手前味噌、ですが

自家製味噌

 暫らく前のことで恐縮なんですが、豆板醤を作ってと言う記事をアップした事がありましたけれども、『豆板醤 作る 又は自家製』で検索されることが多いようです。実は豆板醤を作った(仕込んだ)日は二つのミニこけんを終えた翌日だったのですけれども、その当日には味噌(米麹味噌)を仕込んだ日でもあったのです。つまり、味噌を仕込んで翌日豆板醤を仕込んだのでした。仕込から結構時間が掛かったのでややおぼろ気な記憶のところもありますが、少々のメモを交えてまとめておきます。
 まず、味噌を作るなんて以前は考えもつきませんでしたが、こうした面白い自家製のあれこれを扱う面白いサイトと出合ったことがそもそものキッカケです。『男の趣肴ホームページ』というHPでその豆板醤も参考にさせてもらった由緒ある(?)ページです。ネットでこうした自家製のものを取り上げている記事では大体辿り着くページではないでしょうか。
 まずは上野の豆屋さんで買出し。例のページでの基本的なレシピ

■出来上がり重量4kg分の基本的な材料

  • 大豆 1kg
  • 乾燥した米麹なら 1kg
  • 生の米麹なら  1.5kg
  • 天然の塩 480g
  • おいしい水

 
を参考にして米麹を選ぶとそれほど選択肢はなく、自動的に『みやここうじ』というパック入りの乾燥麹が1パック800g入りですから、二つ購入。
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2パックに対応して豆を購入するととんでもない量になりそうですから、そこは若干少なくして『おおすず』という品種の大豆を1.6kg購入。塩はいつも使っている粗塩を近所のスーパーで購入。『おいしい水』というのはこの際ですからミネラルウォーターを2L入り、それでも近所のスーパーで¥98のものを選びました。二本もあれば良いかと思って、寸胴に洗った豆を浸して注ぎましたが結構必要だということがわかりました。
 豆自体は寸胴の半分以下の量ですが、乾燥した大豆は水を吸うと、かなりの量になりますからおおよそ倍のタップリの量に水位を決めるには2本買って来たミネラルウォーターの殆んどを使ってしまいました。ということで翌日煮始める前にもう一度ミネラルウォーターと漬け込む樽を買いに行って来ました。
 鍋をガスに掛けると暫らくして煮えてくるとアクが出てきます。また大豆を覆っている薄皮も剥けてきますのでそれらをまめに取り除いてやります。そうしないと後々圧力鍋で煮たときに圧力弁を塞いだりしてしまってエライ目に遭うとのことです。結構面倒ですが蓋が弾け飛んだりしても危ないのでココは慎重に。アクも掬いますがそうすると気をつけていても必然的に水分も同時に捨ててしまうので、水分を足しながら煮ることになります。
 暫らく煮てそろそろ良いかなと言うところで火を止め、次は圧力鍋で煮ます。我が家の圧力鍋はそれほど大きくもないし二回に分けて煮ました。それらを人肌程度まで冷まします(高温だと麹が死んでしまう)。仕込んだのが5月でしたので別の鍋に移して手洗い場に水を張り荒熱をとることにしました。
 冷めた豆をゴリゴリとすり潰しても良いのですが、今回はまず以前にもお伝えしたとおりミンサーというものを購入しました。これで少しずつ潰していくのですが、結構大変です。一回挽いただけでは綺麗に豆が潰れず、かなりの粗挽きになるので、もう一度潰したものを挽き直し、結局これを鍋二杯分ということで計四回潰すことになりました。ちなみに一鍋二回挽きで約40分です。
 買って来た樽の中で麹を手で揉みながら崩し、ポロポロにして塩と混ぜます。思ったよりも麹のホコリというか微細な菌が舞うのでこれは実際やってみるまで判りませんでしたが、後で使用するビニール袋の中でひっそりとやったほうが良かったようです。こうしたノウハウはやって見るまで判りませんからね。
 すり潰した豆とこの麹(塩切り麹というらしい)を混ぜ合わせてビニール袋(35度の焼酎で消毒済み)を二重に敷いた樽の中に少しずつ入れていきます。味噌玉を作ってと言う人も居ますが、好き好きなようです。要は味噌玉を作って投げ込めば余分な空気を逃がすことができるということらしいので、空気を抜くように入れれば良いだけなのです。詰め込み終えると上に塩を振り掛け、出来るだけ空気を抜いてしっかり内側のビニール袋を閉じます。空気に触れると白っぽい好気性の産膜酵母というものが発生しやすくなりこれは品質を落とすとか言われているので、出来るだけ空気を抜いておきます。二枚目のビニール袋はホコリ避けが目的ですから被せるぐらいで。上から重石をして置きます。
 漬け込んでから一月も経つと発酵してくる過程で生まれるガスが溜まってきてビニール袋が膨らんできますのでガス抜きをすると同時に切り返しといい、天地替えをしてやります。ひと月前よりネットリしていることが判ると思います。殺菌のために鷹の爪を置いてまた封をしてしまいます。
 ひと夏越して、土用の丑を越えるとそろそろ熟成も進み(高温のほうが熟成しやすいらしい)、と言いますがどうせならと仕込んだ5月17日の半年後を目処にしていました。11月初旬の日曜に北極会のHさんとこの間蒲田・川崎に行ったKちゃんを呼んでワタクシのうちで飲み会をやったんですが、その時に早めながら開けて見ることにしました。
 重石をとり、恐るおそる開けてみると、窪みにたまり醤油が出来ていました。小鉢に掬って移しておきます。その時の飲み会ではワタクシが全て料理を作っていたので写真は残念ながら無いのですけれども、小さいキュウリに味噌をつけて食べてみました。

 ややしょっぱいもののキチンと味噌が出来ていました。味噌だけだとしょっぱ過ぎて、キュウリとあわせることで何とかというレベルです。掬い切れないたまりと味噌を混ぜたのでたまりの味が勝って、と言う事は無いと思います。

 残念に思い数日後また豆を購入してきて再度仕込みます。今度は塩抜きで大豆と麹のみで混ぜ合わせることにします。また大豆を潰すのに手間が掛かりますので、今回は強力な助っ人、フードプロセッサーも購入。アマゾンでなんと¥3,511でした。ミンサーも殆んど変わらない値段でしたが(涙)。

 煮た豆を入れてスイッチオン、容量が少ないですが僅か1分足らずでこの出来栄え。今回は400g(乾燥重量)程の豆ですから一鍋分もありませんが、この三倍ほどで潰す時間よりも洗って後片付けの時間の方が掛かったぐらい。これは優れものです。
 麹と混ぜ合わせ味の無いものをしょっぱい味噌と混ぜ合わせ再び寝かせます。やはり出来立ての味噌の素と数ヶ月たったものでは色合いが違います。しばし寝かせて。
 年が明けてようやくこれまで使ってきた味噌が無くなりようやく自家製味噌の解禁です。
 樽から密閉容器に少し移しました。肝心のお味の方ですが、まず豆の味が濃いこと。香りが強いです。やや強すぎるかなとも思いますがまずまず。問題のしょっぱさの方が気になりましたけれども、今度は舐めても普通に辛いということは無いです。しかし味噌汁にしてみると今までの(メーカー製)と較べてやや味が薄め。つまり今までの量で作るとやや物足りなさが残ります。風味は強めですが、煮立てないように気をつけて。今度作る時は、ともう既に次の仕込を考えています。