そして熊本で醤油・味噌蔵見学

山内本店さんにて

 小倉から熊本に辿り着いた初日の夜。歓待して下さったUさんご夫妻から、翌日に(Uさんと)キャンプに行きましょうとのご提案を受けて、これは文句なしにテンションが上がっていたのですけれども。お店を出る前に少し変わったそうめんが自宅にあるからと、Uさん宅に戻ると早速鍋にお湯を沸かして実食。

 南関(なんかん)そうめんというそうです。普通のそうめんでは上下切り揃えられた、他の乾麺と変わらぬ棒状・束状のものを連想しますが、こちらは昔話に出てくるかのような白髪のおばあさんの長い髪を思わせるとても長い麺の束。上下切っていないので一本の麺が途轍もなく長くなっているようです。これを頂きながらUさん宅のお醤油を見させてもらったところ、出てくる出てくるはザッと4種類。正確に言うと1種類は通常の醤油として使うもので、あとの3種類は麺つゆであるとか、『あらだき』と呼ばれる煮物に使われる醤油のだしだったりするんですけれども。話をしているとヤマウチというその醤油メーカーが揃っているんですが、実は奥様がそこにお勤めだとのこと。心はすっかりキャンプに奪われていたはずなんですが、話は意外な展開を見せ、キャンプに行く前に醤油工場の見学に行こうかと、そして奥様に工場の偉い人に見学の許可を取ってみてもらえることとなったのです。この夜はキャンプに行くことよりも、工場見学に行ける(かも)ということで寝付けないのでは?とまで思うほどのテンションの上がり具合でした。実際には小倉からの長距離バス移動で疲れていたのかすぐに眠っちゃいましたが(;´Д`)。
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 さて明けて土曜日朝食後、奥様は普通にご出勤。その後見学の許可が取れたらメールを下さるとのことでしたので、待ちながらキャンプの準備。Goサインが出て11時頃に来て下さいとのこと、良かったぁ(・∀・)♪
 向かった先はもちろん山内本店さん。残念ながらサクっと自家用車で敷地内に乗り付けてしまったので、外からの写真はナシ。

 事務所で挨拶をし、通された会議室にて。商談をされていたのか、すぐに別のお客さんは帰られましたが、まずこちらの商品がお出迎え。いやぁいろんな商品を作られているんですね。もちろん容器別というのもあるんでしょうが、そのラインナップの豊富なこと。
 ワタクシとしてはUさんと共に奥様に帯同してもらいチラッと工場の様子を拝見するという予想でしたが、キチンと説明して下さる研究員の方が同行して頂けたのは驚きと共に感謝でした。


 一応小学生レベルでも良いと申し上げましたが、一般レベルでのしょうゆ醸造工程をパネルでひと通り説明されました。ここら辺のことは自分で醤油を作ることやその醸造工程を説明されたサイトはいくらでもあるので存じておりますけれど、小麦を炒る工程の意味がわからなかったんで率直に質問。分解しやすくするためだったんですね、なるほど。
 工場の敷地内を巡って工程を追っていきます。


 確か上の写真が小麦を炒る機械で下が大豆を蒸し上げる(煮上げる)釜。釜の方が清掃中でした。

 麹を植え付ける麹室。人が入って中を清掃することができるぐらいなので、かなり大きなものです。中の広さは8〜10畳ほどの円形。撹拌用のプロペラなどに各社のノウハウがありそうなので写真撮影は自粛。


 麹を付けて塩水を加水した『もろみ』と呼ばれる状態で一旦こちらのタンクに運ばれます。ワタクシはこのタンクの開口部も開けて見せてもらいました。このタンク、高さは3階ぐらいです。そういやぁ、三回分の仕込みが出来るぐらいの量が入るとか言っていた気がします。

 こちらで外のタンクから運ばれてきて発酵・熟成されます。入った瞬間ムワッと暑苦しいぐらいです。意外と建物・天井が掃除されていなくて不衛生とか言わないように。屋根が傷んで新しいものに吹き替えた時に上手く発酵せずにそれまでの醤油とは違ったものが出来てしまったそうです。その室に居着く菌が居なくてはならないので敢えて拭き取ったりはしないんだそうです。

 空のタンク。底にドレンバルブがあってそこから抜くとかではなく、ポンプで吸い上げるそうです。洗っていないのは、これも意図的なもので使う直前に人が降りて入って綺麗に洗うそうです。高さは3メートルほどあるそうですからハシゴを掛けて登り降りするそうです。タンクによって熟成度合いが違えてあるので年中出荷できますね。

 熟成期間を経てポンプで汲み上げられたもろみはこちらで人手で圧搾されます。2人の女性従業員さんが一枚一枚丁寧に広げた布(おそらく現在は合繊)の上に定量のもろみを延ばしてまた一枚とワタクシにとっては気の遠くなるような作業。ここで圧を掛けなくても自然と自重で染み出してきたお醤油を舐めてみましたが、まぁーフレッシュで美味いこと!先ほどの熟成したもろみも舐めましたが塩っぱいのが先に立ってしまいました。こちらは甘みが感じられます。

 もろみの搾りかす。日本酒で言うと酒粕ですね。好事家が食べるのかとも思いましたが、家畜の餌として人気高い一品だそうです。栄養価が高いんだそうな。


 火入れ工程。先ほど絞った醤油は『生揚げ(きあげ)』といい加熱処理前のもの。85度の蒸気で瞬間的に加熱殺菌されるようです。処理能力が一時間で3,600Lなので一秒間に1Lということになりますね。この後に砂糖などの各種調味料や、出汁と合わせて製品になっていきます。なので吸収の醤油が甘いと言いながらも生揚げの状態では全く人工的な甘みはありませんです。

 小学生の工場見学だと一番盛り上がるらしいボトリング。残念ながらお昼直前になってしまい昼休み前なのでボトルが殆ど流れていなくてすぐに作業終了。味噌の詰める作業も程なく終了して、こちらの見学も終わりでした。