旅立ちの日・大阪へ

 昨日述べた通り、4月末日で仕事を辞めたワタクシは、その翌日からしばしの休養日を設けました。お店最後ということもあって集まってくれたお客様、常連さんが数多く、この日に初めて顔を出してくれたりして、結構遅くまでの営業となったのです。翌日からグータラした休養日を経て、世間一般はGWへと突入。こんな一番の混雑時に旅を始めるなど全く意味が無いのですからしばらく家でユックリとしていました。宇都宮から友人が来たりして普段行けないようなお店周りをしたりして。
 5月6日を過ぎてすぐに動こうかと思っていたのですが、何となく腰が重くこのままでは一向に進まないと思いつつ、5/9にようやく重い腰を上げて旅を開始します。まずは大阪に向けてスタートなのですが、長距離バス、飛行機、新幹線の3パターンが有りますね。スピードでは新幹線・飛行機はほぼ互角。ユックリと起きたワタクシは、色々と調べて長距離バスなら前日夜に行くべきだったと後悔し、飛行機はあまり安くないし、と結局新幹線を選択。大阪向けは本当にいっぱい走っているので便利ですね。グダグダと旅支度をしてから錦糸町を出発したのはお昼近く。全く関係ないのですが散髪してから上野で格安チケットやお土産品を買ったりと少し立ち寄り、東京駅へ。この日京浜東北線の東京駅ホームで人身事故があったりでこれは悪い暗示かと思いつつも山手線でアクセス。13時台ののぞみをゲット、大阪まで気ままにワーグナーのオペラを聴いたりしてアッと言う間に到着。久々の電車旅だと車窓の外を見るだけで楽しく過ごせます(その割に文庫本を4冊持ってきていたんですけれどもね(;´∀`))
 さて日が延びて来た関東に比べても日の入りが遅い関西、大阪。まだまだ日差しの明るい17時ころの大阪。新幹線から乗り継いで環状線であてもなくどこへ行こうかと画策していますと、京橋という街にピンときました。早速電車を降りてみることにします。本当に下調べをしないで来ての行き当たりばったりの旅なので何がこの街にあるのかは皆目見当がつきません。
 それでも一つ前の駅に停車している時に、すでに立ち飲み屋さんを見つけてあったのでそういや手頃でいいなぁと。少し駅を降りて歩き回ってみると何となく見つけた岡室酒店という立ち飲み屋さん。
 酒屋さん直営の角打ちのようです。お昼を食べ逃しているワタクシは瓶ビール大瓶とイカの天ぷらをつまみにしばし休憩。テンポの良い大阪弁の会話を聞いているだけで、良いツマミになるんですけれども。それにしてもお腹は空いていても大瓶390円は一人で飲むのには若干持て余し気味。もう一杯チューハイ(レモン)を頂くと今後のことも考えて自重。それよりも壁に貼られていた『岡室酒店直売所とは関係がございません』との但し書きがやけに気になり携帯でチェックしてみるとそれほど遠くもない場所にあるようなので行ってみたい気持ちが募ります。トイレで小用を済ませてお店を出ます。

 地図で当たりをつけたとおりに、結果的にはすぐに見つけることは出来たのですが、それまでの道中あまりにも魅惑的なお店がズラリと建ち居並ぶ景観に、あちらへこちらへとついつい寄り道を繰り返してしまいます。果たして見つけたお店はやはり超繁盛店で気後れした旅行者が立ち入る隙もなさそうなのでパス。というか他にいくらでも入りたいと思えるお店がありすぎて決められなかったんですよね。

 入っているお店では賑やかさが外まで溢れ、入っていないお店ではどよ〜んとした雰囲気が立ち込めていて、と二極化している京橋の街。その中でも活気に満ちていたこちらのお店に入ることにしました。京屋本店さんです、どうですこの佇まい。年季の入った看板に幅の広い暖簾が間口いっぱいに広がるというザ・大阪スタイル。コの字型のカウンターに多くのお客がへばりついている他にもテーブル席が結構有ります。長距離移動の後、少し歩き疲れたワタクシには立ち飲みのお店よりもむしろ好ましいのです。

