長野の夕べ

馬刺し

 知り合いのお宅に無事到着すると、冷やしてあったお水を頂いて一服し、温泉へ汗を流しに行きます。前回は若槻温泉という通好みの温泉でしたが、今回は少し離れた豊野町にある『りんごの湯』という温泉。思いの外、大きい施設でビックリ。お湯はその若槻温泉と似たような茶褐色がかった少し濁ったお湯。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉となっていました。
露天、内湯大浴場があり20人ぐらいは余裕で入れそうです(露天は10人くらい)。ちなみに入浴料は大人400円でその料金では申し訳ないような施設の充実振りでした。
 一汗を流してさっぱりして軽く食事をしようということで、連れて行かれた先は何と東京でもおなじみのKるまや。これから飲みに行こうと思っているので軽くですが、同行のおじさんはお酒を飲まない人で車の運転を任せているので、コチラはビールをグビリ。おじさんはこれから麻雀をしに行くので、しっかり腹ごしらえ。『腹が減っては戦が出来ぬ』ですね。おじさんはサラダ風冷やし中華、餃子、ワタクシは餃子とビールのセットを注文しましたが、メニューを見ているとどうにも回鍋肉が美味そうでついついついかしてしまい、これが後に悲劇を引き起こすのです。
 温泉上がりのビールはやはり堪りませんネ♪餃子もパリッと焼けていて、良い感じですが、回鍋肉風キャベツと豚の味噌炒めはキャベツが生っぽくて一手間掛けなかったなぁと直ぐに判るレベルで歯応え抜群(苦)。結構豚肉も入っていてビールのツマミに最適なんですが、一人で食べるには結構な量で、すっかり満腹になってしまいました。同行のおじさんは麻雀の約束が気になって落ち着きをなくしてそわそわし始めたので気を利かせて話を振ると早速お会計、一旦帰宅して原チャリで出掛けてしまいました。

 こちらもすぐ近くを通るバスで権堂という繁華街の方へ赴きます。初乗り160円とは安いですね。地下鉄の権堂駅付近で降り、右へ行けば権堂、左に行けば鶴賀という飲み屋街。鶴賀の方は何度か来ていますが、久し振りに歩くと意外にも焼き鳥屋さんの多い事に気が付きました。2・300メートルで10軒近くあるんじゃないでしょうか?

 その通りの外れるところにある『鳥とし』さん、ここが今回の目的のお店。以前(5・6年前)来た時に馬の煮込み・おたぐりを食べたのです。にこけん(日本煮込み研究会)としては要チェックなのです。記憶と変わらぬ佇まいですが、カウンターの向こうは、比較的若いご主人が焼き鳥を焼いていて、ホールのオネーサンがお二人。カウンターのど真ん中を陣取り、瓶ビール\650を注文。お通しはオクラ、鶏肉、エノキ茸、ヒジキをポン酢で和えたもの。サッパリしていて良いですね。コチラのお店はその名の通り鳥料理と信州といえば、馬肉の二枚看板。さて何を?とメニューを見ると、煮込みもありますが馬刺し\1,000の文字が目に飛び込んできます。馬刺しは好物なんですよね〜♪さっき軽く食べたばかりで煮込みを食べるほどは入りそうにないので、馬刺しを注文。
本場だからといっても安くはないなぁ、と思いましたが届いて納得。枚数こそ8枚ですがキッツケと言いますか、切り方が厚いのです。東京等で頼むそれは薄ーく削ぎ切りにしたようなものですが、コチラのは、それに較べて二倍くらいの厚さがあります。最初は空いていたお店ですが、次第に混み始めホールのオネーサンもてんてこ舞い。コチラもさして用は無いのですが、次の注文をしようかと思っても、コチラの合図に気が回らないのか、全体を見渡していない様子。声を掛けるのもためらわれ、予想外の量の馬刺しで、煮込みを追加する気も薄れました。また次回来ようと今回は煮込みを断念して次のお店へ。

 以前来た時に、異彩を放っていた『びんずる』さん。気さくなマスターが魅力の気軽な居酒屋さんです。びんずると言うのはお祭りの名前だそうです。カウンターには常連さんが占めていたのですが、少し空けて頂いて端に着席。いささか満腹で、ウーロンハイを注文。聴くともなしに聴いていた有線からは最初つまらない曲でしたが、コチラの好みを察したかのように切り替えたのがドンピシャの'80年代中心の洋楽。物思いに耽りながらウーロンハイ3杯、山芋の千切りを頂いてさて今度は権堂へ。

 権堂は飲み屋さんも多いのですが、フーゾク・オネーチャン系のお店の呼込みも多く、かなりの賑わい。居酒屋さんはもういいかなという気分で、以前友人と来た時に気になっていた暗がりのバーを訪れることにしました。『India the Rock』というお店で、予想外なお店で奥ではライブもやっているお店で年配のマスターがメニューと一緒においてあるミュージックビデオの冊子を見ているとRushのライブが目に留まり聞くと、レーザーディスクからビデオにダビングしたものだそうで、かけてくれました。意外なところでRushを聴きながら、ぺルノーのロックをしばし堪能。時間によっては一杯\500でノーチャージだそうで、また来て下さいとのお声がいじらしい。

 さて、そろそろ帰ろうかと思いましたが、どうしても気になるお店に入りたくなりました。一軒家を改装しているようなのですが、外からは全く何のお店か判らないのです。
『Salon de Pomme』と表示されています。結構アルコールも入っていたので、まぁボられることもあるまいと引き戸を開けると異空間がガラス越しに目の前に広がり、サロンのようなラウンジのような感じです。ドレスを着た女性が二人、7人ほど掛けられるカウンターの向こう。ソファ席も幾つかありますが、いわゆるキャバクラのような感じよりもクラブに近いですかねぇ。最初にシステムの説明があり、いわゆるスナックとは違い、マンツーでべったり接客したりはしないようで、ショットバーとクラブを混ぜたようなお店です。そうはいっても、シェイカーを振ったりはせず、カクテルはなし、ウィスキーやブランデーを供するようです。
 色々飲み歩いて来ましたがこういうのは初めてです。もう一人の女の子も出来たお酒を運んでお終い。ハニかみ屋なのかあまりおしゃべりは得意ではない様子。名古屋から来ているそうで、十九か二十歳ということでした。BGMでジャズが鳴らされているのですが、たまにピアノ(電子)の生演奏も織り交ぜられます。なんだか映画のワンシーンに紛れ込んだかのような異空間の居心地の良さにについつい長居してしまいました。