手頃な日本酒を試してみる

丸眞正宗

 ワタクシは様々なお酒の中でも日本酒は大好きですし、体質にも合っているように思います。あれ?ハンドルネームは『coldgin』なのだからジンが好きではないの?と思った貴方、うーんスルドいですね。しかしながら、ジンは食前酒や食後のバータイムでこそ適したお酒だとは思いますが、食事に合わせてという意味では、かなり癖のあるものなのでオールタイムでとなると日本酒に分があります。それに、ジンばかり飲んでいるとヘベレケになってしまいますね。飲み過ぎると手痛いしっぺ返しがあるのはどのお酒も一緒なんですが。
 そんな日本酒を買って家で飲む場合には、長らく純米酒ばかりを選んでいました。混ぜ物が入らない純粋なもの、という響きに幻惑されてというところもありますが、なんだか本醸造以下のお酒では悪酔いしたり、二日酔いになりやすいような経験が多かったので自然と少し良いものへと目が向いていたのでした。しかし、それは最初に日本酒を飲みだした頃に、スーパーで売っているような大量生産のナショナルブランドと呼ばれる大関や日出盛、月桂冠、菊正宗、松竹梅、剣菱といった日本酒だったのです。ということで、意識してそれらのブランドを避けるようになったのが美味しい日本酒とは何かということについて考えさせられる・意識させられるきっかけとなりましたのでそういう意味では感謝しなくてはなりません。
 とはいうものの、自分自身の好みというものが分かってからは、大衆酒場を専ら飲み歩くようになってきたのですが、そんな中でもお酒の銘柄やランクというのはピンからキリまであるものです。南千住の丸千葉さんのようにナショナルブランドだけを数種類置いてあるお店や(こういうお店はむしろ珍しく、大抵は一つのブランドで普通酒か上撰、それと冷酒と呼ばれる300ml程度の小瓶を置いてあるのが普通)、馴染みのない銘柄にぶち当たり、自宅に戻ってからウェブ上で調べても余り情報が出てこないものもあります。

 そんな中、赤羽の立ち飲みの『丸健水産』や『まるます家』、王子の『平澤蒲鉾店』といったお店(敬称略)で楽しむことができる23区唯一の酒蔵の丸眞正宗は、ワタクシも気に入っているお酒です。秋葉原の『肉の万世』の立ち飲み部門である『万世橋酒場』でもこちらの丸眞正宗が置いてありましたが、好きなお酒を見掛けると何となく評価を高くしたくなるものです。
 そんなお酒が近所の河内屋に置いてあることに気がついたのは先日のこと、すかさずゲットしました。本醸造で一升瓶¥1,630ほどでしたか。
 すっきりしつつも端麗系の様な水っぽさはなく、適度なコクもあるのが魅力。白身の刺身だけでなく、濃い目の煮物にも合わせられる懐の深さが感じられると言ったら褒め過ぎでしょうか?

 また別の日、丸眞正宗がなくなったので買いに出掛けると、また見慣れないお酒を見つけました。というかこちらの河内屋さん、定番のお酒の他に、イレギュラーで面白いお酒が入っていることがあり、それを期待して次に行くともうすっかり置いていなかったりするというスリルも味わえるのです。鬼のイラストも鮮やかな『神開』という滋賀の酒蔵の『大津絵 鬼』というお酒です。滋賀のお酒と言うと『琵琶の長寿』というお酒が大変に飲みやすく印象深いのですが、今回で二つ目。関西のお酒だからでしょうか、やや甘口に感じられますがべた付くという事もなく、好ましい印象でした。これはもうしっかりした煮魚にも合わせられるようなお酒で、値段はメーカーのHPでは¥1,888、河内屋さんでもさほど変わらず。

 どこかの居酒屋チェーンのような名前の『花の舞』という静岡・浜松市浜北区のお酒。名前が面白いし、値段も一升瓶¥1,680で純米なので買ってみることにしました。静岡のお酒というのはワタクシも過去に何度も購入したことがありますが、開運(掛川)、磯自慢(焼津)、白隠正宗(沼津)、初亀(藤枝)、臥龍梅(静岡市清水区)とあります。
 家に帰って冷蔵庫に冷やしながら思い起こすと、昨年末に焼津・藤枝に遊びに行った時の焼津の居酒屋さんで磯自慢と共に飲んでいたのが此花の舞だったことが思い出されました。その時はまず磯自慢ありき、という感覚で飲んでいたのでそれほど深く考えていませんでしたが、実は結構これもイケるなぁと心の底で思っていたものです。

 こちらのお酒はまだ買ったばかりで、それほど飲んでいないのでまだ公正な評価は下せませんが、割とスッキリした印象を持ちました。吟醸と名乗るには精米歩合が65%と甘い*1のですけれども、県内産『山田錦100%使用』というのは好ましいですね。やはり県内のものを大切にする姿勢は大切にしたいですね。宮城県も確か酒造好的米ではなく県産米のササニシキを推奨しているなどという話を何かで読んだことがあります。
 一升瓶で4千円・5千円などと高くて美味しいお酒はいくらでもあるのでしょうが、このような非常に廉価な日本酒でも較べて見ると意外に面白いものです。

*1:吟醸酒精米歩合が60%以下