御徒町で独り酒

メニュー@金魚

 楽笑さんと小岩で楽しい夜を過ごした翌日。前日に果たせなかった、秋葉原にか故障したデジカメを持って行くことを実行しに秋葉原に行って参りました。ソ○ーのサービス窓口だって夕方には閉まってしまうので、就業後やや焦りながら岩本町の駅から歩いて蔵前橋通りを目指します。歩くと結構あるのですよね、この距離。少々汗ばみながらも電気が点いていることを確認して、一安心。デジカメを渡して控えを貰い放免されます。そこから流れるには、今通り過ぎてきた秋葉原、先に進めば湯島。上野、御徒町といくらでも飲む場所には事欠かない土地。テレテレとJRの線路沿いを北上し、御徒町の吉池、松坂屋辺りに到着。加賀屋さんもあるのですが、地下にあるし一人客よりも人数が多いほうが向いているお店なので、他をあたることにしました。ガード下には、立ち飲みや居酒屋の名店がズラリと軒を並べていますが、そういえば、と『佐原屋』さんに入ったことがなかったのを思い出し、良い機会だと初訪問することに決めました。1月のにこけん(日本煮込み研究会)の新年会で芝・大門から流れてきて元坊さんと初顔合わせをしたのが吉池直営の『味の笛』さんですが正に隣のお店が『佐原屋』さんです。少々建付けの悪い扉をガラリと引くと、そこには長い歴史でしか醸し出せない独特の静謐な雰囲気があります。これは名店だなぁと、すぐにピンと来ます。カウンターの片隅に腰を下ろすと、まずはホッピー。慣れないお店ではメニューを見て当たりをつけますが、コレがあると迷わず安心のホッピーですね。
 合わせるつまみは『だし豆腐』。冷奴もあるのですが、少し涼しくなったこの日はダシに浸かった温かい豆腐も美味そうだし、上におぼろ昆布でも載っていたら最高だなと、勝手に想像していたら、なんと運ばれて来たのは山形の郷土料理であるだし(きゅうり、ナス、茗荷などを細かく刻み味付けしたもの。オクラが入ると粘りが出て美味い。)を冷奴に掛けたもの。濃い目のだしと豆腐を崩しながら食べると良いつまみになります。
 どのお客さんも常連らしく馴染みの店員と気軽に軽口をたたいて良い雰囲気です。中をお替りして二杯目を飲みながら煮込みを待ちます。モツとコンニャクだけのシンプルな煮込み。あっさりとして、食べやすいモツは柔らかく煮込まれています。味付けは濃くもなくどちらかというと薄味か。混んで来て椅子を移るより先に、お会計してもらいました。 足を置く台としてしつらえているレンガが磨り減ってしまっています。間を埋めているはずのセメントの方が堅いせいなのか、出っ張ってしまっています。それだけ長くお客に愛されてきたことの証明です。良い味を出していますね、コレだけでも唸ってしまいました。 
 『佐原屋』さんを出ますと、『味の笛』をはさんで、すし屋と続き、『金魚』という本格焼酎と煮込みのお店があります。外観は少しモダンな感じですが、以前来た時に思いの他奥に広いお店で驚かされた記憶があります。入り口のドアには19:00までに入店の方には焼酎一杯サービス(この日は麦焼酎の『いつもの奴』)と書かれています。以前掛けた席に近い小じんまりとした窪みで落ち着きます。写真はアップしませんがピーマンのスライスにシラスを載せたお通しは気が効いています。サービスの焼酎は後回しにして、チューハイを貰い、見覚えのある店員さんに煮込みを注文します。こちらの煮込みは串に刺さっていて食べやすくなっていて、ドテ焼きに近い感覚。 しかし、ドテ焼きはドロッとした味噌ダレの中で煮込まれていることが多いのに対して、かなりさらりとしていて、味噌と醤油で合わせられた特製のツユのような感じです。さらしネギをあしらわれていて上品です。タン¥150と牛スジ¥250を選びました。味は思ったよりも薄味ですが、甘みはそれほど効いていません。かと言ってしょっぱい訳ではないのです。写真を撮っていると、女将さんらしき人物が、話し掛けてきて下さいました。なので『にこけん』の名刺をお渡しすると関心したように感嘆の声を上げています。先程の店員さんもワタクシが以前来たことを覚えていて下さって、盛り上がってしまいました。
 話しているうちに自家製の糠漬けを頼むことにしたのですが、これがまた絶品の糠漬けなのです。ワタクシももうすぐで二年物になる糠床を毎日捏ね回しているのですが、こちらのお店のものは34年もの。しかし、全くスッパみ・臭みがなく良い糠の香りがしています。味もニンジンはやや濃い目ながらしっかり漬かり、胡瓜は程好く色も鮮やか。大根も良い感じです。そのことを尋ねると糠床には糠以外のものは殆んど混ぜず、しかも糠漬けにする場合、糠は煎り糠を使うのが普通ですが、生の(煎っていない)糠を使用していると言うのです。もう、その味たるや…!ということで今まで二年ほど育てて来た糠を捨てて新しい糠床を作り直している今日この頃です。

 煮込みにはコーレーグースをお好みで掛けたりして…
 メニューも一部載せておきます。