闇の奥へ/クレイグ・トーマス

 昨日でようやく選挙が終わった。しかし、それにしても恒例の『最後のお願いです』コールも余り感じなかったのは、意識から締め出していたせいだけではなく、今回の選挙自体とても盛り上がりに欠けていたのか・・・
 前回の[読んだ本]のカテゴリーの記事は約半年前のこと。いつもながら時の経つ早さに唖然とするばかり。その時の記事の内容はといえば、こちらの本を読み掛けというところで終わっていました。

フェイスフル・スパイ (小学館文庫)

フェイスフル・スパイ (小学館文庫)

 スパイ物は大の好物ですが、最近ではかつての冷戦時代ようなソ連アメリカといった図式(ソ連というのもかなり耳にしなくなりましたなぁ)からイスラム過激派やアルカイダビンラディンといったテロリズムとの対峙という図式が多くなってきているように思います。この作品もそういった中の一冊。イスラムの知識がより多く持ち合わせていれば、もっと深く楽しむことができるのでしょう。
闇の奥へ〈上〉 (扶桑社ミステリー)

闇の奥へ〈上〉 (扶桑社ミステリー)

闇の奥へ〈下〉 (扶桑社ミステリー)

闇の奥へ〈下〉 (扶桑社ミステリー)

 クリント・イーストウッド主演(この時でも既にかなり歳で似合っていないキャスティングだったように記憶している)で映画にもなったファイアフォックス
ファイヤーフォックス 特別版 [DVD]
の原作者であるクレイグ・トーマス著。映画は大したことなかったけれど、原作は本当に『手に汗握る』を地でいく傑作。次作のファイアフォックス・ダウンはややパワー『ダウン』も否めなかったけれども、両方とも楽しませてもらえました。その作者が放つのだから悪いはずもないと購入。オールド・スパイ達の暗躍・暗闘を描いているのですが、老人達の戦いだけにスピード感が欠けモッタリした展開の調子に前半はイライラしつつというのが正直なところ。トータルではなかなか面白かったです。コンピューターの件(くだり)は時代が時代だけに古臭さが否めませんでしたが。
ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)

 勤め先の社長から。全く知らない日本人の作家。始まりはかなりリアリティに溢れる書き出しで、どんな展開かわからなかったけれど、読んでいるうちにどことなく村上春樹の初期の作品群(羊をめぐる冒険1973年のピンボールあたり)にかなり似ているテイストを感じました。そしてそれは主人公の男の子が、少し頼りないようなニュアンスで描かれているにも拘らず、ヤルことはやっているという点や、それほどストーリーの流れには関係ないような程のそうした描写が描かれていること。最後には結構予想を裏切るような展開になって馳星周っぽかったりで、うーん。
これがC級グルメのありったけ (新潮文庫)

これがC級グルメのありったけ (新潮文庫)

 ワタクシは味噌を自家製で作ったり、醤油に興味を持ったりしていると色々と調べるうちにいつの間にか辿り着くのはこの人『小泉 武夫』という人の名前。東京農大の教授らしいのですが、実に平易な言葉で一般人に判りやすく、そして最大限の愛情を込めて食べ物に接するその文体に初めて触れました。TVでは何度か拝見しましたがいつも柔和な語り口で(やや朴訥な東北訛りは福島の方らしい)芸人のオチャラケにも真摯に接するその根底にある膨大な基礎体験が垣間見えました。これをきっかけにまだまだ読み進めそうな感じ。『くさいはうまい』
くさいはうまい (文春文庫)
なんてその筆頭候補なんですよね、クサヤ好きのワタクシにとっては。
バッド・モンキーズ

バッド・モンキーズ

 こ、これは読み初めから全く理解できなくて、それでも情景は浮かぶといった不思議な一冊でした。おおよそSFなんだけれども近未来物とかそういったSFではなく、リアリティと非現実的なものの間を揺れ動く様とそれに翻弄される主人公を描いた、異色作といったところでしょうか。面白かったかと問われれば・・・?。
おっと、その前にもう一冊。『犬の力』
犬の力 上 (角川文庫)
犬の力 下 (角川文庫)
でその強引なまでの読む者を惹きつける文章力を惜しげもなく披露してくれたドン・ウィンズロウの関連作。
ボビーZの気怠く優雅な人生 (角川文庫)

ボビーZの気怠く優雅な人生 (角川文庫)

 やはり『犬の力』程の期待は持たずに読んだのですが、それで正解。いや、逆にそれほど期待はせずに読んだので意外に面白かった、と高評価できたかも。でもこれが同じ作者と考えると複雑だし、むしろ別の知らない作家がこんな作品を放つとしたら手放しに面白がるのでしょう。 ワタクシが住む錦糸町・両国界隈にある江戸東京博物館の館長さんが監修、多くの著者が編纂した『江戸』にまつわる本。歴史には20年以上縁がなかったワタクシですが、こうしてこの地に住むようになって色々と素朴な疑問や興味も抱くようになったのは事実です。元々は、とあるバーでいつものように飲んでいたら、『この界隈(両国)は下町ではない』と言い出したお客(仙台生まれ大阪育ちの歴史好き)が居て、何をバカなことを、とカチンときたのがきっかけでこの本を購入したのですが。
影の傭兵部隊、出動 (ハヤカワ文庫NV)

影の傭兵部隊、出動 (ハヤカワ文庫NV)

 これはワタクシ好みのドンパチ物で戦闘シーンが、と期待大で読み始めたのですが、チョッと御都合主義の偏りが強く、余りにもトントン拍子に事が進んでいくのがやや魅力減。とどのつまりは次回作への伏線もしっかり張られていたりで、著者のイヤラシさが垣間見える点で大幅減点。
空想科学文庫 空想お料理読本

空想科学文庫 空想お料理読本

 数日前に何気なくアルカキットの本屋に立ち寄ったら、何とも面白そうな装丁にヤラれてしまった一冊。アホなまでのこだわりを繰り広げる二人のトークを文字に起こした抱腹絶倒の寸止め的な一冊。それほどアニメに精通していないワタクシには馴染みのない話ばかりだったのでその点が、ね。こうしてみると、意外と見てきたアニメというのは偏りがあるんだなぁと痛感する次第。
 そんなワタクシが今読んでいるのがこちら。
オルタード・カーボン(上)

オルタード・カーボン(上)

 過去にブロークン・エンジェル
ブロークン・エンジェル 上・下巻 2冊セットを読みましたが、同じ作者でストーリー的にも繋がっているようです。今ひとつ感情の起伏が乏しい登場人物達ばかりで読んで居てもこちらもテンションが上がりません(笑)。