ブラックライト/S・ハンター

 前回記事に残してからしばらく経ちましたので、またまた記録を残しておきます。でも前回の記事を読み返してみると今回の作品は少ないのですけれども。

メギド

メギド

 これらは前回、読み始めたばかりの作品です。C・カッスラーの方は読み返してみると、彼のデビュー作からの2作目。まだまだ荒削りな部分はあるものの、グイグイ力技で話を展開していく力は、今の彼の名を冠した一群の作品にはない痛快感さえも感じることができました。結構残虐な殺戮シーンがあったりで、へぇこんな作品だったかなぁとビックリもしましたが。最後の展開は読んでから思い出すことができました。
 メギドの方は、ロボトミーと言われる脳外科的手術を施した戦闘員を作り出し、それを商品として売り出す商社の暗躍を描くというものですが、うーん、荒唐無稽と片付けるのは簡単。後半失速した感じは否めないけれど、ストーリー自体はもっと上手い作家が描けば結構面白くなるのかなと。
原生林の追撃 (ハヤカワ文庫 NV 347)

原生林の追撃 (ハヤカワ文庫 NV 347)

原生林の追撃/デズモンド・バグリイ
 D/バグリイは名前だけは知っていたものの、恥ずかしながら読んだことはなかったのです。たまたま見掛けた古本で手にとってみて即購入。翻訳されたのも古ければ、訳した方も現在となればやや御年を召した方。言葉遣いに少々違和感を感じますが、なるほど上手い作家だなぁということは判りました。もう何冊か読んでみないと判断できませんが、冒険活劇物、といった作品でした。
ブラックライト〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ブラックライト〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ブラックライト〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ブラックライト〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ブラックライト/S・ハンター
 S・ハンターはその昔、学生時代に『真夜中のデッドリミット』
真夜中のデッド・リミット〈上巻〉 (新潮文庫)

真夜中のデッド・リミット〈上巻〉 (新潮文庫)

真夜中のデッド・リミット〈下巻〉 (新潮文庫)

真夜中のデッド・リミット〈下巻〉 (新潮文庫)

という作品に出会って以来の長い付き合いです。この作品は上下二巻ながら面白さが凝縮されていて、今の人気シリーズのボブ・リー・スワガーのシリーズを描く前の好作品。それ以来しばらく縁がなかったのが書店で見かけた『極大射程』
極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)

極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)

 で偶然再会したものでした。そのボブ・リー・スワガーのシリーズとその父親アール・スワガーを描く作品を時系列にではなく、時空をまたぎながら物語は紡がれていきますが、いつもながらヒーロー然としないボブ・リーの超人的な技量と巧みな展開に魅了されてしまうのでありました。やや後半は御都合主義が見え隠れしますが、それも含めてファンとしては他の作品も、またまた気になるところ。
ショパンの手稿譜 (ヴィレッジブックス)

ショパンの手稿譜 (ヴィレッジブックス)

ショパンの手稿譜/J・ディーヴァー他
 現代ではあまり見掛けなくなったと言われる、"リレー小説"と言われる珍しいスタイルの作品。作家陣は15人、翻訳陣はさらに多い17人が、前稿を引き継いで、ストーリーを展開させつつも自分の味を出していくという手法で、書き出しと最後の結末部分はJ・ディーヴァーが取り仕切っております。途中自由に展開させておいて、最後にはキッチリどんでん返しも織り交ぜ、溜飲を下げる豪腕ぶりは今作品も健在ですが、やはり彼自身での作品のほうがその手腕がキラリと光る気がします。豪腕と強引さのさじ加減が、非常に微妙なラインの上に成り立っているので、そこが気になる人にとってはマイナス面かも。
 他には椎名誠氏の軽いエッセイ本を2冊ほど乱読の日々なのでした。