そうめんとひやむぎ

 暑い日が続くと、休みの日の昼間なんかは冷たい麺類がついつい多くなってしまいます。以前は乾麺のうどんにハマっていた頃もありましたが、昨年は手打ちも。今年の夏は茹でる時間も短い素麺(そうめん)が多くなりました。
 小さい頃、実家ではこうした冷たい麺というと蕎麦(乾麺)かそうめんが記憶に残っていますが、冷麦というのは数えるほどしか食べた記憶がありません。そのように小さい頃から慣れ親しんでいる素麺ですが、各家庭でも『どちらかと言うと』、という偏りがあるのではないでしょうか?母方の祖父は三重の生まれ、祖母は富山の生まれということで、ワタクシの生まれは北海道でも関西の影響が強いようです。もちろん父方の影響もあるのでしょうが、こと食に関しては母親の好みが反映されているように思います。
 いつものことながらWikipediaによると

ひやむぎはそうめんと違い、西日本一帯では知名度が低いとも言われている。東京近郊の蕎麦屋ではひやむぎは蕎麦と茹で上げる時間がほぼ同じであることが多いため、夏場にはそうめんではなく、ひやむぎを供している場合が多い

という一文を見つけ、なるほどそんなこともあるのかもしれないと思いました。蕎麦屋に入って、蕎麦以外のメニューをそれほど意識して見たことはないのですが、それでも関東に居を移して以来、夏の時期になると『ひやむぎ』の字を見掛ける様な気がします。
 先日のこと。スーパーの特売品で青いパッケージのそうめんが500gで¥198とかなりお安かったので試しに購入したのです。二日ほど、二束ずつ食べて翌週の昼前に買い物に出掛けたのですけれども、ひと束では心許ないのでもう少し買い増しをしようと『肉のハナマサ』でこれまた1kg入り¥350という格安品を発見。ロクに文字も認識しないまま青い包装の麺を購入したらこれが、冷麦でした。うどんなら同じ白い麺でも太さが違うので気がつくのですが、そうめんと冷麦の太さ程度ならチョッと不注意だと気がつかないものなのですね。 一緒に茹でる訳に行かないので冷麦だけを優先的に食べることにしました。しかし、茹で上がった麺を口に入れていつものように啜るものの、これがまた何とも違和感を覚えるのです。そこで食べ終えてからウェブで調べると色々なことが判りました。
 そうめんは以前TV番組でも取り上げその製法を知りましたが、

小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練り、綿実油などの食用油、もしくは小麦粉やでん粉を塗ってから、よりをかけながら引き延ばして乾燥、熟成させる製法

ということで、その断面は本来的には●の形状になるものだそうです。 
対してひやむぎも手延べでは同様の作り方をするようですが、機械での製造では

小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地を帯状に細く切って乾燥させる製法

で、うどんと同様に平たく薄く延ばした麺生地を細く切って作るので、その断面は■の形状になるという説もあり、それが先述した口当たりの違いに繋がるとも考えられます。また現在では機械化が当然のように進んでいるので、それほど製造上の区別がつかなくなり、●の形状の冷麦や四角い断面の素麺も現れているようです。
 また素麺が西日本で広く普及した一因としては

日本国内では近世より西日本を中心に素麺生産が盛んであった。これは原料となる小麦、水(軟水)、食塩(海水塩)の産地が近かったことが一つの理由である。

 とのこともあるようです。
 また、日本農林規格JAS規格)によると

『乾めん類品質表示基準』にて、機械麺の場合、素麺の麺の太さは直径1.3mm未満とされている。ちなみに直径1.3mm以上1.7mm未満は冷や麦、1.7mm以上はうどんと分類される。手延麺の場合、素麺もひやむぎも同基準であり、直径が1.7mm未満で丸棒状に成形したものが「手延べ素麺」もしくは「手延べひやむぎ」に分類される。ちなみに直径が1.7mm以上で丸棒状に成形したものは「手延べうどん」に分類される。

 と本来の製法を丸っきり無視して、太さだけで分類するというこの区分分けは何とも乱暴という気がするのですが。
(以上出典は全てWikipediaより)