神田の夜を右往左往

　ということで、神田の夜はまだ始まったばかり、もう少し歩いてみましょう。北口でフラリと入った『酔ってけ』というお店でスタートしたワタクシは、次なるお店を探して歩き回ります。もう何でこんなにあるの？と思うぐらいの飲食店がひしめき合う神田の夜の街。マッサージやら艶っぽいお店まで客引きが手ぐすね引いて待ち受けておりますが、ワタクシはかわして東口方面に向かいます。
　この辺りは以前も訪れていますけれど、立ち飲み屋さんが充実している地域だなという印象が強いのです。前回訪れた『あかしや』さんの他にも御徒町でいつも立ち寄る『味の笛』、他にも入ったことがないお店がガード下にひしめいているのです。この夜もいつも通り『味の笛』は混雑しており入ることが叶いませんでした。

　通りの様子をカメラに収めていると、レンズ越しに入ってくる画像がどこか、一年ほど前の記憶と違っています。こんなお店は記憶にないなぁと、厚いビニールの向こうには楽しげに飲んでいるお客で一杯のお店、『六花界』というようです。
　立ち飲みで入りたい気もするのですけれど、どこがカウンターで誰が店員さんかも判然としないような混雑振りですので今回は遠慮しておきましょう。
　ところが、後日。こちらの方とこの方の記事を読むと、そのお店に入ったそうで、とても楽しい時間を過ごされたそうです。立ち飲みの焼肉屋さんだそうで、こういうのはチョッと珍しいですね。方向転換して南口の方へ向かうことにします。

　大きなガード下にはいくつもの、歴史を感じさせるお店と新らし目のチェーン系の居酒屋などが混在し神田らしさを醸し出してます。交差点を越えると線路沿いに広がる飲み屋街と、室町方面に繋がるこれもなかなかの飲食街が広がります。少し行くと『加賀廣　本石店』さんもこの通りにありますね。団体さんで混雑していて、一人で行くとなかなか入れないのが残念。カウンターも一杯なんですよね。
　この『大衆』という名前のお店も強烈ですね。大衆酒場、大衆割烹というのを冠して『何某』というお店はごく一般的なのですけれど、大衆、を屋号にしているのは初めて見ました。香港料理の居酒屋さんだそうです。煮込みの赤提灯がぶら下がるのがとても気になります。香港スタイルの煮込みなのか、日本のオーソドックスな煮込みなのでしょうか？

　また以前は見掛けなかった(気が付かなかった？)ようなラーメン屋さんもいくつか出来ていたり。『あたみ』という黄色い看板のラーメン屋さんにも気を引かれつつ、結局前回入って気に入った立ち飲み屋さんの『芳』というお店に入ることにしました。
　立ち飲み屋さんというものの、椅子が設(しつら)えられていて皆さん、リラックスして大画面のTVを見ながら飲んでいるようです。ホッピー￥370とつまみは何にしようか迷いつつマグロの煮付けをチョイス。

こちらのお店はカウンターに並んだ料理にラップが掛けられ、そこに値段のシールが貼られているので明朗会計。結構食事系のメニューも充実している印象があります。魚と肉でいうと魚系のほうが強いように見受けられます。
　やや濃い目に味付けられたマグロの煮付けは、つまみに丁度よく、ホッピーが進んで困りもの。中(焼酎)￥270を追加します。ホッピーセット￥370の値段に対して中の値段がやや高いなぁというのが正直な印象。まぁでもこのお店では比較的押しなべて、満足感が高いことが多いのでまた来ましょう。

　すぐ近くに見付けた、女の子を前面に打ち出した看板が印象的な串揚げ居酒屋の『まんてん』。ヘンなお店かなと中を見るとガラス越しに見えるのは楽しそうに飲んでいるサラリーマンの姿で溢れています。と、外に貼られているメニューを見るとそれほど異常に高いわけでもなんでもなくそこそこ普通のお値段。ホールの女性店員さん達は『起動力抜群』と一部で評される服を着用しておりますが、それがまた何とも…。
　気になって入店を試みるも、既に満席でお断りされて、無念というか良かったんだか複雑な気持ちにさせられます。

　とはいうものの、最初のお店で3杯、二軒目の『芳』さんでも2杯のホッピーを飲み干し、結構いい心持ちになっております。再び神田駅付近をうろついていると、錦糸町で行き慣れた居酒屋の『馬力』の看板を発見。真新しい外装と、中を覗くとまだピカピカの内装。出店されたばかりのようです。と焼き方の店員さんが振り返ると、いつもの錦糸町北口で顔馴染みのKさんで、向こうもビックリしてお店の外に出て来ました。聞くと、先月の後半にオープンされたばかり、ということでKさんが店長でこちらの方に来たようです。錦糸町北口で(錦糸町南口が発祥)会えなくなるのは残念ですけれど、今度からは神田に来る楽しみが増えたということでプラスに考えましょう。

　ということで、もう既にお酒の方は満足して酔って来てしまったワタクシは、結局フラフラと『横浜家系』の文字につられてついついラーメンを注文してしまう始末。いつもイケないと思いつつも食べてしまうのですね。見掛けたお店の数の割に実際に飲んだお店は少な目ですが、お酒にというより街の雰囲気に酔いしれた夜となりました。