 ホッピーは関東、それも東京、神奈川、千葉での消費がその全体の8割を占めているそうですが、こちらの店にも有りましたので早速注文。甲類焼酎を使う関東スタイルではないのか、麦焼酎の香りのするある意味、良心的なホッピー。注文すると厨房の中ではホッピー割りと入っていたのをワタクシは聞き逃さなかったのでした。
 『豆腐の唐揚げ』という見慣れないメニューを発見したので早速頼みました。確か¥180。唐揚げというか素揚げした豆腐でありまして、厚揚げほど外壁がしっかりとしている訳ではないので箸で簡単に切り分けることが出来ます。ポン酢で、と供されますが、醤油でも十分イケそう。あしらいの青ネギと、紅葉おろしのコントラストが堪りませんね。

 おでんにねぎまというのが珍しいので頼んでみました。揚げ物、刺し身、焼き物まで揃っているこちらのお店でしたので何が出てくるのか楽しみでしたが、果たして結果はねぎとマグロの交互に串に刺した葱鮪でした。まぁこれもアリかなぁと、納得。他にも魅力的なネタがあるけれどそろそろお腹もキツくなってきましたよ。


 天ぷら盛り合わせで打ち止め。エビ、串に刺さった玉ねぎ、ホクホクのじゃがいも、青いのはししとうだったか。いやはや何ともいいお店を見つけた満足感で一人悦に入るワタクシは、お店の帳場のマスターにひと声かけてお会計。すっかり満足してお店を後にしたのでした。
 お腹は一杯、さりとて帰りたくない(京橋を後にしたくない)ワタクシはブラブラと街を散策。いやぁ気に入っちゃいましたね、この京橋という街。呼び込みの声も耳に心地よく次なるお店を探索しますが、ワタクシの酔っ払いレーダーには引っかからず。

 結局一時間ほどブラブラして駅の改札にほど近い、京橋浪花という立ち食いのうどん屋さんで懐かしのバッテラ¥190也をつまみます。ワタクシの母方のお爺さんが大阪でうどん屋さんをやっていた関係で、小さい頃にお爺さんの元を訪れる時にバッテラを買って行ったのが実に印象的で、このお値段で食べられるのが何ともはや羨ましいのです。思いの外ゆる目の硬さの詰め方のご飯ですがこれぐらいがむしろ今の腹具合にちょうどいいので満足して今夜の本当の目的地に向かいます。
 本来の目的地とは元々の北極会の設立メンバーであり、現在はこの地にお店を構えているmintさんがいる心斎橋近くのお店。環状線でいうと、ザックリと玉造から真っ直ぐ一本で行けそうだと判断し京橋から数駅の玉造で下車。長堀通を一路西進。しかし知らないというのは怖いもので、もうそろそろ目的地かと思われた地点でまだ半分ほどの道のり。かと言ってそこから電車にのるのもバカらしく歩くこと小一時間。驚く顔が見たくてやってきたけれど少々疲れました、正直。

 結局日を跨いでツラツラと話をして近くのインターネットカフェで朝まで過ごすことにしますが、〆に『かすうどん』なるものを食べないではいられません。
 というのも前回その話でお店の常連客と話題に登りつつもその当時知識がなかったワタクシはさりとて食べたい気にもなりませんでしたが、その後色々と調べるうちに興味深い話にぶち当たり、是非とも本場の大阪で食してみたいと常々思っていたからなのです。そのお店から割りと遠くはない場所に名店と呼ばれるかすうどん山本なるお店を教えてもらい、早速参りました。深夜2:00すぎにもかかわらず若者が10周年を祝い飲み食いしています。こちらはお酒はもういいのでかすうどんを大人しく頂きます。かすうどん一つをとっても色々なバリエーションがあるようでしたが、シンプルなかすうどんを注文したつもりがかす多めのうどん¥800になっていたようでした。牛肉が苦手なワタクシにはここまで沢山ない方が食べやすかったようですけれどこれはこれで実に美味しいうどんとお出汁を堪能できました。

 明けて5/10は土曜日。もう一日大阪で過ごすプランも考えたのですが次なる目的地には相手先の都合もありますし、この先帰りがけに大阪に立ち寄ることもできると判断したワタクシは先方にメールを入れて連絡を取りつつ心は移動することに傾いていました。宿泊先から歩いてブラブラしていると心斎橋付近で見つけたオモシロポスター。こういうのは関東ではまずあり得ないですよね、でもこういうのは嫌いじゃぁありません。という訳でパチリ。
 前日に教えてもらったおもしろポイントを訪ねつつ、OCATなるバスターミナルから高速バスで移動する時間に気を配りながら尚も散策するワタクシなのでした。