秋のアジの酢締め

 年中見掛けるアジですけれども、関東では一般には夏場が旬だとされているようです。このアジも夏場には多く出回っていたものが、秋刀魚が売り出されてからはその主役の座を奪われたかのように、少々大人しく、そして値段も若干高くなってきていたのですが、この間の週末には魚体の大きなものが比較的安くなっていたもので酢締めにしてみました。もちろん秋刀魚も買いましたが、こちらは筒切りにして煮付けにしました。アジは干物も作りたかったものの雨降りが続いていたので念願適わず。
 以前も何度か取り上げているので詳しい作り方は割愛しますが、三枚に下ろした身に塩を振り3時間ほど冷蔵庫で置いた後、酢(昆布入り)に漬けて30分ほどで取り出し、皮を剥いで食べやすい大きさに切り分けると、慣れてしまえば苦にもならない作業で完成。
 酢締めというと、〆鯖が代表的なもので他にも秋刀魚やイワシといった青みの魚で作られることも多いし、あまり一般的にスーパーとかで魚自体が売られていないので作ったことがないけれど、コハダも酢締めにして寿司で頂くことが多いですね。またチョッと高級なところで鯛の酢締めというのも美味そう(未食・泣)。関東では酢締めと言っていますが、関西では出汁入りの淡い酢で締めたりもして『きずし』と言う言い方もされているようです。
 〆鯖も作りたいのですけれども新鮮な鯖でないと怖いのでここの所作れていないのが実情です。釣りでもやっていたら新鮮そのものの鯖が手に入るのでしょうけれどもね。
 また自分で作るようになって理解できたのですけれども、一部の方々も誤解されているようなのですが、『酢で締めるもの』というよりもまず工程的には塩でしっかり余計な水分を抜くと同時に臭みも抜けて身が締まり、これをしっかりとした方が美味しい物が出来ます。酢に漬けておくのは締め具合にも関係するのですけれど、短時間なら透明感のあるものになり、長時間漬けると硬めの身になります。また魚体やサクの大きさによって時間も当然変わってきますけれど。
 ワタクシは浅い締め加減が好きなので、このような出来具合にしております。今回は30分ほどで良い具合に仕上がりました。アジは塩焼きはもちろん、唐揚げ・フライといった加熱したものも美味しいですが、刺身やタタキにしたりいかようにも楽しめる魚ですけれど、酢締めにしてもサッパリと美味しく頂けますので食べたことのない方は是非試していただきたいものです。