新橋にて積年の思いを遂げる

ホッピー提灯@闇市ジョニー

 久々に新橋にやって参りました。思い起こせばいつ以来でしょうか?すっかり新橋には縁遠くなってしまいました。今回は用があって銀座に買い物に来たのですが、銀座界隈で気になるのは有楽町のガード下。古くからあるお店が立ち並んで、というイメージに基づいてその延長線上にある新橋方面へも煌めく星のように、さぞや魅力的なお店が続いているのでしょうなぁ、とばかりにふらりと行ってみました。

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 ちょうど用事があったのは銀座五丁目のニューメルサの辺りでしたので、そのままガード方面に進むとその時は気がつきませんでしたが泰明小学校のほど近くに出ました。道路が銀座らしくなく屈曲していて、路地には古くからある雑居ビルに妖しいネオンが灯り始めています。

 ガード下に来ると、思ったほどガード下の賑わいがあるわけではありません。でも何だか面白いものを発見しました。新橋方面近道と書かれた地下道で怪しい雰囲気がプンプンと漂っています。また入口付近には内山下町高架橋と書かれています。

 地下道の壁にはインターナショナルアーケードと大きく書かれています。少し先には明かりも見えておりますので入ってみましょう。思ったほどは開いているお店も少ないですが、それでもポツリポツリとお店が営業していて、いくつかの会社の地下部分になっているようです。行きがかり上の出口付近には黒塗りの車が大量に駐車されていて、秘密基地のようになっていますがこれは日本交通の銀座営業所ということでした。

 出たところで左側をパチリ、銀座八丁目付近です。チェーン店っぽいお店ばかりで食指が動きません。右側には喜多方ラーメンのお店の坂内があります。右側を高架沿いに進んでいくと、思い描いていたのとは違うことに違和感を覚えながらも、ようやく薄っすらと記憶にある新橋のガード下の飲み屋さんの風景が出て参りました(嬉)。





 地形上の影響を受けて、いくつかの道路が交錯する地点にこのようにえも言われぬ独特の雰囲気を醸し出す一角が出現します。いやぁワタクシこういうところは大好きです。それでも実際に回ってみると古くからのお店と、比較的最近の大手が出資していそうな居酒屋さんとが共存している感じです。その向こうに見える『紳士服の青山』の看板はニュー新橋ビルの辺りでしょう。


 角を曲がったところに昔から続くガード下の焼き鳥屋さん『羅生門』さんがあります。この辺りを比較的良く行き来していたのは学生の頃。学校からアルバイト先である銀座方面へ行く時に通り掛かっていましたが、入ったことはなく、どうも学生にはハードルが高いように思われる勤め人向けのお店です。
 今回はどうしてもこちらにお邪魔したくなったのでこの一角をひと回りしてお店の外で客寄せをしているオジサンに『一人だけど』と声を掛けました。通路にも簡易的な席が設けられていましたが、やはりここは店内に入りたいもの。カウンターに一つ隙間を見付けてもらい詰めてもらいました。

 ホッピーを飲みたかったけれど、飲み物はビール¥650(もう一つは忘れました)かお酒(両関)¥350のみということなので、とりあえずは瓶ビール(サッポロ)を頼みました。『すぐ出るのは煮込みですね』と某ハンバーガー店の『ご一緒にポテトはいかがですか?』的に言われるがままに、ここはにこけんメンバーとしては通過儀礼的に注文します。すぐ目の前の煮込みの鍋からサッと掬って出された煮込み。さりとてつまみながらも値段が全く判らないのです。品書きを端から丹念に眺めるのですが、煮込みとうふ¥780はあるものの肝心の煮込みの値段が見つかりません。一体幾らになるのか判然としないまま、それでもコクのある煮込みは恐らく牛モツでしょうか?ペタリと添えられたカラシがまた良い仕事をしてくれます。

