ツーリスト/オレン・スタインハウアー

 昨年末からの読んだ本の記録の続き。

エルサレムの秘宝を発見せよ! (上) (ソフトバンク文庫)

エルサレムの秘宝を発見せよ! (上) (ソフトバンク文庫)

エルサレムの秘宝を発見せよ! (下) (ソフトバンク文庫)

エルサレムの秘宝を発見せよ! (下) (ソフトバンク文庫)

 クライブ・カッスラーとジャック・ダブラルの共著、『オレゴン・ファイル』シリーズの第4弾。このシリーズは主人公側があくまでも絶対的に強く、勧善懲悪の明快なストーリーであります。『ダーク・ピット』シリーズの主人公であるダーク・ピットは人間味溢れるキャラクターで、幾多の困難も機知・機転を利かせてくぐり抜けるのに対し、この『オレゴン・ファイル』シリーズは圧倒的な火器や特技を持った仲間により、時に苛烈に作戦を遂行していく、という点でややはなにつく点もなくはないとも言えます(回りくどい言い方だなぁ)。今回のこの作品では過去の『ダーク・ピット』シリーズから連なるNUMAシリーズの伝統である秘宝物も物語の要素に多大な貢献をしています。
乱気流〈上〉 (新潮文庫)

乱気流〈上〉 (新潮文庫)

乱気流〈下〉 (新潮文庫)

乱気流〈下〉 (新潮文庫)

 第二次世界大戦での有名なノルマンディー上陸作戦にまつわる天気予報士の奮闘の物語。やや古い時代の物語というのもあるし、今まで読んできたようなスパイ物や活躍する技師の話ではなく、天気予報士というのは意外でした。しかし、話がダラダラと思い切った展開もなく続くのは辟易しました。上下2巻なのに、実際にはかなり薄い文庫スタイルで、これなら一冊でも十分行けたんじゃないかと思うぐらい。上巻¥552+下巻¥590に分けるなら、一冊で¥800ぐらいが適切でしょうか。でも最近の翻訳本は高くなりましたねぇ。
一日江戸人 (新潮文庫)

一日江戸人 (新潮文庫)

 蕎麦好きとしても知られる、杉浦日向子さん、亡くなってしまったんですよね。その昔NHKの番組でその存在を知ることになりましたが、著作を読んだのはこれが初めて。最近江戸のことなど身近な歴史のことを知るということに、とても興味を覚えるようになってきたので、興味深く読みました。著者自身のイラストも貴重だけど、正直ワタクシには少し癖が強かったか。
ザ・ウォーカー (角川文庫)

ザ・ウォーカー (角川文庫)

 翻訳本としては薄い文庫本で読み始めると、なかなか面白いのでついつい読んでしまったが、近未来系の終末期の世界を描いた作品。読んでいてふと、映画っぽいなと思ったらやはりデンゼル・ワシントン主演で映画化されているそうな。それも昨年だったとかで、知らなかったワタクシは…(恥)。でもワタクシ、デンゼルさんどうしても好きになれないし(必ず善玉役のような気がする)、映画よりも原作主義(原作に重きをおく、というより原作を読んで映画を見て面白いと思うよりもガッカリすることの方が遥かに多い)なので映画は見ないでしょう。TVで放送されているのを偶然見ない限り。
ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (上) (ハヤカワ文庫NV)

ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (上) (ハヤカワ文庫NV)

ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (下) (ハヤカワ文庫NV)

ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (下) (ハヤカワ文庫NV)

 これは率直に言って、なかなかでした。ル・カレ以来のハードボイルドの傑作、などと評されているようですが、読み始めから久し振りに東欧などが舞台のスパイ・エージェント物の物語がスムーズに展開される、読んでいてしっくり馴染む感じが、どこか懐かしくさえ思える作品でした。最近のこうしたテロリスト物・スパイ物は冷戦の終焉から9・11以降完全にイスラム圏の話に終始するようになりましたからねぇ。最後の方はややすっきりしなかったものの、今朝バスに乗っていてコンビニに貼られているポスターを見たら、A・ジョリーとJ・デップで映画化されてこれから公開されるようですね。
迷惑なんだけど? (文春文庫)

迷惑なんだけど? (文春文庫)

 これまたチョッと毛色の変わった一冊。ウチの社長もどういう基準で選んでいるのやら(惑)。ギャグっぽいおトボケ小説なんだけど、話の筋は結構確かだし予想通りの展開でまぁ、退屈はしませんでした。読み終わっても何にも残らないけれど、しっくりこない漠然とした疲労感よりは遥かに良かったと思います(あれ、フォローになっていない?)。