岩本町駅からまずは集合のお店へと急ぐと、ポツポツと降り始めた雨が次第に勢いを増しています。仕事場を離れる時に、傘を持って行こうかどうか迷っていたのですが、持って来て正解でした(嬉)。蒸し暑い中、急いで歩くこと5分ほどで神田駅西口の近くにある『馬力』に到着。顔馴染みのコバさんに笑顔で迎えられ、Mさんと合流。既に緑茶ハイと馬力漬け(砂肝の酢醤油漬け)をつまんでいましたので、緑茶ハイをもらって乾杯。錦糸町北口店でお馴染みだったお父さんもやって来て、俄かに神田店が錦糸町北口店の様相を呈してきました。とりあえず一杯飲み干すとこれから先が長いので、名残惜しいながらも降りしきる雨の中、次のお店へ移動します。

 最近秋葉原から神田方面に流れる時には訪れている『浜街道』という立ち飲みのお店。何度来てもこちらのお店の料理とお酒の価格には驚かされます。まずは下町ハイボール¥100(!)と好きなつまみをそれぞれチョイスします。Mさんは煮玉子¥100(ウズラの玉子が5つほど)、ワタクシは鮭のハラス明太焼き¥200。現金先払いですがここまでそれぞれ、200円、300円と他のお店では一品分になるかならないかの金額。二人で一つの傘に入ってきたので半身が濡れたTシャツをクーラーの冷気で冷して風邪を引いたりしないように、外気の当たる入口近くのテーブルで頂くことにします。

 キムチ¥100を追加。Mさんは筑前煮¥200を選びました。こうした安いつまみというのは得てして小皿に盛り付けただけというのが多いと思いますが、白胡麻と浅葱を散らして、とこうしたひと手間を掛けているのが嬉しいのです。筑前煮は、画像がありませんが、Mさん曰く具材が偏らないように綺麗に盛り付けられているようです。お玉で掬っただけでなく具の配置にもごぼう、ニンジン、蓮根、鶏肉が上手く入っているようです。昼にはお弁当の販売もしているようなので、それを上手く活用しているようです。
 生乾きのTシャツのまま二杯目の下町ハイボールを飲み干すと、そろそろお次のお店へ移動します。結局二人とも二杯飲んで、二品をつまんで仲良くワンコイン¥500のお会計でした(驚)。

 お次は裏手の方にある神田でも、いや東京でもかなりの老舗居酒屋の『みますや』さんです。太田和彦氏の著書

精選 東京の居酒屋

精選 東京の居酒屋

でもその名を知り、幾年月。記事にはしませんでしたが先月、先ほどの浜街道さんの後にひょっこり入ってみたのです。
 『明治38年(1905年)創業』の古典的な居酒屋さん。ということは今年で創業105年なんですねぇ、凄いっ。ガラリと引き戸を開けるとワイワイガヤガヤ、およそ老舗らしからぬ今でも現役続行中の人気居酒屋であることが判ります。予想では老舗居酒屋だから落ち着いてひとり酒、なんていうお客さんが多いのだろうと勝手に予想していたのですが、全く外れました(恥)。全回はほぼ満席、片隅に席を作ってもらいましたが、今回は厨房に程近い柱後ろの大テーブルに二人横並び。小上がり席はいつものようになのか、予約客の名前が記された紙が貼り付けられて、楽しそうに賑わっています。

 海外からの方と思しきお運びのオネエサンが瓶ビール(キリンラガー大瓶)とお通しを持って来てくれました。このあたりも、来るまでの予想を裏切るものでワタクシの予想では、長年勤め上げたような年配の店員さんが居るものだと思っていたのです。お品書きはこのような縦書きの何枚か綴られたものですが、結構ページもありどれにしようか目移りしてしまいます。
 これは前回の席から撮ったものですが、このようなメニューはほんの一部です。割と渋好みの古典的な居酒屋メニューが並んでおります。お通しは無料サービスで前回は卯の花、今回は自家製のお新香、後から来た目の前に座った二人連れは変わってもやしのお浸しのような、ナムルのような感じのもの。このお通しをつまみながら『季節のぬた』が運ばれてくるのを待ちます。

 季節のぬた¥400。驚いたことにMさん、『ぬた』をご存じないのです。鮮やかなニラの緑色にマグロの緋色、そして酢味噌の茶色に辛子の黄色のコントラストが織り成す伝統の肴です。二人でつまむにはやや量が物足りなかったのですが、Mさんは大層お気に召して頂けたようで、チョッとこちらも勧めて良かったと満足。そしてMさんと仔細にお品書きの内容と値段を検討しながらワタクシはこのお店で一番安い部類の日本酒『谺(こだま)』¥300・一合を傾けます。群馬のお酒だそうですが聞いたこともないし、調べてもヒットするのはこちらのお店の名前だったりして詳細は良く判らないのです。白鷹も同じ値段ですが、『谺』は嫌な癖のない飲み易くかつ腰のある味は結構気に入っています。またこうした老舗の居酒屋さんでは大関剣菱といったナショナルブランドの酒を一つか二つ置いてあるだけというのが多いように思いますが、みますやさんで驚かされたのは、その豊富なお酒の種類。
(これは前回訪問時注文の肉豆腐¥400)
 八海山、久保田といったかつて一世を風靡した新潟県の端麗系のものからワタクシ贔屓の獺祭(山口)、繁升(福岡)、黒牛(和歌山)、出羽桜(山形)、飛露喜(福島)などと幅広いラインナップが揃い、焼酎も同様(焼酎は余り詳しくないので割愛)。つまみは良いのに合わせるお酒が・・・ということもなく、逆にどれを選ぼうかと迷ってしまいそうな贅沢な悩みもここではありうるのです。他の方の注文した料理が運ばれて来たのを見る限り、全てが安いとか量が多いということもなくそれなりのものもあれば、ハテナがつくものもありますがプロであるMさんからするとお酒に関してはかなり良心的であるとの結論に至りました。最後に思わず頼んだシーバスリーガルのロック¥450・一合(謎)の正体は、果たして運ばれて来るとタンブラー(8タンと呼ばれる240ml入りのグラス。通常お冷として出されるサイズ)にタップリと注がれ嬉しい誤算。ほろ酔い気分でお店を後にすると南口方面に向かう二人でした(続く)。