立ちのみ屋 侫武多(ねぶた) 錦糸町

ほたて貝焼き@侫武多(ねぶた) 

 ワタクシの住む錦糸町というと、今でこそオリナスが有名ですけれども、駅前南側の楽天地も有名で、北側のロッテ会館*1というのも非常に名の知られた存在であります。その名の通りロッテが経営するボーリング場を擁する結婚式場やバッティングセンター・ボウリング場・ビアガーデンなどを備える複合商業施設です*2。しかしながらそのロッテ会館も老朽化のため2007年に一時閉鎖して現在は建て直しをしているところです。工事中の周囲の囲いも取れて前よりも数段パワーアップした姿を披露しています。
 とある日の仕事帰り。いつものように南口のバスターミナルで降りたワタクシは北口の方に向かって歩いておりました。馴染みの馬力北口店にでも行こうかなと思いつつ四ツ目通りを歩いていると、そのロッテ会館の北側の小道に見慣れない赤提灯が見えたのでした。渋谷や新宿に較べてそれほど大きな変革の少ない下町の錦糸町ですけれども、地元巡りをしていると思いがけず少しずつ変化していることに気が付きます。早速道路を渡って確認しに行きます。最近増えて来ている海鮮セルフ炭火焼の居酒屋かと思ったら、ワタクシの大好きな立ち飲み屋さんのようです。これは入ってみなければなりません(謎)。

 『立ちのみ屋 侫武多』と書かれ、『NE』の文字が『侫』の上に付けられているので、『ねぶた』と読めるようです。それ以前にイラストというか写真からねぶたと推測できるのですけれども。思ったよりも中のお客さんは入っているようなので、入るのを躊躇したのですけれども中の店員さんとも視線が合ってしまったようなので(自意識過剰・笑)、意を決してドアを開けました(←大袈裟)。
 まだ塗料の臭いがそこはかとなく漂う店内はまだどこもピカピカで、カウンター席に空いている箇所を見付けて陣取ります。テーブル席ににもお客さんも居ますけれど、とりあえず椅子が設置されていて立っているお客は誰も居ませんので着席することにしました。

いつものように、メニューにホッピーの文字を見つけるとセットで頼むことにします。こちらのお店は19時前にに入ればドリンク(生ビール、サワー類、日本酒の一部)の一杯サービスがあるのですけれど、ホッピーは含まれていないようです。特に富久娘一杯¥50はその筋の方にとっては魅力的なものでしょう。 
 侫武多(ねぶた)というだけあって、青森の特産物・食材がメニューにふんだんに織り込まれています。この津軽漬もイカの切り身に大根とメカブという組み合わせと思われますけれども、絶妙の酒の肴なのですなぁ。メカブのせいで少々糸を引き、見た目ほど塩辛くはないのです。


 引き続き、帆立の刺身¥300!。我が生まれ故郷の北海道も帆立で有名ですけれども、青森も負けていません。この日は小振りながらシコシコと身が締まり、むしろ味の濃さと相俟って好印象でした。北海道の食材を売りにしたお店は多いのですけれど、錦糸町では青森の食材というのは珍しいのでこれは逆にかなりニッチ戦略的にアリかと思います。聞けば蒲田にもう一店舗先行して系列店がオープンしたそうですけれど、こちらも2月の20日にオープンの運びだとかで。なんでも社長さんが青森の五所川原のご出身だそうです。





 そんな青森の食材が揃っている中でもニシンのきりこみ、これは似たようなものを見たことがありません。北海道ではニシン漬けという漬物があり、身欠きにしんにキャベツ、人参、大根、他野菜と糀で漬け込む冬場の漬物がありますけれども、糀を使っているのは分かりますが全く趣の違うニシンが主体の発酵食品になっています。これもネットリしていて塩辛さも抑えられお酒が進む一品です。

 そんな青森のオリジナルがズラリと並んだお品書き。普段見慣れないものばかりですけれど、2・300円台なのでそれほど考え込まずに気軽に頼むことが出来ます。これなら、と即座に気にいりました、ワタクシ。
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 そして少しして別の日。夕方まで家で燻っていたワタクシは傘を差して錦糸町まで出掛けたのでした。もちろん行き先は、この間訪れたお店です。
 比較的日曜日はどこのお店も錦糸町はダメです。昼間は競馬開催で南口を中心に混雑しますけれど夕方以降は落ち着いてしまいます。
 この日はこちらのお店もそう、でもそれなりに入っているのは意外*3。先日訪れて仲の良くなった店員さんは居なかったものの、カウンターの店員さんは厨房からワタクシを見掛けていたそうで、驚くやら覚えてもらって嬉しいやら。しばらくホッピーのジョッキを傾けながら話していると、ふと隣りにやって来た男性客を見るとビックリ。以前よくお世話になって仲良くなった立ち飲み屋の某Dというお店の初代店長さん(Tさん)です。少々痩せていましたが、馴染みのある顔であれぇ、何でここに居るの!?って思わず言ってしまいました。
 紆余曲折あり今は他でやはり料理人をやっているとのことでしたが、お店を辞めると聞いて二年ぶり、久々の再会に驚くやら。しかも、その後釜の二代目店長になった方も実はこちらの侫武多(ねぶた)さんで厨房に入っていて、その縁で来ているとのことで確かに厨房に懐かしい顔を拝見しました。やぁこんなことってあるのですね。

 その初代店長さんに一杯ご馳走になり、次いで亀戸に飲みにに行こうと誘われるがままにタクシーに乗り込み、寿司屋さんに行きました。日曜日だったのでお休みのところも多く何軒かフラレた後行き着いたのは、蔵前橋通りに程近い『おたる昇陽庵』さんというお店。ワタクシひとりではとてもこんなお店、入ることが出来ませんが、Tさんの紹介ですから内心ビビリながらも大きな顔して入れます。小じんまりとしていながらも居心地の良いお店です。もう既に一軒目で日本酒を頂いているし、第一この日は自宅でも3杯ほど飲んでいるので結構酔っています。



 煮物のお通し(ぶりのあらと大根の炊き合わせ)をつまみながらも、日本酒を頂いて、こちらは眠気と酔いの狭間に落ち込みそうになりながらも、大丈夫?とTさんの攻撃(口撃?)に耐えながら飲みます。ご主人はまだ若いながらもしっかりした腕前とわかるお通しで、それでもTさんは大先輩のようで立てていらっしゃるのは流石としか言いようがありません。続いて出されたのは話のついでに出た『さんぺい汁¥600』。綺麗に筆書きされたお品書きは必見です。塩味の素材を活かした三平汁は札幌辺りの味噌仕立てとは全く異なり、あっさりの味付けで酔っていながらも実に味わい深い出来でした。


 なんだかんだと食べてきたのですけれど、お寿司屋さんで寿司を頂かないのは失礼というもの。寿司を一人前、とTさんに促されますがそこまで入らないので少しでと無理を言ってハーフサイズというか半人前を握ってもらいました。鯛、帆立、アワビに赤貝とキッチリ良いネタを堪能させてもらいました。すっかりご馳走になり、ありがとうございましたTさん。
 それにしても偶然の出会いでしたが、侫武多(ねぶた)さん自体これからが楽しみなお店です。こうしてレビューを書きながら実は今日も楽しんで来たりして^^v。

*1:後のロッテプラザ。地元民は皆、ロッテ会館と言う

*2:ウィキによる。ワタクシの記憶にはバッティングセンターは無かった

*3:失礼