30dBアッテネーター完成

自作アッテネーター30dB減衰型

 夏の終わり頃から足繁く通っている秋葉原途中報告もしていましたが、自作でアッテネーターというものを作っていました。
 アッテネーターとはWikipediaによると

減衰器(げんすいき、Attenuator、)は、信号を適切な信号レベルに減衰させる電子部品、または装置である。減衰量の単位はデシベル(dB)を用いることが多い。

ということで、ザックリ言うと、音のボリュームを下げる・調整するものですね。調整するとは言っても入ってきた信号以上には上がらないのですけれども。

 オーディオの世界ではアッテネーターというとプリアンプの代わりに、パッシブアッテネーターと呼ばれる物もあり、通常のボリューム機能だけを司る機器をつけて聴いている人・マニアもデジタル時代になって一時期増えたと聞いたことがあります。
 しかしながら今回のワタクシが作ったものはそういった可変的な調整の効くものではなく、固定式の30dB減衰型のアッテネーター(平衡型、バランス型とも)。dBというのは対数で求められるということなので(数学嫌いの方には申し訳ないのですが)、それからすると−30dBだと電力の量は1000分の1になるそうです。ちなみに−10dBで10分の1、−20dBで100分の1です。
 これを何に使うかと言いますと、チャンネルデバイダーの出力の後に入れて大き過ぎる出力を下げてやることで、チャンネルデバイダー内部での制限されていたデジタル信号の制限を引き上げてやるということ。家庭でプロ用機材を使っていると実際ライブ会場などでは問題ないレベルのノイズがとても気になってしまい、特にワタクシの場合は高域のホワイトノイズが気になっています。そこでこれを挟み込むことで一旦ノイズのレベルを下げてやろうという目論見なのです。

 これが全貌です。アルミのケースはタカチのMB-15というもので、W75xH55xD325というサイズ。アルミ製の構体と同じくアルミ製の蓋になっていて、マルツパーツ館で¥1,134でした。本当はもう少し長いとオーディオ機器の一般的なサイズ(W450〜19インチ)にマッチしたんですがね。

 こちらは出力側のXLR端子。いわゆるオス側ですね。キャノン端子という呼び方もありますが、あれはITTキャノンという元々はアメリカの企業が開発した規格で、今回使用したのはNEUTRIK(ノイトリック)という会社のNC3MP-Bという物。サウンドハウスにて通販で購入。@260で6ヶ使用。一応金メッキ仕様になっています。今まで散々XLRケーブルを作ってきましたが、オスのこうした機器取付型のレセプタクルは初めて使いました。いつもの通り非常に制作がしやすいものでした。

 反対側はこうしてケーブルがニョキニョキと6本出ています。ケーブルにピッタリの穴を開けてそこに通すというというやり方もありますが、いかにも素人臭いし、第一に使っている内にケーブルの被覆がその穴の角で削られてしまい損傷する可能性もありますから、ここは専用の部品を奮発します。秋葉原では『ネジの西川』でお馴染みの西川電子部品にて@105なり。ケーブルよりもやや大きめの内径なのでやや緩めです。最初は失敗したと後悔したのですが、これが後に今回の製作には有効でした。

 さてそのケーブルはモガミの2534というマイクケーブルを使用しました。CANAREの4S6も候補に上がりましたが、『フラット』という評価が高い2534を採用。トモカ無線で¥190x2m。CANAREの4S6もどちらも使ってXLRケーブルを作ったことがありますが、作りやすさはどちらも変わらない印象です。




 入力側のメスのプラグもやはりNEUTRIKです。実は別の機会にいつかまたXLRケーブルを作ろうと部品だけ4つ買っておいたので、4つはNEUTRIK NC3FX-B(トモカ電気にて@430)、2つはNEUTRIK NC3FXX-B(サウンドハウスにて@340)と『X』がひとつ違いですが、本体の分割方式もかなり違っていて少々驚きました。どちらも金メッキタイプです。ITTキャノンも使いましたが、作りやすさはワタクシにとってはNEUTRIKの方が遥かに上です。



 プラグをハンダ付けする前にも一応念のため、導通チェック。出来上がってケースに取り付けてから、サブシステムで動作確認してから、メインのシステムに装着。3Wayステレオですから6本要る訳ですね。自作アッテネーターを挟みこんで従来チャンデバに取り付けていたケーブルをそこに接続します。変なノイズも出ずにショートもしていないので一安心。
 聴いてみてもやはり−30dBの減衰率は伊達ではなく、今までのボリューム位置だとショボい音が出てきます。グイっとプリアンプのボリュームを上げて、チャンデバの設定も色々いじって、これからまた調整の日々が続きそうです。
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ケース ¥1,134
ケーブル ¥380
ガラスエポキシ基板 ¥120
金属皮膜抵抗 56Ω ¥630(30本中24本使用)
金属皮膜抵抗 8.2Ω ¥126(6本)
ブッシング ¥630(6ヶ)
オスレセプタクル ¥1,560
メスプラグ ¥430x4+¥340x2=¥2,400
送料525+代引き手数料210=¥735
ハンダと微量の配線材を除いて¥7,715で出来上がりました。ちなみに製品としては長いXLRプラグの形状で市販品として販売されています。
トモカ電気¥5,250(税込、1本)やヒノオーデイオにて確か¥3,150(同上)でしたので、6ch分で¥31,500〜18,900とやはり自作の方がお安いですが、製作には結構苦労しました(汗)。