ゔ、苦い

tominxanadu2010-10-26

 深まり行く秋、今日辺りから本格的な寒さが訪れるということで、昨夕は夕飯を絡めて何を作ろうかとしばし思案し思いついたのが煮込み。牛すじの煮込みも良いけど、ド定番のもつ煮込みも捨てがたいですね。そう思いつつ錦糸町駅北口に三店舗を構える『やおしょー』の全ての店舗を巡り、野菜を含め色々な食材を買い求めます。その中でも一番西に位置する『アジア』というお店では様々なアジア各国(中国・韓国・フィリピン・タイなど)の食材・調味料・果ては雑誌・雑貨まで揃う驚異のお店。こちらでは冷凍の様々な肉・内臓類、イスラム系で認められている『ハラル(ハラール)』といわれる冷凍の肉も取り扱っています。もちろんワタクシの狙いはズバリ、モツ。牛すじは¥120/100gなので、今回は予算外。白モツと言われる小腸やホルモンの大腸を¥45/100gでゲット。両方あわせて1,500gほど手に入れて内心ホクホク顔で帰宅しました。

 レンジで解凍しつつ、コンニャクの下拵えを進めお湯を沸かして解凍したモツを投入。こちらのモツは生のモツを冷凍したものなのでいわゆるそのものの形なのです。充分に下茹でしたところで水洗いし、管状のモツを包丁で開いてひと口大に切り分けます。ホルモンの方も食べやすい大きさにして水から茹でこぼします。かなりニオいもキツいのでウェブで仕入れた情報で『小麦粉をまぶして洗う』というのがあったので、それを参考にして一度茹で上がったモツを水洗いして冷ました後、スプーン一杯程度の小麦粉を投入しよく揉み込みます。焼肉のタレを揉み込むかのような感じで全体を揉んだ後に水道水で洗い流すとなるほどサッパリとした感じです。もう一度水から茹でこぼし同じ要領で小麦粉洗いを繰り返し、今回は良い具合。都合3回茹でこぼしたら、圧力鍋に下茹でした大根とコンニャクを合わせて日本酒・砂糖・醤油・味噌・昆布・ショウガ・鷹の爪を入れて着火。うーん、今回は完璧だのう、と一人ごちながらグビリと緑茶ハイ。
 圧力鍋だと沸騰した後、15分も弱火で煮込めば十分柔らかくなり、後は火を消して自然に中の圧力が下がるように待っていればその間にも柔らかくなること間違いなし。
 そろそろ良かろうと思いつつ、振り子を外して圧力が完全に下がるのを待つと蓋を開けられるようになります。他の同様な大きさの鍋に移して味を確認し最終調整します。
 ところが、ここで本日のタイトルに付けたような感想を抱いてしまったのです。調味料の割合は比較的大雑把に薄味に付けてあるから、この時点ではそもそもピッタリという味付けにはなっていないのが普通です。というのも味噌の風味は沸騰すると飛んでしまうので、中の圧力が上がり沸点も上昇する圧力鍋だと最初から味噌の量を決めてしまうとヨロシクないのですね。
 しかし、今回は臭み消しとしては完璧を期して万全の体制を敷き、ショウガも忘れたわけではないのです。それよりも口に広がる何ともいえない苦味に閉口しました。昆布を圧力鍋で煮たから苦くなったのか、それとも鷹の爪を二本入れたから?と悩みながら、砂糖と味噌を増量し最終的な調味。それでも苦味は消えずに昨晩は打ち止めです。
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 そして今朝起きてもう一度温め直して味見をしても変わることの無いこの苦味みにはホトホト困り、『もつ煮込み 苦い』で検索して見るとやはり同様の悩みを相談する人がいました。そこで判ったことは、生のホルモン類を長期間保存していると『苦味ペプチド』なるものが発生(生成)してしまうということです。なるほど、生のまま冷凍するまでの間の取り扱い状態までは判りませんから、その辺が怪しいです。苦味ペプチドは納豆等にも生成されるそうです。
 生臭みであれば、ニンニク・ショウガ、ネギの青いところを入れて煮込めばかなり和らぐ(根本的には下拵えの段階で充分茹でこぼすことが欠かせませんが)のですけれど、苦いのはどうしようもありません。折角煮込んだ汁ではありますが、思い切って捨ててしまって、もう一度水を入れて何度か茹でこぼすようにして、再度味付けし直し。それでもほのかに苦味が残る煮込み、初体験でございました。
 教訓、生のモツを使う場合は安く手に入るけれど、下茹で・切り分けの手間が掛かり、信用の出来る肉屋さんで仕入れないと苦味に手を焼くことがある。って所ですかね。
 と鍋一杯に出来上がったもつ煮込みに語りかける虚しさといったら、嗚呼!