木場・門前仲町、煮込み巡り

河本・外観

 昨夕、どこで一献?と考えながら、ふと思いついたのは、久々の門前仲町。少し前にバイクで走り回っていた時に、偶然見つけた『河本』というお店を軸に行ってみようと、我ながら名案と悦に入り、新橋行きの都営バスに乗りました。木場駅前でバスを降りると、三目通りから永代通り日本橋方面に歩き、エネオスのある辻を南に下り、小さい川を渡るとそこにありました。煮込みの名店『河本』さんです。名は体を現すではありませんが、本当に川のほとりに昔からあったのでしょうね、風情のある佇まい。
 ガラリと戸を開けると、いきなり昭和時代にタイムトリップしたかのような感覚にとらわれます。大きな熊手が正面に、全国各地の提灯(お土産屋さんでお馴染みの例のアレです)がズラリと並び、床はやや傾いた感じで必然的にカウンターもそれに倣っております。
 煮込みの大鍋のまん前という、『にこけん』の一員として、そして『煮込ミスト(煮込みが好きで研究している人)』としてはたまらない位置に、着席。初めてのお店ですが、ホッピーを注文すると、氷無しのジョッキに、二段階で焼酎が注がれ(☆二つ目まで。計量用のグラスに焼酎を満たし、少しこぼすかのように、それを傾けてグラスに注ぐと、次の瞬間一気に中身を入れます。妙技!)、冷えたホッピーを抜栓し手渡されます。ジョッキにホッピーを注ぐと、丁度ピッタリの量、流石ですね。もちろんつまみは煮込み\300。カウンター上にはシンプルに割り箸と、七味しか置かれていません。それがワタクシの所から手が届かないと見ると、隣の定連さんらしき紳士が、そのどちらも近くに寄せてくれました。良いお店には良いお客さんがいるものです。写真を撮りましたが、お店の照明が控え目なため、JTrimで加増を明るくしました。10cmほどの小皿に盛り付けられ、モツ(シロ)とコンニャクのシンプルな具、葱等の薬味は無し、七味をパラりと掛けて頂きます。モツは柔らかいのですが、脂もしっかり残り、コクがあります。ワタクシが作る時は圧力鍋で煮てしまうので、脂が落ちてしまうのです。味噌味でしょうが、味は比較的薄目といいますか、汁まで飲み干すのに丁度良い感じ。コレはなるほど、名物になりそうな煮込みですね。
 ホッピーも2本目を頂き煮込みを食べ終えると、お次は『やっこ』。大\200・小\100とありますが、小でも充分な量です。醤油は鰹節、しょうがが入れられたタレになっていて、豆腐を箸でちぎって付けても良し、一気に掛けても良しなのでしょう。豆腐は絹ごしです。コチラのお店のメニューは10品ぐらいとシンプルなもの。隣の紳士はピーナツを召し上がっていましたが、器には味噌がペタリ。ホッピーは白・黒両方揃えられ、他にはチュウハイ等もありますがお酒というのはお品書きには見当たりませんでした。
『かけじょうゆ』\400というマグロのヅケ状のものを頂いて3杯目のホッピーを飲み干すと、良い気分です。かけじょうゆ、というのが一番高いメニューではなかったでしょうか、お会計もこれだけ頂いて安心の\1,700でした。やはり名店ですね、近くに住まいがあったら毎日でも行ってしまいそうなお店でした。
 良い気分で、永代通りに戻り、エネオスを左に曲がると、門前仲町のにぎやかな明かりがノンベイの心を鷲づかみにします。門前仲町といえば、魚好きにはたまらない、『魚三酒場』がありますね。昨晩もお店の前には行列が出来ていました。結構大きなお店ですが、開店と同時に満席になると聞いたことがあります。ワタクシも一度ならず入ったことがありますが、確かに激安でハイCPの内容に驚きますが、混雑しすぎて、その後は高橋(たかばし、森下の近くの田河水泡が住んでいたらしいので『のらくろーど』という訳の判らない名前の付いた商店街がある)、新小岩のお店(すべて兄弟が経営しているそう)に行くことの方が多くなりました。魚は元々が魚屋さんだということで、文句は無いレベルなのですが、お酒はもう一つ、ワタクシの好みにマッチしていないのが残念です。それでも総じてココのお店は好評価したいところです。
(魅惑の小路。手前の赤提灯が『だるま』さん、右側の少々小さめの赤提灯が大坂屋さん)さて、魚三も過ぎて、通りを挟んで反対側、深川不動尊の入り口のある信号を渡ります。少し細い路地裏に入ると、そこには門前仲町を代表する、『だるま』さんと『大坂屋』さんがある、魅惑の小路があるのです。どちらも訪れたことが無いので行きたいのですが、西から来たワタクシは位置的に『だるま』さんに入ることにします。上の看板の明かりが消えている(元々付いていないのでしょうか)ので不安でしたが、ポッカリ暗闇に浮かぶ赤提灯が一気にそれを吹き飛ばすかのよう。
 少し寒いぐらいの温度ですが、中はほぼ満席のお客さんで熱気に溢れ、コチラも負けてたまるか、と奥のカウンターに席を決めます。ココでもホッピーを頂くことにします。氷入りのタイプです。
 コチラのお店は刺身から煮物、果てはオムライス(隣のお客さんが頼んでいて、とても美味しそう)なんかもある、オールマイティな居酒屋さんでワタクシはコハダ\600を注文。お店は先代の旦那さんらしき男性、サーファーのような良い男の若旦那、女将さん、調理場に男性がもう一人。本に載っていた美人姉妹はついぞ現れず、ソンナコトハドウデモヨロシイ。酢で〆たコハダが口の中もサッパリさせてくれます。ホッピーが進んでイケマせんね。氷入りのため、外(ホッピー)が残ってしまっているので、中を追加。ついでに、というか本命の煮込みを注文。ここもカウンターの角に大鍋で煮込まれていてとても良い感じです。
  これが煮込み。先ほど(河本さん)より量はあるものの食べやすい味で、これも完食。味噌味で、良く煮込まれています。薬味のネギが効いていてとても良いですね。コンニャクとモツ、若干の他の部位も煮込まれています。ココはキャパ(収容人数)も大きくて一人でしっぽりというより、何人かでワイワイやるのに最適なお店だなぁとぼんやり考えながら、いささか酔いの回った頭で今日はなかなか良い『一人にこけん』になったものだと感じ入っておりました。