死のように静かな冬/P・J・パリッシュ

 夏以来久しぶりに読んだ本の記録を、時系列的に。

暗闇の蝶 (新潮文庫)

暗闇の蝶 (新潮文庫)

暗闇の蝶/マーティン・ブース
 前回の記事で記録した、"シブミ"・"サトリ"と同系列の暗殺者もの。大きく違うのは今回の仕事で引退を決めているという主人公が依頼を受けて単品作りの銃火器製作者であるということ。これまでの総決算的に渾身の力を込め、持てる全ての技術を注ぎ込み続ける様、そのことをひた隠しに隠しながら蝶の生態を研究する学究の徒を演じるというダブルライフ、そこに現れる綺麗な花々。これは勤め先の社長から回ってきて、久々に面白かった、とのコメント付きでしたがやや地味な展開。最後にもっとドンデン返しがあるのかと思ったけれど、枯れた男の人生譚という趣。好きな人は好きだろうなぁと。
死のように静かな冬 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死のように静かな冬 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死のように静かな冬/P・J・パリッシュ
 これは仕事帰りに飲み屋に行く時にブックオフで¥105で買ってから行ったもの。他所から転属してきた有色系の新米警官がチョッと風変わりな警察署長の下で四苦八苦しながら、仕事に馴染みながらも次第にその過去の事件にまつわる隠蔽された事実を知り板挟みになりながらも窮地を…という感じで、これもタイトル通り全体のトーンは寒々しく暗いのですが、意外に楽しめました。警察モノでは久々ににしっくり来る感じでした。
運命の地軸反転を阻止せよ〈上〉 (新潮文庫)

運命の地軸反転を阻止せよ〈上〉 (新潮文庫)

運命の地軸反転を阻止せよ〈下〉 (新潮文庫)

運命の地軸反転を阻止せよ〈下〉 (新潮文庫)

運命の地軸反転を阻止せよ/クライブ・カッスラー
 カッスラーのもう一体何作目になるのか分からない"名前を冠した"作品。カート・オースチンとジョー・ザバーラの二人が活躍するこのシリーズは、昔のダーク・ピットとアル・ジョルディーノの若き頃を彷彿とさせる活躍そしてモテモテぶり。お酒を飲みながら読む時には、これぐらい軽く読めるものもある意味重宝します。重いスリラーばかりだと途中で酔ってきて大事な展開の場面をすっかり忘れてしまったりするもので、また翌日読み返したりで進まないのです(-_-;)。ムーンライト・マイル/デニス・レヘイン
 何かよく分からないけれど、続き物らしいです。軽いと言うか始まりはありがちな私立探偵ものかと思ったら、全体的にはハードボイルド系の展開でした。しかし、ハードボイルドって?と思うのですが、本当に面白いなぁと思ったのは、マルタの鷹、深夜プラス1(これはハードボイルドの範疇に入るかどうか判りませんが個人的に入りそうだと)ぐらいなもので、謎と呼べるストーリー展開が生硬で独りよがりの謎解きとでもいう感じがして。これも最後の方は暴力的な描写が多く含まれますが、スカっとした読後感というものはありません。

ベルリン・コンスピラシー (ハヤカワ文庫NV)

ベルリン・コンスピラシー (ハヤカワ文庫NV)

ベルリン・コンスピラシー/マイケル・バー=ゾウハー
 冷戦終結後の米ソの対立がなくなった(とされる)現在では、イスラム過激派・アルカイダというものが敵対する集団として、こうしたサスペンスの主流になっているのですが、やはり昔から慣れ親しんだソ連、ドイツ辺りの話のほうがしっくり来るというもの。とは言いつつ、読み進める内にこれはアメリカとドイツの国家的陰謀に巻き込まれたユダヤ人の悲劇の物語であることに気が付きました。全体的にトーンは暗め、結構なボリュームがありましたがそれほど退屈せずに読み進めることが出来ました。かと言ってお勧めかというと・・・(;´∀`)。プロレス 影の仕掛け人 レスラーの生かし方と殺し方 ミスター高橋
 小さい頃タイガーマスクが出てきた時にはあまりの華麗な技にココロ奪われたものでした。それまで海パンと言うかジャージ姿のおっさん達が繰り広げる全日本プロレスのリングではあまりコーフンしなかったけれども、A・猪木率いる新日本プロレスの黄金期を支えたのはまだジュニアヘヴィ級の初代タイガーマスクだと今でも思っております。その頃のレフェリーとして当時を知る人達にはすっかり馴染み深いミスター高橋の裏事情を書き綴った一冊。決して暴露本であるとか揶揄しているのではなく、プロレスが大好きだからこその過去の良かった思い出、現在の苦境と今後の発展を願ってやまない男の熱い胸の内の吐露というところでしょう。
エヴァーグレイズに消える (ハヤカワ・ミステリ文庫)

エヴァーグレイズに消える (ハヤカワ・ミステリ文庫)

エヴァーグレイズに消える/T・J・マグレガー
 国家機密の極秘実験で透明人間になってしまった被験者が身の危険を感じその実験施設から抜け出し、様々な困難を潜りぬけ生きる術を覚えた。その数年後またしても実験に偶然遭遇してしまった一家の身に振りかかる不幸。ドタバタ的ではありますが最後はやや腑に落ちないすぼまり方で、もう少ししっくりした落ち着き方が良かったかな。そこのところだけ残念で大幅減点。
 ということで今回良かったのはタイトルの"死のように静かな冬"でした。