池袋 千登利にて

カシラとナンコツ 千登利にて

 昨夕は、ぽぱいさんからのお誘いメールがあり食べログのお仲間との飲み会あがあるとのことでノコノコと池袋まで出掛けてきました。

 池袋は昨年夏以来なのでしばらくぶりです。かつてはよく出掛けていた街なのですけれども、錦糸町からだと必ず乗り換えなければならないので新宿、渋谷と比べると腰が重くなりがちなのです。また今回の大地震計画停電といったことがあってから、普通に歩いて帰って来られる距離以上に飲みに出掛けたのは本当に久しぶりのことなのです。

 19時の集合でしたが、仕事上がりに直行したためにかなり早めに到着しました。駅前の風景をカメラに収めて後ろの小道へと振り向くと、ホルモン焼きのお店が目に留まりました。幸い時間はまだタップリあるので少し付近をぶらつくことにして、何となく見覚えのあるようなお店が視覚に入ってきました。錦糸町が発祥の居酒屋、馬力さんの池袋店です。あらまぁこんなところにあったんですね、とお店の中を覗くと一階はそこそこ満席のように見えましたが、錦糸町でもお馴染みだった店員さんが居て、お互いにビックリ。言葉を交わして後で来られたら来ようと思いつつも、この後のスケジュールはびっしりなんですね。

 同様に早く到着したぽぱいさんからのメールで千登利というもつ焼き(やきとん)屋さんで待ち合せて0次会を自主的に敢行。まだ本来の集合時間には小一時間ほどあるのでタップリ楽しめます。長いカウンター席の中ほどに席を構えることにしました。白木のカウンターでよく磨かれており清潔感があります。店頭の看板でも昭和24年創業と書かれていますが、この内装になり創業以来とはいかないでしょうけれども長い年月が生み出す歴史の重み、そして本物だけが持つ大衆酒場の雰囲気が滲み出ています。変にレトロ風なポスターやホーローの看板をを貼り付けたり、置物を置いたりすればいいというものではないのです。

 ちょうどほぼ焼き台の前に陣取ったので意図せずしてベストポジションでした。ぽぱいさんが撮影の許可を求めると少々強面のご主人はすんなりOKしてくれました。下焼きしてあるもつの串からカシラとナンコツをチョイス。焼き上がるのを待つ間にしばし話をしながらお店の中をキョロキョロしてしまいます。ぽぱいさんが本業の目で、置いている日本酒の瓶を一瞥し、東北のお酒が多いですねと看破したところ、ご主人は意外と気さくで注文したホッピーの焼酎が会津米焼酎であることを教えてくれました。

 お店はご主人の美意識が感じられ棚に並んだ酒瓶のラベルは完璧に揃っています。こんな風景は前に一度訪れた日本堤の『大林』さんに通づるものがあります。また従業員の教育もしっかりしていて、白木のカウンターにこぼれたお酒をさりげなく拭いてくれたり*1、外国人だと思われるアルバイトの店員さんでも、下手なお店に行くと奥では声高に無駄口を叩いては客には無言でヌッと料理を置いていく、なんてざらにありますがそういった教育も行き届いているようでした。
 さて焼きあがったカシラと、ナンコツを頂きながら、追加で注文を入れます。本当のところ、こちらのお店以前ウェブの何かの記事で読んだ時には、あまり期待できそうでもないなぁと感じていたので及び腰になっていたのです。しかし今回ぽぱいさんが誘ってくれたお陰で意外な発見があり、本当にワタクシの好みにドンピシャでした。こう言うことがあるからクチコミだけで判断するのではなく、実際に足を運んでみないと判らないこともあるんだと痛感しました。

 カウンターの向こうで静かに煮えている大鍋の牛肉豆腐。鍋の番をしているオネエさんに指を一本立てて合図をすると、心得たとばかりにお皿に移して運んできてくれました。見た感じ北千住の『大はし』の煮込み豆腐を連想させますが、あそこまで甘めではなくどこかキリっとした味付けでサッパリしています。また豆腐の大きさも特筆モノ。たっぷりのネギで隠れてしまっていますが、肉は少しであくまでも豆腐が主役だと言わんばかりの圧倒的な存在感。

 焼く出番を待ちわびる食材にも貫かれたご主人の美意識、いやはや感服致しました。何でもっと早くこのお店にお邪魔しなかったのかと軽く後悔。とは言いつつもそろそろ本日の本来の目的地にに移動する時間が来たようです。

東京横丁の酒房

東京横丁の酒房

 帰宅して手持ちの酒場本を調べたら、こちらの本に記述がありました長年入ってみたかったお店だということが判明(驚)。 

*1:これはカウンターを守るためという側面もあるのでしょうが