 串焼も頼むことにしましょう、折角の炭火焼なのですから。それにしてもこちらのお店を知ってから20年近くになりますが、ようやく入ることが出来たことそれ自体、またその雰囲気を味わうだけで満足してしまいました。ビールはそろそろ空になり、お酒も欲しいところですがこの早い段階で日本酒を飲んでしまうと後が続きそうにないので自重してペースダウンしておき、焼き物を片付けてお会計は¥1,590。場所柄でしょうか、やや一品単価が高いようですが、ウェブ上の情報を見るとそれぞれ量も多く質も高いということなので仕方ないのでしょうが、ワタクシがいつも飲んでいるような予算を少し超えているようです。そこで差引すると、煮込みのお値段は¥580となりようやく溜飲が下がりました。

 さてお次はどこへ、とニュー新橋ビルを越えて烏森口の巨大な飲み屋街をうろつきます。昔のキムラヤの面影もなくなったビルの裏のほうを歩いていると、面白い看板を見掛けました。大衆酒場とは良くありがちなのですが、大衆餃子酒場というのはお初にお目にかかります。『ちょもらんま』というお店です餃子を売りにしているのでしょうが、お店の外に貼られたメニューからすると中華系のメニューが多いようです。

その面白看板のすぐ近くには寿毛平というそばとお酒のお店があります。この辺りはもういくらでもお店があるので、これぐらいインパクトのある名前でないと記憶に残らないのかもしれません。『名代五六八 つけ天そば』とはこれまた気になるものですが。

 グルグル回っている内に、烏森神社に出ました。折角ですからパチリといっときましょう。飲み屋街の一角にひっそりと佇むその様子は日本人が古来より育んできた美徳とされる『滅私奉公』といった言葉が相応しいように思えます。

 ちょうどGWの始まり、飛び石連休の狭間の嫌われ者の4月30日でした。この日出勤していても明日からの休みということもあってか、街は翌日からの期待を胸に活況を呈しているようです。

 昔一度だけアルバイトして、合わなくて辞めてしまった焼き鳥屋さんを探してみましたが、どうもそれらしきお店は見つかりませんでした。黄色い看板のまこちゃんはこの界隈に何軒か見かけました。

 少し歩き過ぎて休憩をしようと入った立ち飲み屋さん『闇市ジョニー』さん。この新橋は神田と並んで立ち飲み屋さんのメッカでありますからお店には事欠かないのです。大阪鶴橋ホルモンのフレーズに惹かれてしまいました。鶴橋のホルモンといえば、大阪では特に有名なようですからね。
 間口の狭い店にカウンター、そしてフード付きの換気口がテーブルの上にいくつか取り付けられています。先客のサラリーマンが二人連れ、カウンターにはお祭りの時に着るような派手な柄のシャツを来た店長さんがひとり。
 

 お得な晩酌サービスセットは『生ビール+おすすめ2品 ¥1,200』と書かれていますが実際にはドリンクは¥390の物の中から選べます。そこでワタクシはホッピーをもちろん選びました。

 また焼き物も¥580メニューのものまでなら自由に組み合わせが出来て2品選べるので、まるちょうとサンドミノをチョイスしました。

 スタンバイの済んでいる低目の木炭コンロを目の前にセットされ、ホッピーを飲んでいると程なくしてまるちょうとサンドミノが運ばれて来ました。一人でつまむには丁度良い量です。果たしてこれが一人前の標準的な量だとするとやや高いような気もしますが、セットならこんなものでしょう。適当に入ったお店ですがなかなか居心地の良いお店です。
 中をお替りして焼き物を片付けるとお会計もリーズナブル。こんな感じなら近所にあれば通ってしまいそうですね。







 もう一軒、歩き回っていた中で見掛けたお店がどうしても気になるので入ってみることにしました。外でも飲めますが、そろそろ足が疲れてきました。『野焼』というお店です。ワタクシの大好物のレバ刺しが牛で¥450と破格の値段で楽しめるようです。
 チュウハイとレバ刺しだけでしたが、気分良く独り酒を楽しみテキパキと動く店主の動きを見ながら、また新橋を攻めるのも悪くないかも、と思った夜でした。