田端は意外な穴場?その2

三楽 田端

 一軒目から好印象のお店に当たった勢いで、お店を後にしたワタクシ達は当初の目標であった三楽さんへ向けて足取りも軽く歩きはじめました。本当にどこだろうと探して歩くのと、次が明確に判って歩くのでは、距離感も違うのは不思議なことです、誠に人間の感覚というのは。

 目指すお店は、初恋屋さんのお店がある角を曲がったところにありました。ややブレていますが実に渋い佇まいです。駅を出てから階段を降り、通りに出たところに交番があるのでそこで尋ねれば迷うこともなく辿りつけるでしょう。しかし、それでは意外な発見も何も無いのです(やや言い訳モードか?)。
 さて、こちらの三楽さん。もうこの佇まいに心惹かれない呑ん兵衛は居ないでしょう。というかそういった人とはお友達になりたくありません(笑)。派手なところは一切無い潔い外観。もう少し電飾で飾っても、と思うぐらいです。程良くすりガラスで曇っているので、『立飲』の文字がなければ立ち飲みとはまず判らないでしょう。縄のれんを手で掻き分け早速入ります。

 これまたブレブレなのですが、きれいな写真はみやけんさんの方がよろしいです。読みにくいのでザッと列挙すると、右からモツ焼カシラ・シロ・レバ2(本)180、豚モツ煮込み¥200(!)、刺盛イカ・タコ・イナダ¥250、ホーレン草玉子トジ¥200、ピリ辛ウインナー¥170、ネギマとり¥90、おでん三品¥270、イワシ丸干(小)¥120、サンマ開キ¥200、シラスオロシ¥150、漬物¥150、生野菜¥180といった魅惑のラインナップとその安さ。昭和40年代から50年代ぐらいの価格ではないでしょうか?おかみさんに尋ねるとそれでも創業28年だそうです。


 飲み物はチューハイこれまた¥220(驚)を頼んで、煮込み¥200をつまみに選びました。煮込みの¥200は、浅草橋の西口やきとんの塩煮込み¥150、上野のたきおかの¥150、赤羽のいこいの煮込み¥110と並ぶぐらいの激安価格。内容はと言いますとご覧の通り。豆腐と大根も入り決して安かろう悪かろう、というタイプではなく非常に良心的です。こんなお店が近所にあれば毎日でも通いたいなァ、本気で。味付けは甘み先行型ではないので、さっぱり頂けます。うん、こりゃぁ良いヤァ。チューハイと煮込みでもアンダーワンコインですからね、文句なしです。角打ちよりも遥かに居酒屋寄りの内容で、このお値段。間違いなくリピーター必至ですね、本当に近くなら。


 立ち飲みはサッと切り上げて、それでも非常に満足してすぐ近くの、そして念願の初恋屋さんへ赴きます。なんでもこのお店、屋号の初恋屋さんですけれども照臭くなりそうですが、これだけ堂々と名乗られてしまえば却ってツッコミにくいですね。それにしても、比較的若い女性を交えた団体が多いように感じました。さっきまでの背広(スーツではなく)の黒っぽい色とはまるっきり違うので、な何ともビックリです。カウンターの片隅に席を見付けてもらい着席ですが満席です、人気店なのですね。

 蒼龍さんの記事で読んではいましたが、魚河岸料理との名に恥ないまぐろのブツ切り。ここまででかなり酔っていますので値段までチェックはしていませんが、最後のお会計でも安かったから心配は御無用。やや筋っぽいものの口に頬張る、という感じの大きめの切り方には好感が持てます。*1こちらのお店では刺身を頼むと軍艦の台(ご飯に海苔を巻いた物)が添えられるのが大きな特徴。自分で軍艦巻きが作れるのですね、これは面白い。ただし酢飯ではなく、比較的温かめの普通のご飯ですから、そこの辺りはご了承下さい。


 鮭のハラスとししゃも焼き。脂たっぷりのハラス焼きはかなりのヘヴィー級。今回は二人だったから良かったけれど、一人だともういっぱいいっぱいかも知れないですね。かなりの混み具合ですけれども、奥さんの柔らかい人当たりと、旦那さんに掛ける言葉に愛情が滲み出ていて、なるほどこれが初恋屋さんなんだなぁと感心してこの夜も更けていったのでした。

*1:女性にはやや大きいでしょうか?